僕だって
「まったく、僕の親友と華恋ちゃんに
なんてことしてくれるんだい?」
そんなのほほんとした声が聞こえて来たかと思うと、
いつの間にかわたしは眼鏡をかけた
袴姿の少年に抱かれ、助け出されていた。
「怪我はない?」
「あ、は、はい。大丈夫です。
そんなことより、夜月!!
夜月があの鬼に踏みつぶされてっ!!」
「夜月なら大丈夫だよ、ほら見てごらん」
背後を指さされたので振り返ると、
彼は勢いよく刀を縦横無尽に振るっていた。
鬼は既に首を斬られていて、
フラフラと今にも倒れそうだった。
「よくも、華恋を喰おうとしたな!!
その罪、死をもって償えっ!!」
赤鬼の巨躯は瞬時にサイコロステーキのように
分断され、血飛沫と共にこちらまで転がってきた。
三つ目と目が合いヒィッと悲鳴を上げたけど眼鏡の少年はふふっと笑う。
「大丈夫、もう死んでいるから」
そ、そうだよね。
何はともあれ、夜月が無事で良かった……。
ホッと胸を撫で下ろす。
「それにしてもアイツ、ホント華恋ちゃんのことになると容赦ないよなぁっ。
あんな巨体に踏みつぶされたんだから肋骨とか内臓傷ついてるはずだけど」
え?
「なんでわたしの名前を知ってるんですか?」
わたしの記憶が正しければ
この人と会ったことはないはず……。
「ああ、ごめんごめん。
自己紹介が遅れたね。僕は安部六花。
アイツからよく君のお話は聞かせてもらってるよ」




