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恋々とした幸せを
お母さんが倒れるのがスローモーションの
ように見えて、わたしは腕から飛び降り、
駆け寄った。
「お母さんっ!血、血が!!
どうしよう、どうしよう!!」
「ごめんね。あなたを遺して先に逝くなんて」
震える手がわたしの頰に添えられて
お母さんの手を握り返した。
「やだ、やだ!!お母さんは死なない!!
だって、お母さんは、大妖怪なんでしょ?!
誰よりも強いお母さんが死ぬわけないよっ!!」
「華恋……。強いからと、
罪を償わないわけにはいかないの」
弱々しく笑うお母さんは
今考えると、罪を償いたいから
捕らえられても抵抗しなかったんだと思う。
本当は妖術だって使えたはずなのに。
「でも……でも!!」
「できることなら、
あなたの成長を見届けたかった。
でも、妖として生まれた以上
こうなってしまうのは避けられない
運命だったのかもしれない」
お母さんの右目から透明な涙が滑り落ちた。
「……華々しい恋をしてほしい。
種族が違っても、禁忌の恋を犯したとしても
お互いの想いが通じ合っていれば幸せでいられるわ。
決して自分の想いを曲げないで。
恋をして成長しなさい、華恋。
恋をして愛を知りなさい。
どうか、恋々とした幸せを」




