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玉藻前の過去
想いを通わせたあたし達に、
とても大切な宝物が贈られた。
「玉藻、ありがとう。ありがとうっ……」
嬉しそうに涙を流す優の手を取り、
頬擦りした。
あたしの腕の中にいる
小さな、愛の結晶はとても愛おしくて。
自分の中にこんな感情があるなんて
知らなかった。
貴方とあたしの大切な宝物。
ねぇ、赤ちゃん。
あたし達が恋をしたから貴方は生まれたのよ。
恋をしたから、あたしは幸せになれた。
今まで溢したことのない感情の雫を
頰に伝わせて、娘の柔らかな肌をなぞる。
小さく身じろぎをしてニコッと笑うあなたは
とても可愛らしい。
妖と人間の間に生まれたあなたの人生は
きっと順風満帆じゃない。
だけど、だからこそ初めて母として願うのは
普通の少女として生きて、恋をして
愛を知り少しでもあなたの人生が
幸福に包まれること。
3人で幸せをこれからも紡いでいく、
そう思っていたはずなのに、
現実は残酷にもあたし達を引き裂いた。




