始まりは月に照らされて
「怪我はないか、華恋」
月の光に照らされて淡く光っているように見える
美少年は紺色の着物を見に纏い、
その昔、鬼を斬ったとされる金色の霊刀『夜明丸』を鞘にしまう様がとてもよく似合っていた。
尻餅をついたわたしの目の前には大きな蜘蛛の妖が
首を落とされ転がっていた。
やっぱり、わたしの幼馴染はいつ見てもカッコいい。
見惚れていると、彼、夜月は怪訝そうに
眉を顰め、「華恋?」と首を傾げた。
いつの間にか差し出されていた手に気づき
慌てて手を取る。
「ご、ごめん、何でもない!
夜月っていつもわたしがピンチの時は
助けに来てくれるよね」
えへへと笑うと夜月は口元に微笑みを称えて
「当然だろ、大事な幼馴染なんだからな」と握っている手に力を込めた。
幼馴染。
その言葉に胸にチクリと
棘が刺さったような気持ちになる。
わたしは、人間じゃない。
妖狐と人間の間に生まれた半端者で
夜月みたいに祓い屋を生業としている人達からは
忌み嫌われている。
でも、夜月だけは違った。
幼い頃、クラスメイトにいじめられ
泣いていたわたしを夜月はいち早く見つけて
優しく抱きしめてくれた。
そして言ってくれた。
「華恋が半妖だとしても俺の大事な
幼馴染であることに変わりはない」って。
きっとそれがきっかけでわたしの恋の芽は
ぐんぐん成長して、今にも花を咲かせそうなの。
だけど、友情と恋愛は全く違う。
告白したって所詮人間と半妖のわたし。
うまくいくとは限らない。
それ以前に……関係が壊れてしまうのが怖い。
夜月はわたしのこと、どう思ってるのかな。
不安に胸が押しつぶされそうになりながらも
わたしは夜月の手をぎゅっと握り返した。




