夢のカケラ ノンフィクション/初恋編
第1話
話すきっかけなんて、どこにもなかった
高校二年の頃。
僕には気になっていた女の子がいた。
同じ学年だけど、クラスも違う。
部活も違う。
友達のつながりもない。
接点なんて、本当にひとつもなかった。
廊下ですれ違うこともほとんどない。
向こうの生活はまるで知らない。
ただーー
僕の視界のどこかにたまに、ぽつんと現れるだけの女の子だった。
なのに、なんでかわからないけどその子のことばかり考えていた。
「どうやったら、あの子と話せるんだろう。」
でも現実は、
話すきっかけなんて影も形もなかった。
そんな時だった。
英検三級の試験会場で、偶然、その子の姿を見つけた。
別に英語がペラペラだったわけじゃない。
勉強が得意なわけでもない。
たまたま。
ただそれだけ。
だけど僕にとっては、
"運命かも”って思い込むには十分すぎる出来事だった。
英語が好きだったわけじゃない。
留学に憧れてたわけでもない。
ただ、その子と同じ場所に立てたことが
嬉しかった。
その子と、ほんの少しでいいから近づきたかった。
そんな下心と淡い期待だけで、僕は英語を頑張ろうと思った。
勉強なんて全然してなかった。
カンニングばかりしていた僕が、人生で初めて「頑張ってみよう」と思えた理由は、
ただそれだけだった。
この時はまだ知らなかった。
その無が、
僕の人生を大きく動かす
最初の"夢のカケラ”になるなんて。




