オーバーフロー
明らかにボンッという音が聞こえた、気がした。
何事か、と振り返って思わず確認をすると、そこにはふらふらと頭を左右に揺らしている幼馴染の姿があった。
「おい、大丈夫か」
自習室の中で、俺は彼女へと小声で話しかける。
定期テスト直前で詰め込み勉強真っ盛りの中、さすがに限界が来たようだ。
時間も午後5時を過ぎてきていて、そろそろ引き上げ時期かもしれない。
「帰るか」
一言耳打ちするとうんうんと彼女はうなづいてくれた。
荷物を簡単にまとめると、高校の一室にある自習室から二人連れだって出る。
もう夕日もすっかりと真っ赤になっていて、からからと扉を閉める。
てくてく歩きつつも彼女はごめんねとつぶやいてきた。
「なに、今日は頃合いさ」
そう言って俺は彼女の頭をポンポンと触れた。