表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/47

27話+ 『超苺』視点(3)


 27話+ 『超苺』視点(3)


 『コワモテのチンピラ』に連れていかれたのは、

 地下にある裏カジノ。


 ここでは、地上とはレートが10倍以上違う……

 ここでは、文字通り命をけた勝負も行われている……


 ――みたいな『シリアスな話』をしているけど、

 俺にとって、そんなことは、どうでもよかった。


 大事なことは、俺の前を歩くデビナの『うなじ』がなまめかしい、という一点のみ。

 デビナは『顔面が悪魔的で怖すぎる』という欠点を除けば、本当に、カワイイ女子だ。

 毎日でもながめていられるね。


 なんてことを思いつつ、

 長い階段を下りて、

 裏カジノにたどりつくと、

 そこには、『死の気配』がただよっていた。


 鉄火場てっかばって感じだった。

 こういう雰囲気は嫌いだ。

 血なまぐさくてイイ事なんて、一つもない。


 俺は、『上のカジノ』みたいな、

 カワイイ女の子がキャピキャピしている空間が好きだ。



「セミハラとか言ったな。お前の『挑発ちょうはつ』を、『上』は、承諾しょうだくした。そっちの手下も含め、全員の命をけてもらうぞ」



 ぜんぜん、話を聞いていなかったから、

 正直、状況がよくわからない。


 どうやら、師匠が、『このカジノの裏を仕切っている裏組織を挑発したようだ』ということぐらいは分かっているのだが、それ以上は、何も分からないし、興味もない。


 そんなことより、俺にとって大事なことは、

 『地下にも、バニーガールはいてくれた』という『たましいすくい』のみ。


 よかった。

 裏カジノは『闇社会の最前線』だと聞いていたから、

 もしかしたら『ガチムチのオッサンばっかりかも』と不安でしょうがなかった。


 俺は、裏カジノ全体に『にらみ』をきかせるフリをして、

 この場にいるバニーガールのスリーサイズを目算していた。

 全員、非常にグッドだった。

 やはり、かわいい女の子は良い。

 心が癒される。

 ぶっちゃけ、かわいくなくてもいい。

 女の子は、女の子である、というだけで素晴らしい。



 ……などと思っていた時のこと。



 奥にいるバニーガールの一人が、

 フラっと、よろけて、

 『運んでいたお酒』を、客に向けて、こぼしてしまった。


 酒をこぼされた『スキンヘッドのマフィア』は、

 怒りをあらわにして、

 バニーガールの顔面に拳を入れた。



 ガツンと、肉がはじける音が鳴り響いた。



 ――気づいた時、

 俺は、




「ぎぃいいゃあああああ!!」




 ――その『スキンヘッド』の右腕を引きちぎっていた。


「うぁあああっ!! ああああっ! オレのぉおお! オレの腕ええぇえええええ!!」


 『スキンヘッド』が悲鳴をあげている。


 ……大の男が、腕一本で泣きわめくなよ、みっともねぇ。


 イラっとした俺は、さらに、スキンヘッドの左腕を、足でくだく。



「ぎぃいいやぁああっ!! ぃいいいいいい!!」



 『小さな虫』をもてあそぶように、

 俺は、スキンヘッドから、四肢ししを奪い取った。


 周囲の人間がドン引いている。

 どうでもよかった。


 女の子の悲鳴が聞こえた。

 怖がらせて、悪いね。

 でも、このスキンヘッドは許せないから、ちょっとだけ我慢してね。


 最後に、トドメとして、

 スキンヘッド頭蓋骨ずがいこつを、

 かかと落としでくだいてやろうと思ったところで、




超苺こいちご、そのへんで勘弁かなんべんしてくれ。まだ、交渉が終わっていない。殺しは、交渉が決裂けつれつした時だ」




 背後から、師匠の声が響いた。


 正直、まだ物足りないが、

 セン様から、『極力、師匠の指示にはしたがうように』と言われているので、

 俺は、スキンヘッドを殺すのをやめて、

 殴られたバニーガールに、


「………………治癒ちゆランク12」


 回復魔法をかけておく。

 彼女の『殴られた場所のアザ』が綺麗に消えた。


 俺は『顔にキズがある女の子』も美しいと思える。

 女の子は、どんな状態でも美しい。


 ――けど、当人としては、顔にアザがのこるのはイヤだろう。

 しずんだ顔をしている女の子は美しくない。


「あ……ありがとう……ございます……」


 感謝をされてしまった。

 別に必要ない。


 俺は俺のためにやっただけだ。

 女の子は、存在してくれるだけでありがたい。



「おれの部下が大変失礼なことをした。あやまるよ、悪いねっ」



 師匠が、そう言うと、

 俺たちを、この裏カジノに案内した『コワモテ』が、


「き、貴様ら……こんなマネして……ただですむと……」


「まずは、交渉してから……のつもりだったんだけど、まあいいさ」


 師匠は、苦笑いしつつ、

 そのコワモテの首を、右手で、ガっと掴み、


「デビナ、ボウ、クロート、超苺……ここから逃げようとしたヤツは、すべて殺せ」


 師匠の命令にうなずく一同。


 最初からそのつもりだったので、わざわざ命令する必要も、うなずく必要もない。

 だから、今、師匠がやったことは俺たちに対する命令ではなく、

 敵に対する『威嚇いかく』である。


 あえて、ここにいる全員の前で『宣言せんげん』することで、

 全員の動きをにぶらせている。


 師匠は、こういう『こまかいこと』を好む傾向けいこうにある。

 ここにいるのは、バイトでバニーをしている子以外、全員、悪人なのだから、

 最初から、『女の子』と『要人』以外の小物は、サクっと皆殺しにすれば早いのに、


 まずは、『マフィア的な恐怖』で相手を威圧いあつすることからはじめる。


 そのへんの感性が俺には分からない。



「言っておくが、おれたちがその気になれば、ここにいる全員を秒で殺せる。だが、殺戮さつりくを目的にきたわけじゃない。というわけで、『話の分かるヤツ』のもとまで連れていけ」



 そう命令しながら、コワモテの首をギリギリとめていく。


「か……かはっ……ナメるなよ……小僧……」


 あのコワモテ、なかなか気合が入っている。

 首をしめられた状態で、

 師匠に歯向かっている。


 師匠をなぐったり、攻撃魔法を使ったり。

 どうにか、師匠の腕から逃れようと必死。


 けど、弱すぎて無意味。

 存在値150程度のザコじゃあ、師匠をどうにかすることはできない。


 『セン様ほどの器』ではないが、

 師匠せみはらも『相当な輝き』の持ち主。


 あのコワモテ程度のカスでは相手にならない。



「ぐっ……て、てめぇ……ナニモンだ……っ」



「蝉原勇吾。偉大な王の配下をしている者だ」


「魔王の側近……この国の魔王軍に、てめぇみたいなヤツはいなかった……他国の者か……貴様、バカか? この国の魔王『ユズ』は、六大魔王に匹敵ひってきする力の持ち主だぞ……こんなマネして……戦争になるぞ」


「いいねぇ。ぜひやりたいねぇ」


 真っ黒な笑みを浮かべる師匠。

 ああいう、『イカれた笑顔』をうかべさせたら世界一。


 ちなみに、魔王『ユズ』のことは、事前に、ある程度の調べがついている。


 つい最近、先代の魔王を殺して、魔王の座を奪い取った女。

 けっこう美人だが性格が悪いことで有名らしい。

 奴隷の少女を買っていたぶるのが趣味だそうだ。


 俺は、女の子はみんな美しいと思っているが、

 しかし、そういうクズだけは女の子として認めていない。


 魔王ユズは、ただのクズだ。

 今すぐにでも殺しにいきたいが、師匠に止められているので我慢している。



「ぐっ……うぅ……わ、わかった……話を聞く……だから、はなせ……」



 師匠の『交渉』は無事成立した。


 俺たちは、この『裏カジノにいる全員』から、

 ぶじに『ヤバい連中』だと認識にんしきされた。



 読んでいただき、ありがとうございます!

 「面白かった」「続きが気になる」と少しでも思っていただけたなら、

 下にある☆☆☆☆☆で、

 「面白い!」なら★★★★★、

 「まあまあ」なら★★★★☆、

 という形で、評価していただけますと、モチベーションが上がります!

 ブックマークも押していただけると、本当にうれしいです!

 なにとぞ、よろしくお願いいたします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ