騎士たちの話
「おい、聞いたかよ?
また[あいつ]、殺したらしいぜ。
いくら何でもやり過ぎだよな。」
「ああ。聞いた聞いた。
団長も[あいつ]にやり過ぎだって
言ったらしいんだけど、聞く耳を
持たなかったらしい。」
休憩中だと思われる騎士たちが、話している。
ある一人の人物についてのようだ。
彼らが話している人物は、何をしたのだろうか....
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ビッ...カシャン
一人の騎士が剣に付いた血をはらって、鞘にしまった。
彼の足元には、罪人だったと思われる死体。
おそらく、彼が殺したのだろう。
「アイン」
遠巻きにしていた一人の騎士が、彼に声をかけた。
どうやら彼の名前は[アイン]というようだ。
「何でしょう? 団長。」
[アイン]は、にこやかに返す。
彼に声をかけたのは、騎士団長のようだ。
「やり過ぎだ。殺さなくても良かっただろ。
それに、アインなら取り押さえることもできただろ?」
騎士団長は言った。が、アインは興味なさそうに言った。
「殺した方が楽ですので。」
「だが、罪人とはいえ生きている。
殺すのはやり過ぎだ。」
「...そうですね。」
騎士団長は言ったが、アインはまたもや興味なさそうに
答えた。
「アイン!....はぁ」
騎士団長は何かを言いかけたが、止めた。
言っても意味がないと思ったのだろう。
「帰るぞ。」
騎士団長の声で騎士たちが隊列を組み、歩いて行く。
....アイン以外。
騎士たちの隊列の後をついて行くアインの剣に
黒いもやが纏った...ように見えたが、
その一瞬後にはなくなっていた。
....見間違いでしょうかねぇ....