例え犯罪と分かっていても誰かを助けるためにすることは美化はされないかもしれないが後悔はしない
前回のあらすじ
マキナの秘密を知ったヴィザル達。それでも彼女を助けることに変わりない。そして、マキナとサリアの救出作戦が始まった。
「最近真面目にあらすじしてる。」
「いい?ゲーテウェルズ研究所に行くのは構わないけど騒ぎを起こさないこと。絶対よ!絶対!」
ジルフレイムがヴィザル達に強く念をおした。
「私は今からコキュトルス監獄に行ってサリアの釈放交渉を試みるわ。それが成功するまでは下手に動かないこと。もし、サリア釈放の前に起こしたらもう助けることはできないわ。」
「脱獄の手伝いは?」
「無理に決まってるでしょ!」
フィルディオの提案をジルフレイムが即却下した。
「いい!?コキュトルス監獄は険しい山の頂上にあって周りは断崖絶壁、移動には国専用の龍車が必要で内部の警備も最高峰、今まで一人を除いて脱獄に成功したことのない鉄壁の大監獄よ。」
「何、そのイン○ルダウン?」
「黙りなさい。」
ジルフレイムの説明が終わるとケンを始めヴィザル達全員が行く準備をした。すると、ジルフレイムがまたヴィザル達を止めた。
「あんた達、後悔はしてないわね?」
「ああ、大丈夫だ。」
「そう。気を付けなさい。あんた達がやろうとしていることはれっきとした犯罪になるかもしれないから。もしかしたら、もうこのメンバーで会うことはないかもしれないけどいいのね?」
「うん。行ってきます。」
ゲーテウェルズ研究所に行こうとするヴィザル達にジルフレイムは念をおして警告した。ヴィザルは頷くとそのままケン達と一緒にゲーテウェルズ研究所に、見送ったジルフレイムはコキュトルス監獄に向かい、フィルディオ達はメタルバンドでお留守番となった。
「じゃあ、行ってくるぜ。」
「サリアのこと、頼んだ。」
「ええ、分かってる。」
ヴィザル達がゲーテウェルズ研究所に向かい姿が見えなくなるとレザニアがタバコを吹かしながら椅子に座った。
「やれやれ。まったく飽きない子達だね。」
「昔のお前さんに似てるな。」
「余計なことは言わんでいい。変態じじい。」
レザニアは軽口をたたくと一枚の写真を取り出した。そこには昔のメタルバンドの前に並ぶ若いレザニア達がいた。よく見ると彼女の隣にいたのはゲルド、バースロット、ミョルニオスだった。
「懐かしい物を出すじゃねぇか。何年前だそれ?」
「もう5,60年ぐらい経つよ。」
二人が写真を見ているといつの間にかフィルディオがいなくなっていた。そのことに気付いたゲルドが周りをキョロキョロ見渡して探したが見つからなかった。
「ん?おい。あのカメラ持った小僧が何処にもいないぞ。」
「は?何考えてんだいあの坊や。まさか、あいつらと一緒に行ったなんてことないだろうね。」
コキュトルス監獄に向かう竜車の中
「悪いわね。こんなことに付き合わせて。」
「大丈夫よ。私も今回の逮捕には疑問があったから。」
ジルフレイムの隣には魔聖七天王のアルトディーナがいた。ジルフレイムはコキュトルス監獄に行く時に彼女に協力を求めていたのだ。
「サリアちゃんが実際にマキナちゃんをあの遺跡から盗ったとしてもあなたのところと国に被害届を出してから返却然り逮捕するものよ。けど私達のところには何も来ていない。」
「それと秘密警察エピゴノイが動いたことに心当たりは?」
「ないわ。けどエピゴノイが動いたってことは指示したのは私達、魔聖七天王の誰かという可能性もあるわね。」
(もしそうなら、ゲーテウェルズ研究所にも魔聖七天王の誰かが関係している可能性が高い。大丈夫かな、ヴィザル達。)
コキュトルス監獄に向かう間、ジルフレイムとアルトディーナは様々な考察をしていた。コキュトルス監獄に近づくにつれジルフレイムはヴィザル達を心配していた。
一方、ゲーテウェルズ研究所に向かうヴィザル一行
「この先にマキナが・・・」
ヴィザル達が山の中腹にある施設を見つけ行こうとするとケンがヴィザル達を止めた。
「お前ら、先に言っておく。今からやることはジルフレイムの言う通り世間的には不法侵入に強奪と犯罪者がすることだ。それでも仲間を助けるために行く覚悟があるな?」
「今さら何を聞いてんだ?俺達はとっくに犯罪者だぜ。」
「それはヴァンガスさん、カリスティさん、エレキナさんだけです。」
「あれ?」
「私も?」
ヴィザルは目を細めてヴァンガス達をジーと見た。その後、真っ直ぐな目をするとケンを見て答えた。
「でも、僕は行きます。あの時のマキナはなんか悲しい目をしてました。それに僕を好きと言ってくれたマキナをそのまま放っておきたくないです。」
「・・・聞くまでもなかったか。じゃあ、行くか。」
「「「了解!」」」
ケンの忠告にヴィザル達は強く頷いた。ケンも覚悟を決めるとヴィザル達と一緒にゲーテウェルズ研究所に向かって行った。
次回予告の前に久しぶりの用語集
竜車
ドラゴンの上に屋形船みたいなのを着けた馬車のドラゴン版。主に王公貴族達の護送用に使われる。
次回予告
ついにゲーテウェルズ研究所に侵入するヴィザル達。しかし、そこには謎のクランが立ちはだかる。
「いよいよ話が進みますね。」
「原作者がそう言うな。」




