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鋼絆《メタルバンド》  作者: 高本 龍知
94/406

スポーツは仲を深めるのに丁度いい

前回のあらすじ

意外とまじめな回


「伏線回です。・・・多分。」

「自分で言っちゃったよ・・・」

ここはカブジナ郊外にある野球場。そこにアイアンガイア全員とフィルディオがいた。すると、そこにユニフォーム姿の少年達がグラウンドにやってきた。


「今日は試合よろしくお願いします!」

「よろしく。」


そう。今回はアイアンガイアへ少年野球チームの相手をして欲しいという依頼がきたのだ。


「なんで野球?」

「あっちにうちのファンがいるみたいでね。一緒にしませんかときたのだよ。報酬もそこそこいいから二つ返事で引き受けた。」

「えぇ。」


サリアがヴィザルに説明していると少年野球チームのリーダーの少年がサリア達のところにやってきた。


「すみません。実は昨日のメンバーの一人が怪我をしてしまいまして代わりの人を呼んできたしたけど大丈夫ですか?」

「あぁ、そんなこと。大丈夫、大丈夫。それぐらい気にしないから。」

「ありがとうございます!お願いします!」


リーダーが叫ぶとパラリラパラリラという謎のサイレンと共にハーレーに乗った男がグラウンドに入ってきた。そして、男はヘルメットを外した。


「よう!俺は魔聖七天王(セブン)のロキエル・ヘラマダイトだ!今日は夜露視公!」

「なんでだ~ーーーーーーー!?」


助っ人にきたのはなんとオリュンティア評議会の最高位、魔聖七天王(セブン)のうちの一人、ロキエル・ヘラマダイトだった。


「なんで魔聖七天王(セブン)がこんなところに来てんだよ!?」

「っていうか確か前回の登場は7話ですよね?」

「それより夜露視公の”しく“が死苦じゃないのが育ちの良さが滲み出てるな・・・」

「そこ今はどうでもいい。」


いきなり登場したロキエルに総ツッコミするヴィザル達。


「俺自身、お前らアイアンガイアに興味があるからな。直に会ってみてぇと思ってたんだよ。」

「だからってこんな合流試合に出なくても・・・」

「比較的自由人だぜ。俺達、魔聖七天王(セブン)ってのはよぉ。」


ロキエルほハーレーから降りてバットをヴィザル達に向けた。釘が大量に刺さっている明らかに危ないバットを。


「アウトー!」

「なんだ!?」

「何、殺意100%のバットで野球しようとしてんの!?一発退場だよ、バカヤロー!」

「ロキエルさん。確かにそのバットは駄目です。」

「あ、マジか・・・」


ロキエルは丁寧に釘を抜いて修復魔法でバットを直すと再びヴィザル達に向けた。


「さぁ、勝負と行こうか!」

「あいつ、絶対育ち良いぞ。」


こうして、アイアンガイア対ロキエルin少年野球チームが始まった。ルールは普通の野球と同じで魔法の使用は禁止というものだった。


先攻 少年野球チーム

後攻 アイアンガイア


1番 ヴァンガス(ピッチャー)

2番 ヴィザル(キャッチャー)

3番 ヘルマ(ファースト)

4番 ケン(セカンド)

5番 クロア(サード)

6番 カリスティ(ショート)

7番 エレキナ(レフト)

8番 マキナ(センター)

9番 サリア(ライト)

補欠 エウリア


「・・・なぁ。お前ら、野球やったことあるか?」


セカンドにいたケンがおそるおそるサリア達に聞く。すると、ヴァンガス以外が下を向いた。


「経験ねぇのかよ!」

「っていうか、ヴァンガスが野球経験があるのが驚きなんだけど!」

「昔、ワイルドビーストにいた頃はよく野球してたからな。」

「意外な過去・・・」


そう言ってヴァンガスほ第1球を投げた。ボールはストレートでヴィザルのミットにものすごいスピードで入った。それを恐がったのかバッターの少年は泣き出した。


(い、意外と痛い・・・)

「あ~あ。泣いちゃった。」

「どうすんだ、ヴァンガス?」


泣いている少年を見たヴァンガスはニヤリと笑いそのまま投げる体制に入った。


「その程度で俺が手抜いてくれると思ったか、マヌケェ!」

「うわぁ。」


ヴァンガスが第2球を投げた。今度もものすごく速いストレートで少年は打てなかった。調子に乗ったヴァンガスはそのまま第3球を投げると少年はおもいっきり振った。すると、ボールはバットに当たりそのままヴァンガスの顔面に命中した。


「・・・ヴァンガス~!?」


慌てて駆け寄るサリア達。その隙に少年は走り二塁ベースに着いた。


「これ、どうすんの?ヴァンガスが完全に気絶してんだけど・・・」

「仕方ない。ピッチャーは俺がする。」


ヴァンガスout、ピッチャー(ケン)、セカンド(エウリア)


「よし。行くぞ。」

「待って。私無理なんだけど。」


エウリアを無視してサリア達は野球を再開した。ピッチャーとなったケンは第1球をスライダーで投げた。いきなりの球種の変化に少年は打つことが出来なかった。ケンはそのまま投げると今度はカーブだった。そして、第3球をフォークで投げ二人目を三振で完封した。


「す、すごい。ケンさんって野球経験あるんですね。」

「まぁな。」


ケンは次の打者が来ると第1球をストレートで投げた。少年がボールを打った瞬間、ケンはジャンプしてボールを取り、三塁にいるクロアに投げ最初の少年もアウトにした。


「ダ、ダブルプレー・・・だと。」


スリーアウトになったことで攻守交代となった。最初の打者はヴァンガスの代打となったエウリアだった。彼女がホームベースに立つとロキエルがピッチャーとして立っていた。


「・・・無理無理無理無理無理無理無理無理・・・」


一生懸命首を横に振るエウリア。しかし、非情にもプレーは進行しエウリアはロキエルの前にあっさりと三振した。次の打者であるヴィザルがバットを構えるとロキエルはおもいっきり投げた。すると、ヴィザルはバットを短く持ち軽くボールを当てた。


「バントか!」


ボールを打ったヴィザルは一塁に向かって走るとすぐに捕球したロキエルがものすごいスピードでファーストに投げた。ヴィザルが着くより速くボールがファーストに当たりヴィザルはアウトとなった。


「これが俺の必殺技レーザーボールだ。」

「その技、誰かに怒られませんか?」


とぼとぼ戻るヴィザル。彼と入れ替わりにヘルマが打席に立った。ロキエルが第1球を投げるとヘルマはおもいっきりバットを振った。すると、バットはボールに当たり真っ二つになった。ちなみに、ボールはヘルマの真横を飛んでファールとなった。


「・・・」

「・・・えぇ。」


あまりの出来事に言葉を失う一同。その後、バットを新しく変えたヘルマは簡単に三振され終わった。


「よし。次行くか。」


ケンが準備するとロキエルが打席に立っていきなりホームラン予告をした。


「来いよ。一発で決めてやる。」

「・・・」


ケンは大きく振りかぶって第1球を投げるとロキエルはおもいっきりバットを振ってボールに当てた。ボールは高く飛び確実に客席に入ろうとしていた。


「どうだ!」


ロキエルは満足気に走っているとマキナが空を飛んでボールをキャッチした。


「・・・え?」

「あ、アウトだ。」

「えぇー!?」


ホームベースを踏もうとしていたロキエルは文句を言い始めた。


「あれ、有りか!?」

「だってマキナの場合は魔法じゃなくジェット噴射で飛んでいるからセーフじゃん。」

「その前にジェット噴射で飛んでんのかよ・・・」


アウトになったロキエルは肩を落としながら戻って行った。その後、ケンは後の二人を三振で仕留めると攻守を交代した。

そのまま試合は見所がない一進一退の戦いを繰り広げた。


「見所ない言うな!」

「まさかのダイジェスト・・・」


そして、0対0、ツーアウト三塁で再びロキエルが打席に立った。


「今度はさっきのようにいかねぇぜ。」

「望むところ。」


ケンは大きく振りかぶって第1球を投げた。すると、今度はホームランを狙わずにボールを下に向けて打った。ボールは地面でバウンドしてそのままケンの股関に命中した。


「・・・あ。」

「・・・」


何も言わずに倒れるケン。


「ケン~!」


サリア達が慌てて駆け寄るがケンは股関を押さえて動かなかった。


「またピッチャーが殺られたんだけど!?」

「まだ生きてます!」

「わ、悪い・・・。今の打球は無しだ。もう一度やるぞ。」


気まずくなったロキエルは手を合わせて謝ると再びに打席で構えた。


「ちょっと待って。これ誰がピッチャーするの?」

「・・・そうだ。」


クロアが聞くとサリアは何か閃いたようですたすたとマキナの前に行き彼女の肩を掴んだ。


「マキナ。お前がピッチャーだ。」

「・・・?」

「大丈夫なのかしら?」


カリスティ達が心配する中、サリアはマキナに何か耳打ちをしていた。すると、マキナは頷いてピッチャーを引き受けた。


ケンout、ピッチャー(マキナ)、センター(フィルディオ)


「気張って行きましょうー!」

「まず、お前はカメラを置いてこい!」


何故かカメラを持ったままセンターに立つフィルディオ。そんなことを気にせずにマキナは投げる準備をした。


(あれ?ちょっと待って。確かマキナって戦闘用アンドロイドだったような・・・)

「マキナ!」

「・・・はい。なんでしょうか、マスター?」

「ちょっと三塁にいるクロアさんに牽制球投げてみてください!」

「・・・分かりました。」


ヴィザルに言われた通り、マキナは構えているサリアに向かって牽制球を投げた。すると、クロアと隣にいた少年はマキナが投げた球に吹っ飛ばされた。


「・・・」

「・・・投げました。」

「嘘でしょ!クロアさ~ん!」


ピクピクッとしか動かない二人を見てヴィザル達は驚愕した。すると、サリアがマキナに親指立てながら指示した。


「OK、マキナ。その調子で行こう!」

「ふざけるなぁ!」

「マキナ!普通に投げて!力調整して!お願い!」

「・・・マスター。サリアからマスターへの愛を示すために全力で投げるように指示がありました。」

「何故そこで愛!?」


ヴィザルの必死の忠告も聞かずマキナは右腕に何か嫌な予感がするオーラを纏い始めた。その間にサリアはヘルマが作ったゴーレムをサードに配置した。


「こうなったらマキナが投げた瞬間、横に反れればなんとか助かるかも。」

「おい!何てめえだけ生き残ろうとしてんだ!?」

「すみません!僕も自分の命が最優先です!」

「ふざけるなぁ!」


全力で投げるマキナ。

それを避けるヴィザル。

ボールが曲がりヴィザルのミットに命中する。

そのまま吹っ飛ぶヴィザル。

その時の衝撃波で吹っ飛ぶロキエル。


この間、僅か2秒


「・・・」

「・・・」

「・・・中止~!」


こうして、アイアンガイア対ロキエルin少年野球チームの試合は0対0で終了しマキナは殺戮ピッチャーとして野球界に名をはせた。

次回予告

ヴィザルとサリアに衝撃が・・・


「・・・」

「・・・」

「二人ともどうしたの?」

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