偽物は大抵本物には勝てない
前回のあらすじ
ついにネハン以外を倒したヴィザル達。しかし、ネハンは強く苦戦していた。その時、ヴィザル達の前に現れた謎の存在。狙いは一体何なのか・・・
「ネタ切れ?」
「折角いい感じのあらすじだったのに!」
いきなり現れた者、それはまるで悪魔のような姿をしていた。
「なんだ、てめえ。」
「・・・」
ネハンはそいつを睨みながら闇魔法を放って攻撃した。謎の怪物はネハンを見たまま避けようとしない。
「・・・紛い物は消えてもらう。」
すると、ボソッと喋った怪物は異様な翼を広げるとネハンの闇魔法をかき消した。そして、口から衝撃波みたいなものを撃つとネハンは吹っ飛ばされ倒れた。
「・・・え?」
「いきなりなんか出てきてあっさりネハンを倒したけど・・・」
驚愕して言葉が出ないヴィザル達。そいつはヴィザル達を見回すとニヤリと笑い自己紹介を始めた。
「俺の名はヴァルボロ。マジンの一人だ。」
「ま、魔人!?」
「勘違いしていたら訂正する。マジンのジンは人ではなく神、つまり俺は魔神なのだよ。」
ヴァルボロの説明にヨルズはさらに驚いた。どうやらヨルズは魔神のことを知っているようだった。
「待って!魔神って確か魔王に使える魔族の中でも最高位にあたる存在よ!」
「え!?」
「でも魔神って確か魔王が倒された時に一緒に滅んだんじゃ・・・」
驚くヨルズ達にヴァルボロは説明を続けた。
「それは間違いだ。別に魔王様が倒されたとしても俺達は滅びはしない。それに魔王様ならもうとっくに復活なされた。」
ヴァルボロは衝撃の一言を発した。魔王とは約100年前までこの世界に君臨していた魔族を統べる王であり、かつて勇者によって倒されたという言い伝えがある。
「魔王が復活って・・・」
「でも復活していたらすぐにでもまだ戦争になりそうなんだけど・・・」
「魔王様は確かに復活なされた。しかし、その力は完全には戻っていない。だから、俺達はその時が来るまで紛い物を排除し、お前達人間の宣戦布告する準備を整えている。」
ヴァルボロは余裕綽々と語り始めた。ヴィザル達は構えているが動くことができなかった。ヴァルボロのオーラに圧倒されているのだ。ヴァルボロの威圧感はさっきまで戦っていたネハン達とは比べものにならないぐらい凄まじかった。ヴィザル達は直感していた。こいつこそ本物の魔人、いや魔神なんだと。
「それでここには何の用?」
「紛い物の排除だ。ここにある魔人のなりそこないとそれを産み出す魔薬を排除する。」
「待ちなさい。こいつらは私達が法廷で正しく裁くわ。魔薬もその証拠なの。だからそうはさせないわ。」
「なら、戦うか?」
「ぐっ・・・」
ヴァルボロがジルフレイムを見る。見られただけ体中が震える。今すぐ逃げたいと思う。しかし、ジルフレイムは逃げずにヴァルボロを睨む。
しばらく、静寂が辺りを包み風の音しか聞こえなくなってきた。
「・・・好きにしろ。」
「!」
すると、ヴァルボロから思いもよらぬ発言が聞こえた。ジルフレイムは構えたガトリングガンを下ろした。
「意外と聞き分けはいいのね。」
「目的は紛い物の排除。その方法は問わん。紛い物が消えるならそうするまで。」
(それに魔王様からのお願いでもあるからな・・・)
ヴァルボロはヴィザル達を一通り見るとニヤリと笑い飛んで行った。ヴィザル達はその様子わただ見ることしか出来なかった。
次回予告
ついに魔神の街編終幕!
「やっと私達の出番だ~。」
「長かった。」




