修学旅行や部活合宿とかの部屋割りを決める時って意外とドキドキする
前回のあらすじ
ただのクラン説明回
「確かにそうだけど。」
クエストから帰った後
「あぁ~、疲れた。フレアガルドの奴、私達を利用しやがって。」
サリアが机に伏せていた。ヴィザル達も机についた。
「でも、これでマスターズに推薦してもらえるんですよね。」
「あぁ、もし推薦しなかったら魔聖七天王に宣戦布告する。」
「そこまで!」
「そういえば、あのアンドロイドはどうなったの?」
「あの子ならゲルドのところに一旦預けたよ。」
サリアの質問にクロアが答えた。
「ゲルド?」
「あ、ゲルドは私の義肢を作ってくれる技師さんだよ。」
「え、義肢?」
「そうだよ。」
そう言ってクロアは右手を外してヴィザルに見せた。
「えぇ!」
「クロアは昔、両手、両足を失ってな。そこで魔法技師のゲルド・へブラストスに頼んで義肢を作ってもらったということだ。」
サリアがクロアの過去を簡単にヴィザルに説明した。
「なんか凄い過去があるんですね。」
「大丈夫、気にしてないよ。」
クロアは明るく振る舞っていた。
「ところで、ヴィザルはどこで寝るの?」
エウリアの一言で全員ヴィザルを見た。
「え?」
「そういえば、ヴィザルはここで寝るのか?」
「ここで寝れるんですか?」
「あぁ、ここの二階はメンバー用の個室があってな。俺達は全員、そこで寝ている。ヴィザルもここで寝るか?」
「そうですね。確かに実家からだと遠いですからここで過ごします!」
「よし。で、どこが空いてる?」
「あれ?」
ここでメンバー達は各々の部屋を振り返った。二階に部屋は7つあり、それぞれ二人部屋になっている。
エレ→エレキナ、ヘル→ヘルマ、カリ→カリスティ
クロ→クロア、サリ→サリア、エウ→エウリア
ヴァン→ヴァンガス、ケン
【エレ】 【ヘル】 【カリ】 ー階段ー
窓ーーーーーー廊下ーーーーーーーーー窓
【クロ】【サリ、エウ】【ヴァン】【ケン】
「とりあえず、サリアとエウリアの部屋以外だな。」
「ヴィザル、どの部屋がいい?」
「一番いいのはケンさんの部屋でしょうか。」
「なんで!?」
「一番の常識人じゃないですか!」
「他が常識人じゃないみたいな言い方するなぁ。」
「僕が見た感じ、非常識ばかりでしたよ。」
「意外とはっきり言うよな、お前。」
結局、この日はケンさんの部屋で寝ることになりました。
翌日
ヴィザルはクロアとカリスティと何故か着いてきたフィルディオの三人と一緒にある場所にいた。
そこはとにかく大きい工場みたいな建物でクロアは普通に建物の中に入っていった。
「ゲルドじいさ~ん!どこだ~!」
クロアが探しながら歩いていると奥から爆発音がした。ヴィザル達が急いで行くと煙を吹き出す謎の装置とそこから出て来る煤だらけの老人がいた。
老人は白髪だらけでイケメンではなかったが筋骨粒々でとても老人には見えなかった。そして、車椅子に乗っていた。
「また失敗だ。」
「ゲルドじいさん、今度は何作って失敗したんだ?」
「あぁ、クロアか。この前、お前さん達が連れてきたあのアンドロイド、あれがいきなり暴れたからあれを拘束する椅子を作ったんだが見事に破壊された。」
そう言ってゲルドが指差すと煙の中からマキナが現れた。全裸で。
「何してんだ、ジジイ!」
「あの野郎、また服を燃やしたな。」
「また!?」
ヴィザルはあわててマキナに駆け寄った。
「・・・マスター、命令を。」
「とりあえず、大人しくして服を着てください!」
「・・・了解。」
マキナはヴィザルの言う通りに大人しく服を着た。
「おい、始めからあの小僧がいたらここが半壊せずに済んだんじゃないか?」
「半壊したんだ。」
ゲルドはマキナの文句ばかり言っていた。そこに、マキナを落ち着かせたヴィザルがやってきた。
「そういえば、何故ここに?」
「その前に小僧、誰だ。」
「あ、すみません。アイアンガイアに新しく加入しましたヴィザル・オルディダンテです。よろしくお願いします。」
「・・・おい、脅迫加入は犯罪だろ。」
「脅迫してねぇよ!」
「まぁ、そういうことにしてやる。でだ、このアンドロイドの調査を頼まれた。」
「それで、なんかわかったか、ゲルドじいさん。」
「わからん。こんなハイスペックアンドロイドなんぞ見たこと無い。わかっているのは高度な技術で造られたということと中は普通の人間と同じ構造になっていることぐらいだ。」
「人間と同じ構造?」
「そうだ。こいつは人間と同じ脳、肺、心臓などの内臓から骨格、筋肉、神経組織、さらに生殖器まで忠実に造られている。しかも、生殖器に関しては子宮も存在している。」
「ってことは?」
「このアンドロイド、妊娠するぞ。」
「マジで!」
マキナの構造に驚くクロア達。ゲルドは説明を続けた。
「しかし、排卵機能は操作出来るみたいでな。普通は妊娠しない。」
「ん?どういうことだ?」
「つまりだ。こいつは好きな時に好きな人の精子しか受け付けないってことだ。この場合、マスターと呼ばれたこの小僧の精子しか受け付けないってことだ。」
ゲルドがヴィザルを指差して説明したとたんにヴィザルは盛大に噴いた。
「なるほどね。つまり、彼女はヴィザル君専用の肉・・・」
「それ以上言ったら完全にアウトです。」
カリスティがヤバいことを言う前にヴィザルは全力で阻止したのだった。
「なるほど、なるほど。アイアンガイアの新しいメンバーはヴィザル・オルディダンテ専用のオナニボォ!」
ヴィザルは無言でフィルディオを殴った。それを見たゲルドはクロアに向いた。
「とりあえず、クロア。今までの義肢のメンテ代と交換代金、合わせて114万払ってもらうぞ。」
「・・・」
全力ダッシュで逃亡するクロア。
↓
指を鳴らすゲルド。
↓
クロアを捕まえるネバネバした何か。
ここまで約1秒。
「卑怯だぞ!誰か助けてくれ~!」
「払ってもらうまで帰さんぞ。」
ゲルドはもがくクロアに段々近づいた。
「あの、もしかしてその生物ってスライムですか?」
「そうだ。」
「大丈夫なんですか!?確かスライムって女性ばかりを狙って服を溶かすハレンチモンスターじゃないですか!」
するとスライムは拳を作りヴィザルを殴った。吹っ飛ばされるヴィザル。
「スライムがグーで殴ってきたんですけど!」
「相当怒っているな。落ち着け、シァイルュソョヌスュ。」
「?なんて言いました?」
「ん?だからシァイルュソョヌスュだ。」
「呼びづらっ!」
ヴィザルがスライムの名前にツッコミを入れていると後ろで起動する音がしたおそるおそるその方向を振り向くとマキナが立っていた。
「・・・マスターへの危害を感知。対象を排除します。」
「落ち着いて、マキナー!」
シァイルュソョヌスュにレーザーを発射しようとするマキナ。シァイルュソョヌスュも拳を作りヤル気満々だった。
「落ち着け、シャア!」
「さっきと名前変わってる!そして、その名前はアウトだ!」
二人はなんとかマキナとシァイルュソョヌスュを落ち着かせた。
その夜、アイアンガイアの本部
「なるほど。なら、ヴィザルとマキナは同じ部屋割りにした方がいいな。」
「賛成。なんか怖い。」
「えぇ~。」
こうして、ヴィザルはマキナと一緒にクロアがいた部屋に住み、クロアはエレキナの部屋に住むことになった。
ちなみにクロアはゲルドへの借金を返すために一晩中、工場の修理をさせられていた。
次回予告
とうとうあの設定が登場
「・・・正直、忘れてました。」