二人組作ってはぼっちには厳しい
「はぁ、どうしよう。」
ジルフレイムは悩んでいた。何故かクエストにフィルディオとアテリナが同行していた。
「いい?大人しくすること。わかった?」
「一緒に行きたい!」
「ダメです!」
「でもここでお留守番していたら襲われません?」
「確かに近くにいた方が安全かも。」
フィルディオ達の説得に折れたのかジルフレイムは再び頭を抱えた。
「・・・わかったわよ。姫様は私と同行する。これでいい?」
「やったー!」
喜ぶアテリナを見てジルフレイムは遠い目をしていた。
(これ、絶対後で起こられるやつね・・・)
しばらくしていると馬車はアウステス地方のある街、バラドーナに着いた。ヴィザル達が馬車から降りるとヨルズが説明を始めた。
「目的地のスラム街ニルガーナにはここから歩いて行くことになるわ。その前にここで宿をとって一夜過ごしてから出発よ。」
ヨルズは説明しながらある宿に入った。ヴィザル達もアテリナのことがバレないように後を追って入った。そこで一夜を過ごすのだった。
翌日、宿から出たヴィザル達はバラドーナを出発した。しばらくして歩いているとフィルディオが口を開いた。
「そういえば、さっきの宿で姫様を留守番させたら良かったのでは?」
「・・・」
「・・・それもっと早く言って欲しかった。」
現在、ニルガーナ目前のヴィザル達は後悔していた。
ニルガーナの近くに着いたヴィザル達は入口を見ていた。ニルガーナは広い荒野の真ん中にあり酒類の製造で賑わっていたがある男が仕切ってから繁栄しなくなりだんだん衰退していった。
「10年前にネハンという男が仕切ってから衰退した。そのネハンが最近危険な薬品、魔薬を製造していると噂が立ち始め、その真偽を確かめるクエストが私のところにきたってわけ。」
ヨルズはヴィザル達に説明した。しかし、興味のないフォルスは寝ていた。そこにヴィザルとバルドが頭を殴って覚ました。
「・・・よし、これでいいわね?それでは班分けするわ。」
「班分け?」
「そうよ。みんなで固まったら見つかる可能性が高いから3組に分かれて行動するわ。」
「あぁ、そう。」
「それじゃあ班はこういう風に分けるわ。」
チーム1
ヨルズ、ジルフレイム、アテリナ
チーム2
ヴィザル、バルド
チーム3
フォルス、フィルディオ
「ちょっと待ってー!」
「何よ?」
「おかしくない!?バランスおかしいよね!?なんでそうなったの!普通、バルド兄さんかヴィザルと組むよね!?」
「俺は役立たずとはいたくない。」
「すみませんフォルス兄さん。足手纏いはごめんです。」
「辛辣!」
涙目になっているフォルスをほっといてヨルズ組とヴィザル組はニルガーナに向かって行った。残されたフォルスの肩をフィルディオが叩いた。
「大丈夫ですよ!僕は逃げ足だけは取り柄がありますから!」
「誰か交代してくれぇ~!」
フォルスの叫び声だけが空しく響いていた。




