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鋼絆《メタルバンド》  作者: 高本 龍知
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犯罪者は逃げれない

前回のあらすじ

決着


「サリアさんって詐欺とか得意そうですよね?」

「それどういう意味!?」

ピグノボグを倒し、感動の再会を果たしたエウリア達をサリアとリグラフが見ていた。


「凄いですね。そんな物を用意していたなんて。」

「備えあれば憂いなしってね。」


サリアが自慢気にボイスレコーダーを見せているとそこにケンとジャリパーがやってきた。


「どうやら終わったみたいだな。」

「あぁ、終わったぞ。」


ケンがサリアと話しているとそこにヘルマとシグレ姉妹、エレキナ達、最後にヴィザルとマキナがやってきた。ちなみに、ヴァンガスは城の外で気絶していた。


「これで本当に終わったのですね。」

「そうだ。」

「もう圧政に苦しむこともないんですね!?」

「そうだ!」


ケトリアが涙を流してフェニシア三姉妹と抱き合っているのを見てみんな泣いて喜んでいた。サリア達もその様子を見て静かに微笑んでいた。


その翌日、リグラフ達がピグノボグ政権の終わりとサリアから借りたボイスレコーダー、そしてエレキナ達から聞いた魔獣や魔人の生産のことを国民達に伝えた。それを知った国民達は大喜びししていた。


その日、ヴィザル達はホルキュ前国王殺害と違法生産の罪でピグノボグやヘルメイスのメンバー達が連行されていくのを見た後、城で1日を過ごすことになった。


「ありがとうございます、皆様。おかげで国を取り戻すことができました。」


車椅子に座ったケトリアが改めてサリア達にお礼を言っていた。彼女の後ろには新しく護衛を務めることになったリグラフ達とステリナ、メディッサもいた。


「いやいや、エウリアのために動いただけですから。」


サリアはそう言っているが両目が¥になっている。ケンはすかさずサリアの両目をチョキで潰した。


「ぎゃあ!何するんだ、ケン!」

「露骨過ぎんだよ。何、報酬を求めてんだ。」


両目を抑えのたうち回るサリアをケンは冷たい目で見下していた。その様子を見たケトリア達は少し引いていた。


「そういえば、王家に伝わる財宝ってなんだ?」

「・・・」

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!」


今度は空気を読まずに聞いたヴァンガスの両目をチョキで潰した。


「それでしたらこちらですが。」

「別に大丈夫です。」

「いえ、この国を救ってくれた英雄達なら安心して見せれます。」


そう言ってケトリアは玉座の後ろの金庫にいくとエウリア達を金庫の前に立たせた。すると、ケトリアは扉の上を向いて呪文を唱えた。その時、扉の上が開き魔方陣が現れ三人の眼を写した。そして、魔方陣が消えると扉がゆっくり開いた。


「おぉ~!」

「凄い魔法だ。」


ヴィザル達が驚いていると金庫の中の部屋に明かりが点いた。その中には薄い本が沢山あった。ヴィザル達が不思議に思いながらそのうちの一冊を手に取り中を見るとケトリアや王族らしき人達の若い頃の写真が並べられていた。


「これってもしかしてアルバムですか?」

「はい。これが私達の宝物です。」

「確かに宝物だな。」


ヴィザル達がアルバムを見ている中、サリアは真っ白になって倒れていた。口からは魂みたいなものも見えていた。


「マジかよ。王家に伝わる財宝がアルバムかよ?」

「いえ、実はこの国が貧窮していた時にホルキュさんがこの中にある財宝を売ったので今残っている財宝はほんの少しだけです。」

「優しい王様だったんだな。」

「はい。」


ケンがアルバムを見ているエウリア達を見ながらケトリアと話していた。ちなみに、最初に失礼なことを言ったヴァンガスはたんこぶを作って気絶していた。

すると、ケトリアはエウリアに近づいて優しく話しかけた。


「エウリア、あなたはどうしますか?」

「え?」

「私達と一緒にこの国の王女として過ごすかサリアさん達と一緒に帰りますか?」

「あ・・・」


ケトリアの質問にエウリアは黙ってしまった。彼女はこの国の王女だ。そのため、サリア達とオリュンティア公国に帰るのかここに残るのか選択を迫られていた。


「・・・」

「エウリア・・・」

「エウリアさん。」


サリア達がエウリアを見ていた。エウリアはしばらく黙っていると口を開いた。


「・・・ねぇ、王女って時給いくら?」

「エウリア!?」

「エウリア様、王女に時給はありませんよ!そもそも働く必要ないと言いますか、お金とか心配しなくて大丈夫です!」

「・・・」


手を顎にあて考えるエウリア。


「え、待って。まさか、そこで迷ってる!?」

「サリアさん!何があったらエウリア様が金の亡者になるんですか!?」


なんと、エウリアはお金で悩んでいたのだ。そんな彼女をサリアは涙目で説得していた。ヴィザル達はサリアを冷たい目で見て、フィルディオはサリアを撮りまくっていた。


「・・・でもやっぱり私は王女様ってよりは冒険者の方が慣れているしサリア達と一緒にいることにするわ。」

「そう、分かったわ。」


エウリアの回答にケトリアは静かに頷くとサリアの前に移動すると一礼してお願いした。


「サリアさん、エウリアを、私の娘をよろしくお願いいたします。」

「分かりました。」


サリアはケトリアと握手を交わした。その日、サリア達は城で宿泊した。エウリアは初めて会った家族と共に一緒の部屋に泊まり母であるケトリアから思い出話を聞きながら家族水入らずで夜を過ごした。


翌日、サリア達は新しく改名したフェニシア王国とテテュスバルの国境にある塀の入口にいた。


「また遊びにきてください。」

「いつでも歓迎しますよ。」

「もし王女に戻りたいのでしたら言ってください。」


ケトリア達がサリア達にお別れの挨拶をしていた。サリア達も笑顔で挨拶を交わした。


「また遊びに行きます。」

「今度はオリュンティアのお土産を持っていくわ。」


エウリアはケトリアに抱っこしてもらった後、サリアの隣に並んだ。すると、サリアがエウリアの頭を撫でながら話し始めた。


「これってさぁ。私達は国を相手にして国を救ったってことだろ?」

「そうなるな。」

「もう私達に敵なんていないんじゃない?」


そう言ってサリアは何故かアカメが○る!のナジ○ンダみたいな格好で電子タバコを吹かしながら胸を張っていた。

すると、彼女の肩を誰かが叩いた。振り向くサリア。


「私は異世界著作権管理団体の者ですが━━━」

「・・・」


結局、サリアとカリスティが土下座の末に慰謝料と菓子折でなんとか許してもらえたのだった。

次回予告

久しぶりの日常回


「やっと休める。」

「働け、作者。」

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