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鋼絆《メタルバンド》  作者: 高本 龍知
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命の選別

前回のあらすじ

ヴィザルとマキナが大活躍!


「順番逆じゃなかった。」

ヴィザルとマキナがジクサルと交戦するちょっと前


エレキナ達は地下室の研究室にあるカプセルの中を見ていた。そこには以前イビルオーガが作っていた魔獣と似たような生物がいた。しかし、イビルオーガの時よりもしっかりした体を持ち、爬虫類みたいな見た目をしていた。


「エレキナさん、これってやっぱり魔獣ですよね?」

「えぇ、前のより凶暴そうだけど。」


エレキナ達がカプセルの中を見ていると扉の奥から音が聞こえてきた。その音はチェーンソーの音だった。


「ヤバくない。あいつが戻ってきたんじゃない?」

「隠れましょう。」


エレキナ達は再びカプセルの後ろに隠れた。すると、さっきと同じ化け物が奥から現れた。しかし、今度は研究室の真ん中に留まり何かを探しているようだった。


「あれって私達を探してない?」

「明らかに探してるね。」

「どうしますか?」


エレキナ達が化け物を観察していると、奥から白衣を着た男が現れた。


「まったく、侵入者の一人も見つけられないとは。いささか視力に問題があるか。まぁ、元が元だから仕方ないか。」

(元?)


男はそのまま化け物と一緒に研究室を出て行った。エレキナ達はいなくなったことを確認すると奥の部屋に入った。そこには血塗れのベッドに医療器具や工具があった。そして、その奥には大量の死体が棄てられてあったのだ。


「・・・!」


あまりの惨たらしさにエレキナ達は鼻を覆い、中には吐いてしまう者もいた。


「何これ?」

「ひどい。」

「少なくともここで非人道的な実験が行われていたのは確かみたいね。」


エレキナが棄てられていた死体を見ていると後ろから男の声がした。


「やっと見つけたよ、侵入者共。」

「これ、何が目的なの?」

「実験だよ。人間を魔人にするためのな。」


男はそう言って化け物に手で指示をした。化け物はチェーンソーを振り上げて襲いかかってきた。すると、クロアが片手でチェーンソーを受け止めた。


「おい、この人達はどうやって連れてきた?」

「どうやってって簡単だよ。貧民街の愚民共を洗脳で連れてくればいくらでも手に入るし絶対に暴れないから楽なんだよ。」


男が答えるとクロアはチェーンソーを握って破壊した。その後、化け物を殴って倒した。


「ふざけるな。命はお前の玩具でも実験動物(モルモット)でもないんだぞ。」

「それを決めるのはいつも権力者だ。」


男がそう言っていると化け物が起き上がった。化け物はそのまま折れたチェーンソーで殴ってきた。そこにエレキナが割り込み、化け物の攻撃を受け止めると尻尾で化け物をぶっ飛ばした。


「サリアが見たら確実に発狂して激怒する奴ね。」

「てめえ、人の命をなんだと思ってやがる!?」


エレキナは睨み、トルヤン達は男に詰め寄るが男は冷静に返した。


「なら、ネズミの命はいいのか?」

「は?」

「ネズミだって実験のために日夜殺され続けている。それと何が変わらない?」


男の問いかけにトルヤン達は黙ってしまったがクロアは男の前に立って男をおもいっきり殴った。


「!」

「私、バカだからそういうのはよく分からないけど魔獣とか魔人とか造ってるお前は確実に悪い奴だろ?」

「貴様、話をすり替えるな!私は━━━」


今度はエレキナが男が言い終わる前に殴り飛ばした。


「私達、道徳とか云々よりもお前が嫌いだからで動くから。」

「この野蛮人が。私はこの国最高の科学者、ジョウンキム様だぞ!」

「全然知らん。」

「井戸の中の蛙ね。」


二人はジョウンキムに近寄る。すると、ジョウンキムは何かのスイッチを押した。その瞬間、トルヤン達の後ろの壁が開き中から虚ろな目をした人達が現れた。


「こんな形で使うのはもったいないが仕方ない。そいつらを殺せ!」


ジョウンキムが叫ぶとその人達は一斉にトルヤン達に襲いかかってきた。トルヤン達はなんとか傷付けないように倒しているとジョウンキムがまた何かのスイッチを押した。すると今度はカプセルの中から魔獣が飛び出してきた。


「まだ完成はしていないが魔獣が完成した暁にはヴォルジャーノ帝国は強大な軍事国家になる!」

「それが目的?」

「これって普通に国際法違反ですね。」

「そうだな。ってフィル!?お前、今までどこに行ってた!?」

「隠れてました!」

「おい!」


エレキナとクロアが出てきた魔獣を見ているとフィルディオがひょっこり現れた。二人はフィルディオにツッコミしているとジョウンキムが魔獣に命令した。


「さぁ、魔獣共こいつらを皆殺しにしろ!」


ジョウンキムが命令すると魔獣達は二人に襲いかかってきた。しかし、エレキナは翼を広げ羽ばたくと魔獣達はぶっ飛んでいった。


「何!?」

「私達、魔獣とか普通に倒せるから。」

「その程度で強大な軍事国家とか笑わせてくれる。ウチの国にはな、裸露出で国を滅ぼす龍人がいるだぞ!」


クロアがそう言った瞬間、エレキナは尻尾で彼女を地面にめり込ませた。フィルディオはその様子を写真に収めている。


「これで残りはあんただけかな?」

「くそ!ならば私が魔人になって殺してやる!」


そう言うとジョウンキムは注射器を自分の首に刺した。すると、ジョウンキムの体がみるみるうちに変化していき、上半身が筋肉だらけになった化け物になってしまった。


「うわぁ、キモッ。」

「魔人ってこんな感じになるの?最悪ね。」

「死ねえぇー!」

「語彙力もなくなってる!」


二人はジョウンキムの攻撃を避けるとクロアは義手からレーザーを放って攻撃した。それに合わせてエレキナも口から光線を放った。

しかし、ジョウンキムには効いていなかった。


「無駄だ!この魔人の体はあらゆる攻撃が効かん!」

「わーぉ、フラグ。」


クロアは両腕から細かいレーザーを一斉掃射して攻撃した。レーザーはジョウンキムの周りも巻き込み爆煙が上がった。


「やったか!?」

「あ、これやってない奴だわ。」


クロアは叫ぶがエレキナは冷めた表情で言っていると煙の中からジョウンキムが姿を現した。


「無駄だよ。諦めて私の実験動物(モルモット)になれ。」


ジョウンキムが二人に近づいたていると二人の後ろからトルヤン達がやってきた。その後ろにはさっきまで虚ろな目をしている人達だった。しかし、今はそんな目をしている人はいなかった。


「あれ、どうしたその人達?」

「なんか、急に倒れたと思ったら正気に戻ってた。」


トルヤン達の後ろの人達を見たジョウンキムは青ざめていた。


(バカな!?何故、洗脳が解けている!?まさか、ジクサルが殺られたというのか!?)


ジョウンキムが慌てているとジョウンキムの後ろで倒れていた魔獣が起き上がった。それと同時に最初に見た化け物と似た化け物も現れた。


「よ、よし!これで形勢逆転だ!殺してやる!」

「ダサッ。」


ジョウンキムは魔獣や化け物をエレキナ達に襲わせた。エレキナとクロアは再び攻撃しようとした。


「先に言っておくがそいつらは私の実験で生まれた元人間だ。」

「!」

「お前達に人間が殺せるか!?」


ジョウンキムは高らかに笑い、トルヤン達は攻撃に躊躇していたがエレキナとクロアは何の躊躇いもなく化け物達の首をはねた。


「!」

「・・・もう、この人達はお前に人間として殺されている。」

「もうこれ以上、人間の尊厳を汚させるぐらいならここで終わらせる。」


二人の行動にジョウンキムは戦いた。


「まだだ!まだ魔人となった私がいる!」


ジョウンキムはそのまま二人に向かって走り出した。その瞬間、ジョウンキムの胸に穴が空いた。


「え?」

「な、何が・・・起こった?」


ジョウンキムは何が起きたのか分からず、前のめりに倒れた。エレキナ達も何が起きたのかわかっていなかった。


「何が起きたの!?」

「分からん。いきなりあいつの体に穴が空いたぞ!」


クロア達が困惑しているとエレキナが出口に走り出した。


「みんな、考えるのは後!先にここを出ましょう!」

「そうですね。そっちを優先しましょう。皆さん、行きましょう!」


エレキナに続いてフィルディオを出口に向かった。それを見たクロアやトルヤン達も出口に向かい出した。


「・・・」


最後にクロアが地下室を出るとそこにはジョウンキムだけが残されていた。

次回予告

離ればなれになった三姉妹が遂に会合する。


「私のお姉ちゃんってどんな人なんだろう?」

「意外と変態に一票。」

「カリスティ~!」

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