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鋼絆《メタルバンド》  作者: 高本 龍知
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国のNo.2は大体野心家

前回のあらすじ

著作権管理団体って怖いね。


「今すぐ土下座しに行ってください。」

エウリアが目を覚ますと知らない部屋にいた。起き上がろうとすると手枷がなくなっていることに気が付いた。エウリアはベッドから出ようとした時、扉から一人の女性が入ってきた。その女性はエウリアを見ると涙を浮かべ、近寄って来た。


「エウリア様、ご無事で本当に良かったです。」

「え、何のこと?」


エウリアは何が起こったのか分からず動揺していると今度は褐色肌の老人が入って来た。


「エウリア様!目が覚めたのですね。」

「あんた、誰?」

「そうですね。覚えているわけないですよね。私はあなたのお母様であるケトリア・フェニシア様の護衛団長のリグラフ・トリニティです。」


リグラフは膝を着いて自己紹介を始めた。それに続いて最初に来た女性も同じように膝を着いて自己紹介を始めた。


「はじめまして、エウリア様。私はケトリア様のメイドとしてお仕えしておりました。モシコ・マスィリャーと申します。」


モシコの自己紹介が終わると部屋に次々と人が入って来た。


「良かった!エウリア様が帰って来られた!」

「これでピグノボグに対抗できる!」

「国を取り戻せるぞ!」

「何これ?」

「エウリア様、こちらへどうぞ。」


エウリアはリグラフに連れられ、部屋を出るとそこは崖っぷちに作られた秘密基地みたいだった。その中でも一際広い部屋に入るとみんなエウリアを歓迎していた。


「ねぇ、私の仲間はどこ?」

「え?」

「あぁ、あの時私の周りにいた兵士はカリスティの変装魔法で変装した私の仲間よ。」

「そうかい。」


エウリアがリグラフに質問していると一人の男が答えた。彼はあの時サリアにナイフを突き立てた男だった。


「それは失礼なことをしたな。しかし、例えお姫様の頼みでもその仲間をここに呼ぶつもりはない。」

「別に必要ないよ。」

「!?」


男が答えた瞬間、サリアの声がした。リグラフ達はあわてて探していると上の方にある入り口にサリア達がいた。


「サリア!」

「待たせたな!」

「それがいいたいだけだろ。」

「どうしてここがわかった!?」

「それはこれだ。」


そう言うとサリアはヴィザルが破ったマントの切れ端だった。


「それは私の!」

「だが、それから何の情報が分かるってんだよ!?」

「こっちには鼻の効く俺がいる。」


そう言ってヴァンガスが階段を降りて来た。


「俺は狼の獣人だからな、嗅覚が優れているんだよ。」

「でも、私に匂いなんて!」

「臭ったぜぇ。生理の臭いがよぉ!」

「きゃぁ!」


ヴァンガスがそう言った瞬間、少女は股間を抑えて踞った。その後、ケンがヴァンガスを殴った。その間に少女のところにその少女と同じ顔の少女が駆け寄ってきた。


「なんてことを!姉様の生理の匂いなんて私でも嗅いだことないのに!」

「待て!そこの女、今ヤバいこと言ったぞ!」

「ヒーサーメー!」


少女達が騒いでいるうちにサリア達はリグラフ達の前に立った。


「さて、エウリアを返してもらうぞ。それとなんでエウリアの命を狙ったのかも洗いざらい吐いてもらうぞ。」

「命を狙った?何のことだ?」

「惚けるか。オリュンティア公国で襲ってきたくせに。」

「何のことだ!?私は知らんぞ!」

「リグラフ隊長。多分、ヘルメイスの仕業です。」

「なんだそれ?」

「ヘルメイス、ピグノボグの私設暗殺部隊のことだ。」

「ピグノボグってこの国の現国王だったな。」

「あんな男が王などと!」


リグラフはいきなり机を拳で叩いた。ドンッという音が響いた後、リグラフは話し始めた。


「お前達がエウリア様の仲間なら話そう。この国の真実を。」


リグラフは椅子に座るとゆっくりと語り出した。


「この国の本当の名前はフェニシア王国。」

「え、フェニシア!ってことはエウリアって。」

「そうだ。フェニシア王国国王ホルキュ・フェニシア様とその王妃ケトリア・フェニシア様との間に産まれたフェニシア三姉妹の次女でございます。」


リグラフはエウリアを見てそう言った。エウリアはいきなりのことで困惑していた。


「え、えっ!?私がお姫様で姉と妹がいるの!?」

「それでその二人はどこだ?」

「それがあの日━━━」




時は遡り12年前

フェニシア王国国王ホルキュが謎の不審な死を遂げたところから始まった。


「あなた・・・」


葬式の途中、ケトリアは涙を流して悲しんでいた。その後ろにはまだ産まれたばかりのエウリア達三姉妹を抱えたモシコ達がいた。

葬式が終わり、ケトリア達が城に戻ると小太りでハゲている男が前にいた。


「心中お察しします、女王陛下。」

「ありがとう、ピグノボグ大臣。」


そう。この男がヴォルジャーノ帝国現国王になるピグノボグ・ヴォルジャーノだった。

彼は悲しんでいるケトリアを部屋に送った後、城の地下に向かった。そこには大きな空間が広がっていた。その中心に一人の男がいた。


「どうだ?」

「問題無い。このぐらいの広さなら十分生産は可能だ。後は邪魔者を始末するだけだ。」

「そこは任せろ。」


そう言ってピグノボグは去って行った。


そして、葬式から数日経った日にまた事件が起きた。なんと、ホルキュの死がケトリアの犯行だとピグノボグが発表したのだ。ホルキュは国民から愛されていたため、このことを知った国民達はケトリアを糾弾した。

もちろんケトリアは何のことかわからない。彼女はリグラフに連れられて城からの脱出を試みた。しかし、玄関の前にピグノボグがいた。


「ピグノボグ大臣。」

「どこへ行かれるのですか?」

「大臣!これは何のマネだ!?」

「何を言っているんですか?国王様を殺害したのはあなた達です。」


ピグノボグが手を上げた瞬間、ケトリア達の後ろから現れた男が兵士達を倒したのだ。


「だ、誰だ貴様!」

「お前もいずれこうなる。」


男が手を前に伸ばすと倒れた兵士達が起き上がった。そして、一斉にケトリア達に襲いかかってきた。


「な、お前達、何をしている!」


リグラフは向かってくる兵士達を気絶させるとケトリアを連れて逃げ出した。


「追います。」

「あぁ、頼んだぞ。」


男はすぐに追いかけに行った。

リグラフ達が逃げているとモシコ達と合流した。


「大丈夫ですか!?」

「私達は大丈夫です。ケトリア様は大丈夫ですか?」

「私も大丈夫です。しかし、何故ピグノボグ大臣がこんなことを?」

「あの男のことです。おそらく王家に伝わる財宝が目的でしょう。」


リグラフは噛み締めながら言った。それを聞いたケトリアはモシコが抱えている三姉妹の頬を撫でた。


「それでしたら私に考えがあります。リグラフはみんなを連れて安全な場所へ。」

「何をするつもりですか!?」

「私は王妃として、母として守り抜きます。」


そう言ってケトリアは三姉妹にキスをした。


「ステリナ、エウリア、メディッサ、ごめんね。あなた達ともっと一緒にいたかった。」


ケトリアはキスをした後、リグラフの方を向いて頷いた。リグラフも涙を流しながらモシコ達と一緒に逃げて行った。

そして、隠し通路から城を脱出した後、城には多くの国民がなだれ込んできた。

この日、フェニシア王国は歴史から消えて行った。



「そんなことが。」

「あぁ、あれからケトリア様の行方は分からず逃げている途中でステリナ様が捕まり、エウリア様も捕まりそうになってしまいました。」

「それから苦肉の策でエウリア様を特殊な駕籠にお入れして川に流したのです。」

「それで俺達のところにきたわけか。」


ケンがエウリアを見て言っているとヴィザルがサリアとケンに質問した。


「あれ?どうやって出会ったんですか?川に流したって言ってましたけどこの辺りとオリュンティア公国を繋ぐ川ってありませんよね?」

「あぁ、ない。その時は俺とサリアがテテュスバルの近郊に流れている川から発見したんだ。そこには“この子の名前はエウリア・フェニシアです。大事に育ててください。”って書いてあったよ。」


ケンがヴィザルに説明しているとリグラフ達が泣いていた。


「良かった。あなた達のような人達に拾われて本当に良かった。」

「嬉しくて、嬉しくて、言葉にできません。」

「なんかアウトな気がするのは気のせいですか?」

「気のせいです。」


ヴィザル達がリグラフ達を見ていると部屋の奥から一人の少女が現れた。その少女はエウリアに瓜二つだった。


「エウリアと同じ顔だ。」

「ってことはあの子が。」

「はい。エウリア様の妹君のメディッサ・フェニシア様です。」


エウリアは初めて会う自分の妹に戸惑っていた。すると、メディッサが涙を浮かべながらエウリアに近づいてきた。


「・・・お姉ちゃん?」

「・・・み、みたいね。」

「お姉ちゃん!」


メディッサはエウリアに抱きついた。そのまま泣きながら”お姉ちゃん“と連呼している。その光景にみんなが感動しているといきなり爆発音が響いてきた。

次回予告

バトルありま~す。


「くそっ!真面目な次回予告が続かなかった!」

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