母を訪ねて三千里は歩くと大変だけど車とか飛行機使うとそうでもない
前回のあらすじ
高知市散歩
「どうだった?」
「意外と楽しかったですよ。」
ある日、ヴィザル達アイアンガイアのメンバーは全員、ある森の中にいた。
「よし!これから薬草採取を始めるぞ!」
今回のクエストはある薬草の採取。その薬草がある森には危険なモンスターが多くいるということでアイアンガイアのメンバー全員で挑むことになった。
「今回採取する薬草はドレボボルグという傷薬に使われる薬草だ。希少価値が高いから成功すれば多額の報酬が期待できる!みんな、死にもの狂いで取れ!」
「張り切っていると思ったらやっぱり金か。」
ヴィザル達は手分けしてドレボボルグを探し始めた。ドレボボルグは見た目は厚くてギザギザの葉っぱが特徴の薬草である。
ヴィザルが探していると前から狼のモンスターが数頭現れた。ヴィザルはそのモンスター達を一瞬で倒した。
一方、エウリアが一人で探しているとある泉に着いた。
「綺麗ね。」
エウリアがその泉に近づいてみると泉の近くにドレボボルグが生えているのが見えた。
「ラッキー!これでクエストクリアね!」
エウリアがドレボボルグを採取し始めた。すると、後ろからいきなり数人のマント姿の男達が襲いかかってきた。しかし、エウリアは冷静に杖を振ると男達は吹っ飛んだ。
「誰か知らないけど私に喧嘩売るのは100年早いんじゃない?」
「そうでもねぇよ。フェニシア姫。」
「え?」
すると、エウリアの前に現れたマント姿の男が気になることを言った。そして、手を翳した瞬間にサリアが炎を男に向けて放った。しかし、男は無傷だった。
「エウリア、何だこいつら!?」
「わからないわ!なんかいきなり襲ってきたのよ!」
二人は男を睨む。男はまた手を翳そうとしている。サリアはその前にまた炎で攻撃した。それに合わせてエウリアも風の槍で攻撃した。
二人の魔法はそのまま男に向かった。しかし、男の前で炎と風が曲がった。いや、歪んだのだ。
「なんだ、あの魔法!?」
「見たことない!」
男はニヤリとして再び手を翳した。その時、今度はクロアが後ろから殴ってきた。男はそれを避け、クロアに手を翳したらクロアの腕がグニャリと曲がってしまった。
「なんだ!?」
クロアはとっさに距離をとって曲がった腕を外した。
「ほぅ、義手か。」
男がクロアの義手を見ているとそこにケンやヘルマもやってきた。
「何者だ?」
「答えると思うか?」
「そうだな。ならば今捕まえる。」
ケンは男に詰め寄ろうとするとクロアが止めた。
「待って!あいつ、変な魔法を使う!」
そう言ってクロアはひしゃげた義手を見せた。ケンがその義手を見ていると男が下がった。
「さすがにここは退くのが得策だな。お前ら、フェニシアの過去が知りたければヴォルジャーノ帝国に来るといい。そこで知るだろう。その女が何者かをな。」
そう言って男は消えていった。
「なんだ、あいつ?」
ケン達はいつの間にか消えている他の男達も探したが結局見つからなかった。その後、ヴィザル達とも合流してメタルバンドに帰った。
ちなみに、ドレボボルグはちゃんと採取してクエストはクリアしたのだった。
メタルバンド内
「それで、ヴォルジャーノ帝国って何?」
みんなが集まるとサリアが最初に口を開いた。それに答えたのはケンだった。
「ヴォルジャーノ帝国。確か12年ぐらい前に革命が起きてできた国だ。しかし、その前の国の名前は何故か当時の記録から抹消されて辿ることは出来なかった。」
「場所は?」
「オリュンティア公国の北東約15,000kmだ。」
「遠っ!」
「しかも道中には険しい山脈もある。」
「うわぁ。」
ヴォルジャーノ帝国のことを知らないヴィザル達はあまりの遠さに驚いていた。
「どうやって行くのよ?」
「どうって馬車とか?」
「結構かかりますよ。」
「車があればなぁ。」
現在、サリア達は車を持っておらず、免許を所持しているのもケンだけだった。サリア達が悩んでいると床下からフィルディオが現れた。
「僕にいい案がありますよ。」
「だからお前はどこから入ってきてんだぁ!」
頭にたんこぶを付けたフィルディオがサリアの隣に座るとヴォルジャーノ帝国とは違う国を指差して話を始めた。
「確かにヴォルジャーノ帝国へ直に行くと大変です。ここは国境に高い塀が並び、検問は厳しいうえに空港もありません。しかし、お隣の国テテュスバルにあるテテュスバル国際空港はカブジナの隣の都市トサールのオリュンティア空港から飛行機で数時間で着きます。この方法なら山も越えれますしそこから馬車で約2時間ですよ。」
「なるほど、文明の利器を最大限使ってるな。」
「僕、オリュンティア公国を出るの初めてなんですが。」
「いいじゃないか。いい思い出になるぞ。」
ヴォルジャーノ帝国への行き方が決まったことでサリア達は早速、準備を始めた。
しばらくするとサリア達が戻ってきた。クロアは浮き輪、虫取網、虫籠を持っていた。
「小学生の夏休みか!」
まず、ケンがクロアを殴り飛ばした。次にヴァンガスの荷物を見ると中には歯ブラシ、水筒、トランプ、タオル、お椀、サイコロ×3が入っていた。
「修学旅行か!しかも、何チンチロしようとしてんだ!」
ケンはヴァンガスを殴り飛ばした。次にカリスティを見ると大量のSMグッズを持っていた。
「お前に至っては何がしたいんだー!」
もちろん、ケンはカリスティを殴り飛ばした。その後に他のメンバーの荷物を見たら特に問題はなかった。
サリア以外。
「サリア、隠した物見せろ。」
「えっ?何のこと?」
とぼけるサリアの隙をついてエレキナがそれを取るとテテュスバルのパンフレットだった。
「何これ?」
「あ、あははははは。」
「何、さらっと他の国で旅行しようとしてんだ!遊びじゃねぇぞ!」
ケンがサリアを殴り飛ばした後、エウリアがサリアの前にきた。
「ねぇ。本当にいいの?私も自分が何者かわからない。もし、私がヤバい奴とわかったらどうしよう。」
エウリアが下を向いているとサリアはエウリアの肩に手をかけ、彼女の視線に合わせてしゃがんだ。そして、彼女に優しく語りかけた。
「エウリア、お前の過去なんて正直どうでもいい。だって私達が知っているのは今のエウリアだ。例えお前が何者であっても私達にとっては大切なアイアンガイアのメンバーだ。私達が行く理由はお前に喧嘩売ったあいつらを殴り飛ばすためだ。」
「うん、ありがとう。」
エウリアは涙を拭ってお礼を言った。それをヴィザル達は黙って見守っていた。すると、フィルディオはサリアに話しかけてきた。
「あの~、皆さんでヴォルジャーノ帝国へ飛行機に乗って行くんですよね?」
「そうだ。だが心配するな。明日には長期クエストとして国に申請するから大丈夫だ。」
「いえ、そっちではなくてパスポートはどうするんですか?」
「・・・」
フィルディオの質問にサリア達は黙ってしまった。ちなみに、今パスポートを持っているのはケンとカリスティとフィルディオだけだった。
翌日、サリア達は急いでパスポート申請をしにいった。
次回予告
ヴォルジャーノ帝国に侵入するアイアンガイア。そこで待ち受けるのは・・・
「おぉ、いい緊張感じゃん!」
「その一言で台無しです。」




