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鋼絆《メタルバンド》  作者: 高本 龍知
48/406

男の娘でもいいじゃないか

前回のあらすじ

どんなに離れてても

心は側にいるわ♪


「まだ歌ってた!」

この日、ヴィザルはヴァンガスと一緒にある店に足を運んでいた。


「ヴィザル、本当にこっちで合ってんのか?」

「はい。ヘルマさんが働いているお店は確かにこっちのはずです。」


二人は今、ヘルマが働いている店に向かっていたのだ。


「そういえばどんな店だ?」

「えっと、確か接客系のお店って言ってました。」

「まったく、そこで手伝いの依頼かよ。」

「そういえば、ケンさんも一緒に誘ったんですけど他のクエストがあると言っていなくなりましたけど。」

「別にいいんじゃないか。あいつがいなくても。」


二人がしばらく歩いているとその店に着いた。そこにはモミモミパブクラブと書いてある看板があった。


「・・・ヴィザル、本当にここで合ってるか?」

「はい。ヘルマさんの言う通りに進むとここです。」

「・・・ヴィザル、道を間違えたんじゃないか?」

「そうですね。一旦、戻りましょう。」


二人が帰ろうとした瞬間、ドアから胸元が空いているメイド服姿のヘルマが現れた。彼は満面の笑みで二人を見ると逃げようとする二人の襟を掴んだ。


「いらっしゃいませー!2名様ですね!逃がしませんよー!」

「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」


二人はヘルマに襟を掴まれ強引に入店させられた。店の中に入ると様々なコスプレをした女の子達が客と会話してたりと風俗店みたいだったがそれ以外は普通の店だった。ただ一つ、ステージにあるポールを無視すれば。


「け、結構いい雰囲気の店じゃねぇか。」

「うん。なんかもっといかがわしい店だと思ってました。」

「失礼だよ。それに前一緒に依頼に行った時にヴィザル君、言ってたよね。行ってみたいですって。」


三人が店の中を歩いていると前からチャイナ服を着た銀髪の少女がやってきた。よく見ると耳が尖っていてエルフだということが分かる。


「ヘルマ、もしかしてその子達がアイアンガイア!?」

「そうだよー!」

「感激!私はクリス!よろしくね!」

「よろしくお願いします。」


二人はクリスと握手した。彼女がニコッと笑うとヴィザルはドキッとした。


「あ、最近に言っておきますと私は男でーす!」

「・・・え?」

「っていうかここで働いている子は皆、男の娘でーす!」


クリスのカミングアウトを聞いた二人は一目散に出口に向かって走り出した。しかし、いきなり現れたドレスを着ているが明らかに男と分かる少し太っている男が二人を捕まえた。


「あらぁ、逃げないで!折角、ヘルマちゃんが連れてきてくれたのにー!」

「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」

「自己紹介がまだだったわね!私はボピー・オロゴンよ。よ・ろ・し・く・ね!」

「その名前はなんかアウトだー!」


二人はなんとか逃げようとするがボピーの腕力に勝てず頬をスリスリされながら従業員控室に連れていかれた。


「急に呼んでごめんなさいね。マスターズでアイアンガイアが優勝してヘルマちゃんが大活躍してくれたからお店が大繁盛しちゃって人手が足りなかったのよ!」

「ヘルマー!」

「丁度いいと思いまして。」


ガッツポーズしているヘルマに二人が睨んでいるとボピーがどっかからか服を出してきた。

メイド服

セーラー服

体操服とブルマ

チャイナドレス

バニーガール

スク水(女性用)

シースルー水着

踊り子の服

かなりきわどいローブ

ねこランジェリー

絆創膏


「さぁ、この中から選んで。」

「「選べるかぁぁぁぁぁぁぁ!」」

「どう考えても僕達が着る服じゃないですよね!?」

「っていうか絆創膏ってなんだ!?もう服ですらねぇ!」


二人は猛抗議しているがヘルマとボピーに無理矢理着せられてしまった。結局、ヴィザルは体操服とブルマ、ヴァンガスはセーラー服を着せられた。


「もう、どうにでもなれ。」

「お前はまだいいだろ。俺なんか違和感しかねぇぞ。どう考えても明らかに変態のコスプレイヤーだぞ。」

「二人とも似合ってます!」

「嘘つけ!」


二人はヘルマに連れられ、店の中を歩いていた。


「こんな格好、サリアさん達には見せれませんね。」

「もし見られたら自爆してやる。とりあえず、バレないようになんとか乗り切るぞ。」

「分かりました。」


店内を歩く三人。

笑顔で撮影するフィルディオ。

フィルディオに飛び蹴りする二人。


「なんでてめえがいるんだぁ!」

「やだなぁ、面白いからに決まっているじゃないですか!」

「消してください!写真も記憶も!」


二人が必死にフィルディオからカメラを取り上げようとするとボピーがやってきた。


「お客様、店内での撮影はお断りしています。」

「あ、はい。」


ボピーに言われてフィルディオは写真を消した。その様子を見た二人はホッと一息をついた。


「た、助かった。」

「ちゃんと役にたってくれたな。」


二人が安心しているとフィルディオはスケッチブックと鉛筆を取り出し一瞬で二人をスケッチした。


「これは大丈夫ですか?」

「それならOKよ!」

「駄目だー!」

「なんでここでそんな得意技が出てくるんですか!?」


二人がスケッチブックを破壊していると今度はバニーガール姿の男が現れた。しかし、見た目はどこから見てもスレンダー美女でヘルマほどではないが胸もあった。


「あら、ヘルマのクランにいた子達ね。」

「まさか、こいつも男かよ。」

「えぇ、私はエレンよ。よろしくね。」

「あなたもヘルマさんと同じ病気なんですか?」

「いや、これは豊胸手術で手に入れたわ。」


そう言ってエレンはその胸を二人に見せつけてきた。その胸は近くで見ても本物と変わらない胸だった。


「そこまでするんですか!?」

「これのおかげでここまでこれたのよ。」

「彼女はうちのNo.2よ。そうだ!折角だから紹介してあげる!エレン!」

「わかったわ。行くわよ、ヘルマ。」

「はい!」

「?」


ヘルマとエレンがステージに行った後、ステージが暗くなった。そして、再び明かりがつくとボピーがマイクを持ってステージに立っていた。


「みんなー!楽しんでるー!?」


ボピーの問いかけに客達は盛り上がっていた。しかし、ヴィザルとヴァンガスだけは反応せずただじっとしていた。


「じゃあ、今月のトップ5を教えてあげる!」


ボピーが手をステージに向けるとまずは踊り子衣装の褐色肌の子がポールに寄り添っていた。


「まずは第5位、魅惑のポールダンスでみんなをメロメロ!あそこもメロメロ!クール系踊り子のナディアちゃん!」


ボピーに紹介されたナディアはそのままポールダンスを始めた。見た感想はなんかエロい。しかし、二人は無表情でステージを見ていた。


「なんだこれ?」

「次は第4位、明るい笑顔と可憐な身体でみんなを元気にさせる!妹系元気っ子のクリスちゃん!」

「はーい!」


次に現れたクリスはみんなにウインクすると客達は股間を抑え始めた。それでも、二人は反応しなかった。


「ここには変態しかいないのか?」

「次は第3位、可愛い童顔のいたずらっ子!その愛らしさについつい許しちゃうペット系アイドルのローランちゃん!」

「みんな、よろしくね!」


スク水を着て現れたローランはF○teに登場するアス○ルフォに狐の耳と尻尾がついている子だった。


「・・・アウトー!」

「完全に他のパクリですよ!訴えられたら惨敗しますよ!」

「次に第2位は・・・」

「俺の話を聞けー!」

「5分だけでもいいー!」


二人の抗議も空しく進んでいった。次に出てきたのはエレンだった。紅の髪を靡かせて歩く姿はモデルそのものだった。


「妖艶な身体と魔性の笑みは見る人を夢へと誘う。小悪魔系お姉さんのエレンちゃん!」

「・・・」


現れたエレンは両手で胸を寄せて客達に見せていた。客達もエレンの胸に魅了されたのか鼻血を出している客まで現れた。


「もうアウトだろ、この店。」

「この店に風適法はあるのでしょうか?」

「さぁ、皆さんお待ちかね!第1位よ!その容姿はまさに女神様からの贈り物!その姿に誰もが見とれる天使系メイドのヘルマちゃん!」

「うおぉぉぉぉぉぉ!」


ヘルマが出てきた瞬間に客達は立ち上がって叫び始めた。中には涙を流しながら拍手する客もいた。ヴァンガスが呆れて見ていると隣のヴィザルが股間を抑えて倒れていた。


「嘘だろ、ヴィザル!」

「・・・痛い。」


ヴァンガスがヴィザルを介抱しているとステージにヘルマ達5人が並び各々のポーズをとった。その瞬間、店内の盛り上がりは最高潮に達した。

忘れてはいけないが5人全員男である。

ボピーの紹介が終わるとヘルマが二人のところに戻ってきた。


「どうしたの、ヴィザル君?」

「大丈夫です。自分を失いかけただけです。」

「全然大丈夫じゃないんだけど。」


ヘルマがヴィザルを心配しているとヘルマの手首にある何かがピーっと鳴った。


「なんだそれ?」

「これはお客様から指名がきたことを教える装置です。」

「ってことはお前に指名がきたと?」

「はい!一緒に行きましょう!」


ヘルマに連れられて二人が指名した客がいる席に行くとそこには


「見てたぜ。さすがNo.1だ。」


ギガントタイタンマスターのギガストロが座っていた。


「お前かよぉぉぉぉぉぉ!」

「何してんですか?」

「何って客として来てんだよ。」

「いいのかマスター。」


ギガストロは二人を見ると温かい目で笑った。


「・・・」

「何か言えよ!文句でも罵倒でもいいから何か言え!黙って見られるのが一番ムカつく!」

「あの、お客様。ご要望は?」

「ヘルマ、胸を揉ませてくれ。」

「変態だ~!」


ギガストロの注文に二人はドン引きした。ちなみに、ギガストロは真面目な顔で注文している。


「駄目ですよ、お客様。」

「そうだ!この変態に言ってやれ、ヘルマ!」

「胸を揉むなら1分一万レクスです。」

「そうじゃねぇ!」

「60万払おう。」

「まさかの1時間!」


ギガストロが札束を出すとヘルマはゆっくりとこっちに振り向いた。


「・・・後は頑張ってください。」

「ヘルマ~!」


ヘルマへそのままギガストロと一緒に奥にあるカーテンの向こう側へ消えていった。


「どうすんだよ。」

「どうしましょう?」


二人が立たずんでいるとクリスが声をかけてきた。


「二人とも!新しいお客様がいらっしゃったから接客お願い!」

「え?この格好で?」

「こうなったらその客が知らない奴だということに賭けて行くぞ。」

「分かりました。」


二人はなんとか知らない人でありますようにと願いながら入り口に向かった。そこには


「どうじゃ?なかなかいいところじゃろう?」

「ほぅ。初めてきたがいい雰囲気じゃな。」


オールドマギアマスターのバースロットと魔聖七天王(セブン)のミョルニオスがいた。


「お前らかよぉぉぉぉぉぉ!」


二人は膝を着いて項垂れた。


「おや、珍しい。アイアンガイアのお二人さんじゃないか。」

「久しぶりじゃのぉ。」

「しかも、ちゃんと知っていたー!」

「ほれほれっ!ワシらはお客様じゃぞ。早く席に案内せぇ。」


バースロットはニヤニヤしながら二人を見ていた。二人は屈辱的な表情をしながらバースロットとミョルニオスを席に案内した。二人が席に座ると机に置いてあるタブレットを取り出して注文を始めた。


「そうじゃのぉ。ここはいつも通りのシャンパン2つをヘルマ君に・・・おや、もうとられておるのぉ。仕方ない、ここはローラン君をリボンラッピングで注文じゃ。」

「待て!リボンラッピングってどんな注文だ!」

「ミョル爺は初めてだからフランクフルトとチョコバナナも注文しよう。」

「待ってください!なんかもうアウトな気配しかしないんですが!ここってどんな店なんですか!?」


二人がツッコミを入れているとローランがやってきた。全身にリボンを巻き付けて両手にフランクフルトとチョコバナナを持って。


「・・・もう駄目だ。俺は逃げるぞ、ヴィザル。」

「逃がしませんよ。もう少し頑張ってください。」


二人がこそこそ話合っているとバースロットが二人に話かけてきた。


「そういえば、ケンはどうしたんじゃ?」

「ケンさんは他のクエストがあると言ってどっか行きました。」

「こんなことになるのなら俺もクエスト受注しとけば良かった。」

「おかしいのぉ。ケンにはこの店のことを教えてやったのに来ておらんのか?」


バースロットが不思議に思っていると二人はメラメラと燃え出した。それは近くで見ていたローランがびっくりするぐらいに燃えていた。


「あの野郎~、知っててバックレやがったな!」

「初めてケンさんに怒りが沸きました。」


二人はメラメラ燃えながらなんとか依頼のお手伝いを済ませていた。



メタルバンド

「ただいま。」

「お帰り。」


そこにはクエストから帰ってきたケンがサリアに挨拶していた。


「ケン、どうだった?」

「特になんもないよ。」

「あれ、ヴィザル達と一緒じゃなかった?」

「・・・いろいろあって俺だけ別行動になった。」


ケンが汗のかきながら部屋に戻ろうとするとヴィザルとヴァンガスが現れケンの肩を掴んできた。

「そのいろいろを聞かせてもらおうか?」

「ケンさん。バックレは駄目ですよ。」

「・・・すまん!」


全力で逃げるケン。


「待てや、こらぁ!」

「とりあえず、ケンさんは絆創膏です!」


それを追うヴィザルとヴァンガス。


「何があったんだ?」


その様子を目を丸くして見ていたサリア。すると、ヘルマが帰ってきた。


「・・・」

「お帰り、ヘルマ。」

「・・・」

「ん?どうしたんだ、ヘルマ?」

「・・・サリアさん。とりあえず僕の胸を揉んでくれませんか?」

「本当に何があったぁ!」

次回予告

ふぅ。


「次回予告でヌくなぁ!」

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