競走馬ってたまにすごい名前の馬がいるよね
前回のあらすじ
エウリア達のコメントはつまんないのでカットです。
「ふざけるなぁー!」
現在、サリアはある場所にいた。彼女の前には空中に浮かんだいくつかの大きな輪っかがあった。すると、歓声と共に12体のワイバーンが並んだ。
「・・・」
サリアが固唾を飲んで見守る中、銃声と共に一斉に12体のワイバーンがスタートした。ワイバーン達は輪っかの中をくぐり抜けながら競いあっている。そして、3周した後にスタートしたところの輪っかをくぐり抜けると空中に順位と名前が貼り出された。
「くっそ~!やっぱりワイナードさんのシルクラグーンじゃないと駄目か~。」
そう。ここは第1話の用語集で説明した競竜が行われるカブジナワイバーン競竜場である。
本当にこれを紹介する機会がなかったから危うく死に設定になるところだった。
「どうしよう!?もう止めようかなぁ。いや、もしかしたら次はいくかもしれないからあと一回だけいこう。」
「何してるんですか、サリアさん?」
サリアが再び賭けようとしていると後ろからヴィザルが声をかけてきた。サリアはヴィザルの方を向かず手を伸ばしてヴィザルを制止した。
「待ってヴィザル!あと一回、あと一回で今までの損失分を倍にして取り戻すから!」
「って言ってますけどどうしますか、ケンさん?」
「え・・・」
サリアがおそるおそる後ろを向くと大変ご立腹のケンがいた。
「もちろん、却下だ。」
「待ってケン!お願い!お願いします!あと一回だけでいいから!」
「今月のお前の飯は蟻と雑草だ。」
「いやだ~!」
ケンはサリアの首を掴むと引き摺って帰ろうとした。すると、一人の男がおそるおそるサリア達のところにきて声をかけてきた。
「あの~、すみません。サリアさんですよね?」
「え、あ、はい。」
「実は折り入って頼みたいことがあるのですが?」
そう言って男は帽子を脱いだ。白髪に爽やかフェイスの二枚目俳優みたいな男だった。サリアがその男を見た瞬間、目を丸くさせて指差した。
「あなた、まさかワイナードさん!?」
「はい。シルクラグーンの竜騎手をしています。ワイナード・グリフォールです。」
それから約1時間後
「なんで、ギャンブルバカを連れ戻しに行ったらこんなことになってんのよ?」
「さっきまでバ○殿見ていたのに。」
アイアンガイアのメンバー全員が競竜場の隣にある竜厩舎にいた。竜厩舎の中は100体を超えるワイバーン達が並んでいた。サリア達はそのうちの1体の前にいた。
「すまない。さすがに依頼ときたら断れなくてな。」
「しかも!あのワイナードさんからの依頼だぞ!」
「いや、あのって言われても私達わからないから。」
目をキラキラさせてはしゃいでいるサリアをエウリア達はジト目で見ていた。するとそこにワイナードがやってきた。
「ありがとうございます!サリアさんにはいつもお世話になっていますね。」
「お世話?」
「はい。私が出る時はいつも私に賭けてくれると常連さんから聞きましたから。」
「へぇ、常連さんねぇ。」
最初は誇らしげな顔をしていたサリアはいつも来ている常連客だとケンにバレると冷や汗をかいてその場から去ろうとした。もちろん、ケンはそれを見逃さずサリアの顔にアイアンクローした。
「今月は全裸で野宿な。」
「待って!最早、衣食住全て没収されているんだけど!?」
「あの、依頼ってなんでしょうか?」
「助けてよ、ヴィザル!」
「ヴィザルもすっかりアイアンガイアの一員ね。」
ヴィザルがワイナードに依頼のことを聞くとワイナードはあるワイバーンの前に立って話始めた。そのワイバーンは白い体におっとりとした目をしていた。
「彼はシルクラグーン。長年、僕と共に駆け抜けた相棒なんですが次の大会で引退するんです。」
「え、なんで!?」
「最近は優勝することが出来なくなったのです。」
「まさか、ライバルからの妨害工作!?」
「いえ、歳です。」
「あ、そうなんですか。」
「はい。シルクラグーンは人間でいうところの80歳になります。」
ワイナードはシルクラグーンの頭を撫でながら話を続けた。シルクラグーンもワイナードに顔を寄り添っていた。
「今まではスタミナの低下をテクニックでカバーしていたんですがそれも厳しくなって、これを最後に彼にほゆっくりとした生活を送って欲しいんです。」
「ワイナードさん。」
「そこで、彼の息子のマケナイデがシルクラグーンの後を次ぐのです!」
「おい、名前!」
すると、ワイナードはシルクラグーンの隣にいるワイバーンを紹介した。マケナイデはシルクラグーンに比べると全身が黒くギラギラした目付きをしていた。
「なんでそんなZ○RDの曲にある名前にしたの!?」
「確かにたまにナンデヤネンとかネエチャンシツコイとか個性的過ぎる名前のワイバーンがいましたけど!」
サリア達がツッコミを入れているがワイナードはそれを無視して話を続けた。
「実は皆さんにはマケナイデの調教のお手伝いをして欲しいんです!」
ワイナードの依頼は気性の荒そうなマケナイデの調教のお手伝いだった。
サリア達は言葉を失ったままマケナイデを見ていた。
次回予告
まさか、続くとは思わなかった。
「無計画過ぎるだろ、作者。」