禁断の儀式
前回のあらすじ
フレアガルドに惨敗
「さすがに負けるわけにはいかねぇぜ。」
「う、う〜ん…ここは…」
ヴィザルが目を覚ました。どこだろうと起き上がろうとするも縛られている。なんだと上を見るとギロチンにかけられていた。
「え、え!?なんだこれ!?」
「あ、ヴィザルが起きた!」
「良かった〜!このまま目が覚めないかと思ったよ!」
「このままだと本当に目が覚めないことになりますが!」
この状態のヴィザルを見てもサリア達は気にしていない様子だった。ヴィザルはジルフレイムを見るもそっぽを向いている。そこにマキナが来る。
「マキナ!これって…」
「•••マスター。ロープを切るのは斧がいいでしょうか?それともノコギリがいいでしょうか?」
「僕のギロチンは確定事項!?」
斧とノコギリを持って迷うマキナに命乞いをする。そこにフレアガルドがやってきた。
「おぉ!起きたか!」
「たった今、永遠の眠りにつきそうなところです!ってかこれ何!?」
「いやぁね。みんなを心配させた罰だって。」
「重くない!?」
ヴィザルが命乞いをしているとオリヴィエとガルムが入ってきた。2人とも無事なようだ。
「ちょっとこれ何!?なんで2人はなんともないの!?」
「俺達に対する罪はフレアガルドさんがなんとかしてくれたな。」
「ヴィザル君は逃亡幇助として罰は受けないと言われて…」
「罰が処刑ですけど!」
「それよりあの娘はどうなった?」
「僕は無視!?」
サリアがアウラのことを聞く。ヴィザルが必死に助けを求めるがフレアガルドは無視して話を続ける。
「あいつなら朱鎧が連行して行ったぜ。」
「それでどうなった?」
「さすがに彼女は向こうで罰することになった。が、俺としてはあいつらなんか隠していると直感している。」
フレアガルドは資料をテーブルに出す。千雀に頼んで調べてもらったと言う。そこには麻陣教会について載っていた。
「栄楽とかいう男が仕切る宗教組織。魔王テュヴォーンを崇めている。」
魔王テュヴォーン…その名前を聞いて強張る。魔神
ヴァルボロが語った魔族の王。その名前をここで聞くことになるとは思ってなかった。
「完全にアウトよね?」
「オリュンティア公国ではそうだ。しかし、ここは魔王どころか魔族なんて存在は認知されていない。だから魔王崇拝は禁止されてないんだよ。」
「それで?」
「ん?」
「アウラと関係あると睨んだから調べたんでしょ。」
サリアが指摘する。それにフレアガルドがニヤリと笑い頷いた。フレアガルドはアウラの写真をみんなに見せる。
「その通り。アウラって少女はヴァルデラ帝国から来た。俺も見たがあの少女は恐らく魔人の類だ。」
フレアガルドの言葉にサリア達は驚く。
「ヴィザル達は心当たりがあるんじゃないか?」
そう言われて頷く。確かに見たことない角や尻尾など異形と呼べる部分はあった。だけど最初はそういう種族だと思っていた。
「恐らく魔薬で無理矢理魔人化させられた可能性がある。やったのは十中八九ヴァルデラ帝国。こちらで調べたところヴァルデラ帝国は最近エドラシア大陸中で暗躍している可能性がある。」
「で、今回のもその暗躍の1つだと?」
「その通り。」
ケンが聞く。それにフレアガルドが答えると資料の中から何か取り出した。
「ヴァルデラ帝国は魔王に執着している。麻陣教会の裏にいる可能性が高い。」
「それでなんでアウラが関係してくるんだ?」
ガルムの疑問にフレアガルドが何かを見せた。
「麻陣教会には魔王に生贄を捧げる儀式がある。アウラはその生贄だ。」
フレアガルドが見せた資料には魔人の命を生贄として魔王に力を捧げる儀式の内容が書かれていた。それを見たサリア達は嫌な顔をする。
「最低の儀式じゃん。」
「もちろん、エドラシア大陸じゃあ禁断とされている儀式だ。だが、この国にはそれを罰する法はまだ無い。だから、劉龍達はこいつらを罰せない。なら、どうするか?」
「突撃して救出してぶん殴る。」
「大まかには合ってるがもう少しマイルドに行こう。」
エレキナの回答に待ったする。
「そうか。サッと行ってスッと助けてボキッと殴るわけか。」
「ちょっと黙ろうか。」
ヴァンガスの口に氷を突っ込んで黙らせる。サリアが作戦があるのかと聞く。フレアガルドは話す前に待てと手を出す。誰か待っているのだろうか?
そこに誰か入ってきた。劉龍だ。後ろには玄聖もいる。フレアガルドが待っていたのはどうやら劉龍のようだ。
「待たせたな!…なぁ…」
「なんだ?」
「何故ヴィザル君はギロチンに架けられてんだ?」
「「「あ…」」」
ギロチンに架けられた状態のヴィザルを指差す。ヴィザルを含めた全員が忘れていた。作戦を話す前になんとも言えない雰囲気が部屋を包んだ。
次回予告
さぁ、麻陣教会に潜入開始!
「オルフェウスさん呼びましょう。」
「無理です。」




