ヴィザル達VSフレアガルド
前回のあらすじ
どこにでも麻陣教会
「怪しいしか言うことがない。」
ヴィザルを捜索してからしばらく経った。しかし、ヴィザルは見つからないどころか手掛かりすらない。
「ここまで目撃情報がないともう山とか人目に着かないところに潜伏しているとしか考えられないけど。」
宝仙にある公園で一息つく。サリアがキョロキョロ見回しているといつの間にかオリヴィエとガルムが服を購入していた。
「あれ?お前らそんなの買ってたのか?」
「う、うん。とても珍しい服だったからつい…」
「これ着ればモテモテになれると直感した。」
「どんな直感?」
2人が持っている服を見る。2人はすぐにどこかへ走っていった。サリアは気にしなかったが勇薙は2人の行動が気になっていた。それはフレアガルドも同じだった。
オリヴィエとガルムが裏路地へ入る。周りにバレないように歩くとヴィザルとアウラが待っていた。
「オリヴィエさん!ガルム!」
「買ってきたぞ服。」
「とりあえずこれに着替えたらバレないかも。」
2人がヴィザル達に服を渡す。初めて着る服だが今着ている服の上からマントのように羽織るタイプの服なので簡単に着れた。
「これならどうかな?」
「いいんじゃない?」
「やっぱりここか。」
オリヴィエとガルムがヴィザル達の服装をチェックしている時、後ろから声がした。振り向くと勇薙がいた。
「なんでここが!?」
「サリア達は騙せても俺は騙されねぇぞ。」
「そうそう。俺は騙せれねぇぜ。」
勇薙が驚く。振り向くとフレアガルドがいた。ニコニコで手を振っている。
「フレアガルドさんも来ていたんですね。」
「まぁな。オリヴィエちゃん、嘘が苦手だろ。怪し過ぎるぜ。」
フレアガルドがヴィザルの後ろにいるアウラを見る。
「彼女が例の…」
「捕まるんですか?」
「一応な。ヴィザルもどうせその子と転校生と曲がり角で打つかるラブコメ主人公みたいな展開になってなんやかんやで連れて逃げているってところだろ。」
「凄い。当たってる。」
図星を指されてギクッとするヴィザル。ヴィザルが逃げようとするので勇薙が刀を抜こうとした。それをフレアガルドが止める。
「悪いな勇薙君。これはオリュンティア公国の問題。ここは責任者の俺が片付けないとな。」
「いえ、ここは俺が…」
「頼むよ。」
フレアガルドが勇薙の肩に手を掛け視線を送る。その視線に悪寒を感じた勇薙は動きが止まった。フレアガルドと目を合わせる。冷たい眼差しに勇薙は負けフレアガルドに譲った。
「わ、分かりました。」
「悪いな。」
勇薙の肩をトントンと叩く。フレアガルドが前を向くと既にヴィザル達がいなかった。フレアガルドが勇薙に目を向けている隙に逃げたのだ。
「マジか〜。」
「だから言いましたよね?」
「ま、問題ねぇよ。」
ヴィザル達は走っている。魔聖七天王に勝てないと判断しての逃走だ。
「おい、大丈夫かよ?」
「今は逃げるしかないでしょ。」
とにかく大通りに出ようと裏路地を駆ける。フレアガルドから距離は取れたと思って少しスピードを下げる。一息つこうと深呼吸する。その時、辺りが突然凍えるような風に包まれた。まさかと思い振り返ると建物の間に蜘蛛の巣状に氷を張り巡らせたフレアガルドが追いかけてきた。
「ヤバい!逃げるぞ!」
慌てて走るもフレアガルドの方が速い。すると、ガルムが反転した。
「ガルム!」
「行け!ここは俺が食い止める!」
「それってフラグ…」
「大丈夫だ!」
ガルムが叫ぶ。ヴィザルはガルムを信じて走る。チラッと後ろを振り向く。あっという間にたん瘤を作って倒れているガルムがいた。
「役立たずー!」
「いや、こいつ程度に足止めされちゃあ魔聖七天王の立場がねぇぜ。」
時間稼ぎにすらならないガルムをほっといて逃げるヴィザル達。しかし、目の前に氷が檻のように張り巡らされ行く手を阻む。
「戦うしかないのか…」
振り返ると既にフレアガルドが近付いていた。ヴィザルとオリヴィエがそれぞれ剣とナタを構える。
「オリヴィエちゃん、そこは魔法少女らしく杖にしようぜ。」
フレアガルドが足を止める。距離を取り警戒する。フレアガルドは2人を見てフッと笑う。そのまま一歩、また一歩と足を進める。
「やる…んですね。」
「もちろん。その前にヴィザル。お前の弱点を教えてやる。」
「え?」
フレアガルドの言葉に気を取られた。その一瞬で詰め寄られ瞬きする間もなく凍らされた。
「お前はスロースターターだ。特殊体質が発動するまでに時間がかかる。まぁ、聞こえてないか。」
凍ったヴィザル達を見てフレアガルドが笑う。それを見た勇薙は自分との差を感じていた。
「これが…魔聖七天王…」
フレアガルドに瞬殺されたヴィザル達はそのまま捕まってしまった。
次回予告
フレアガルドの圧倒的な強さに瞬殺されたヴィザル達。ヴィザルが目を覚ますと…
「待ってください!」




