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鋼絆《メタルバンド》  作者: 高本 龍知
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ヴィザルと少女の逃避行

前回のあらすじ

ヴィザルが追われる身に!


「いつもガルム達から追われてるけどね。」

「確かに!」

 少女を連れたヴィザルは炎蘭門港から離れた村にいた。長閑なところで稲作が豊富らしく田園風景が綺麗だった。

 ヴィザルは少女と一緒に近くの林に逃げ込むと一休みした。一応、鎖を外そうと試みるも外れない。


「ねぇ、なんでこんなところに?」

「•••」

「君、名前は?」

「•••」

「どこから来たの?1人?」


 だんだんナンパしている感じになっているがヴィザルは少女のことが知りたくいろいろと聞くも少女は何も話さない。ヴィザルは困った挙げ句、伝家の宝刀土下座で聞いてみた。


「名前を教えてください!」

「!?」


 突然の土下座に少女は慌てる。少女は迷ったがさすがにここまでされたら仕方ないとか細い声で話し始めた。


「わ…私は…アウラ。」

「アウラちゃんか。よろしくね。僕はヴィザル。」


 ヴィザルが手を伸ばす。アウラも恐る恐る手を伸ばして握手した。なんとか会話が出来たことにホッとする。さて、これからどうしようか…そう考えていると誰か近付いてきた。ヴィザルがチラッと覗くと山菜採りを背中の籠に入れたおばあさんがいた。


「あ、あの…」

「なんだい?」

「実は僕達、迷ってしまいまして…」

「そうなのかい?どこで迷ってしまったんだい?」

「そうですね…未来…でしょうか?」

「壮大だね。」


 誤魔化そうにもいい言葉が浮かばないヴィザルはその場しのぎの嘘でなんとかしようとする。おばあさんは少し考えると2人を自分の家に案内した。木でできた質素な家だが雰囲気はいい。2人が入るとおばあさんは台所に立って料理を始めた。


「待っておくれ。今、天麩羅を作るからね。」

「あ、ありがとうございます。」


 やっと一休み出来たと安心するヴィザル。そこに天麩羅が出来たとおばあさんがやってきた。山菜で作った天麩羅をいただく2人。


「美味しい。」

「そりゃ、うちで作った天麩羅だからねぇ。」

 

 ヴィザルがチラッとアウラを見ると泣いていた。それに驚き心配する。


「大丈夫!?」

「美味しい…です。」

「泣くほど美味しいかい?そりゃ頑張って作ったかいがあったわい!」


 おばあさんも嬉しそうに天麩羅をアウラにあげる。ヴィザルはホッとして天麩羅を食べる。

 しばらくして疲れがきたのかアウラは眠ってしまった。ヴィザルもどっと疲れがきてしまいアウラの隣で眠った。おばあさんは2人に布団をかける。


「おやすみ。」


 おばあさんが外に出る。すると、兵士達がいた。その先頭に朱鎧もいる。朱鎧はおばあさんに気付くと近寄ってヴィザルとアウラが映っている写真を見せた。


「この辺りにこの2人が来たか?」

「その2人は?」

「犯罪者だ。」


 おばあさんは悩む。その声が聞こえたのかヴィザルが起きた。バレないように寝たフリして聞く。やっぱりアウラは追われる身でありそれを助けてしまった自分も同様に追われることになっているのを理解した。


「え、ええ。見ましたよ。」

「本当ですか?」

「ええ。あそこの林道を通っているのを見ました。見慣れない服装だったので覚えています。」

「そうですか。分かりました。」


 朱鎧は兵士達を連れて林道へと向かって行く。ヴィザルは最初おばあさんの発言にギョッとしたが次の発言に安心してまた眠った。

 それからしばらくしてヴィザルが起きる。続いてアウラも起きる。すると、おばあさんがおにぎりを包んでいた。


「おやっ。起きたかい。」


 おばあさんはヴィザルにおにぎりが入った包みを渡す。


「どこか行きたいところがあるんだろう?これ、持っていきな。」

「あ、ありがとうございます!」


 ヴィザルは包みを貰う。2人は家を出ておばあさんにお辞儀する。おばあさんも笑顔で手を振る。2人も手を振りながら走っていった。

次回予告

ヴィザル捜索!


「ヴィザル君のニオイがする。」

「どうなってんだその鼻?」

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