武帝八家
前回のあらすじ
劉龍登場!
「なんかスベった感じになったぞ。」
「実際スベってました我が君。」
ヴィザル達使節団一行は馬車が進むまま魏煉の首都皇都に到着した。勇薙が首里城に似ていると発言した建物に入る。エドラシア大陸では見ない光景に驚く。
「中華風だな。」
天桜の狐のメンバーが呟く。広い中庭に入ると劉龍が待っていた。彼の後ろには側近と思われる人達が並んでいる。
「紹介するぞ!まずは武帝八家第一席玄聖だ!」
「よろしくお願いします。」
玄聖は行儀良く頭を下げて挨拶する。
「次は第二席…あれ?朱鎧は?」
「朱鎧なら炎蘭門港で見かけましたよ。」
「そうか。なら第三席の青凛だ!」
「よろしくね。」
こちらに手を振って挨拶する。青い髪の妖艶な女性が青凛らしい。どこかアルトディーナに似ている。服装も派手で着物の間から谷間が見える。その胸にヴィザル達は見惚れていた。
「お兄ちゃん?」
「お兄様?」
「いや別に変なことは考えてないぞ。」
「「ヴィザル君?」」
「決してお二人の機嫌を損ねるようなことはいたしておりません。」
エリス達に弁明する勇薙とすぐ土下座するヴィザル。それを青凛はクスクス笑いながら見ている。
劉龍はその青凛の隣にいる眼鏡を掛けた青年を紹介した。
「彼が武帝八家第四席を務める白刃だ!」
「どうぞよろしく。」
白刃は眼鏡をクイッと上げながら挨拶する。続けて気の弱そうな青年を紹介した。
「次は武帝八家第五席で玄聖の弟分の安武だ。」
「安武です。よろしくお願いします。」
安武がお辞儀して挨拶する。
「じゃんじゃん紹介するぞ!彼女が武帝八家第六席の千雀だ!」
「よろしくお願いします。」
次に紹介したのは小柄な女性だ。千雀はニコニコで手を振る。青凛ほどの胸じゃないことに内心ホッとするヴィザル。
「ヴィザル君、どこを見ているの?」
「やましいことは何もしていません。」
「もはや反射的になってる。」
「で、次が…」
「それであの人もマイペースよね。」
ヴィザルのことなど気にせず続ける劉龍を月読がジト目で見る。劉龍が千雀の隣にいる褐色肌の少女を紹介する。
「武帝八家第七席の韓龍だ。」
「よろしくね〜!」
韓龍が挨拶する。ギャルみたいな挨拶に勇薙は少し戸惑う。苦手なタイプのようだ。
「最後が武帝八家第八席、亜虎だ。」
「よ、よろしくお願いしますね。」
亜虎がおどおどしながら挨拶する。ヴィザル達も軽く自己紹介してお互いの自己紹介が終了する。それが終わると劉龍は背伸びして中庭の中央に歩いていく。
「じゃあ、みんなの紹介も終わったし我のことをもっと知ってもらいたいからバトルしよう!」
「「「はぁ!?」」」
劉龍の突然の提案にヴィザル達は驚愕した。玄聖も驚いたのか劉龍に説明を求める。
「どういうことですか我が君!?これから代表の方々と国交に向けての会談が…」
「我はそういうのは苦手なのだ。それは玄聖に全て任せる。玄聖なら信頼出来るし従うぞ。」
「我が君…」
呆れて物が言えなくなる玄聖。ヴィザル達もどうするか会議している。すると、フレアガルドがヴィザルを劉龍の前に差し出した。
「よ〜し。それに乗った。こっちからはヴィザルを出す。」
「えぇ!?」
「いいぞ!」
ヴィザルは他に候補がいるだろうとフレアガルドに言うがフレアガルドは無視して話を進める。
「会談は俺達がやってくるから楽しんでこい。」
「僕の話を聞いてください!」
「じゃあ、こっちはやっぱり勇薙でしょ。」
「あれ?」
勇薙達の方でも決まったらしい。
「勇薙ってバトルは強いけど駆け引きとか苦手だし口下手じゃん。ここは先生に任せて暇潰ししたら?」
女子に言われ何も言い返せなくなっている勇薙。仕方なくヴィザルと勇薙が劉龍とバトルすることになった。やる気のない2人に対して劉龍はやる気満々だ。
「仕方ありませんね。では、こちらへ。」
玄聖がフレアガルドと因幡を連れて城の中へ入る。残りの武帝八家も仕事のため離れた。サリア達も中庭から出て観戦の準備をする。
「ぶちかませー!」
「お兄ちゃん!頑張って!」
「完全に試合感覚ですね。」
「こっちの気も知らないで。」
ヴィザルと勇薙は武器を構える。劉龍も薙刀を肩に担ぎ戦闘態勢に入る。ヴィザルと勇薙対劉龍のバトルが始まった。
次回予告
劉龍とバトル!
「我は強いぞ〜!」




