劉龍
前回のあらすじ
魏煉へ到着!長編スタート!
「ちゃんと計画してます?」
「•••」
「あ、これしてないやつだ。」
炎蘭門港
そこに到着したヴィザル達は初めて見る光景を楽しんでいた。鎖国国家とは聞いていたけど思っていたより貿易は盛んでいろんな国が来ていた。
ヴィザル達が船から降りて待っていると眼鏡を掛けた青年がやってきた。青年はヴィザル達の前に立つと丁寧にお辞儀した。
「初めまして。ようこそ魏煉へ。私、武帝八家第一席を務めます。玄聖と申します。」
玄聖は挨拶と自己紹介を済ませるとヴィザル達を案内した。見たことない国の衣類や農作物、さらには武器まであった。
「武器まで輸入しているのか。」
「ええ。我が君は好奇心旺盛な方。珍しい物はなんでも欲しがりますので。」
玄聖に案内されるがまま港町を歩く。すると、言い合っている声が聞こえた。ヴィザルは気になって声の方を向く。
「足りないじゃないか?」
「すみません!今探しております!」
「あの国旗は…ヴァルデラ帝国か。」
ヴィザルと一緒に見ていたケンが呟く。ヴァルデラ帝国、嘗て魔王テュヴォーンの力を狙ってエドラシア大陸に何度も侵攻した軍事大国だ。
以前、ケンからヴァルデラ帝国のことを聞いていたヴィザルやガルムは初めて見たヴァルデラ帝国に緊張していた。
「ヴァルデラ帝国とも貿易しているんですね。」
「ええ。なかなか面白い品物が数多く来るので今ではお得意様ですよ。あそこにいる彼、武帝八家第二席、朱鎧が担当しています。」
玄聖が朱鎧を指差す。頭をヘコヘコ下げているハゲではなくてその相手、赤い鎧を纏った大男が朱鎧らしい。
玄聖が朱鎧を指差して話していると影がヴィザル達の真上を通った。なんだと思い見上げると角が生えた馬のモンスターがいた。
「ユニコーン?いや、違う。」
勇薙がモンスターを推察していると突然ヴィザル達の前に薙刀が刺さった。警戒しているとモンスターの背中から誰か降りてきた。少年だ。
「我が君〜!」
彼を見て玄聖が叫ぶ。茶色のポニーテールの少年が薙刀の上に着地した。ヴィザル達が驚いていると薙刀から降りて自分よりも倍長い薙刀を振り回して肩に乗せた。
「やぁやぁやぁ!我こそが魏煉武帝劉龍だ!」
「「「••••」」」
突然の登場にヴィザル達はポカンとしている。劉龍はヴィザル達の反応が悪かったので玄聖を見る。泡を吹いて気絶寸前だった。
「玄聖!大丈夫か!?」
「わ、わわ我が君!なんと危険な事を!」
「折角の客人だ。少し派手な歓迎が良いと考えたのだ。」
「あれは少しではございません!」
我に返った玄聖が諌める。劉龍は不満そうに頬を膨らませる。気を取り直してヴィザル達に自己紹介した。
「我が魏煉武帝劉龍だ!まだ8歳だがちゃんと武帝の務めは果たしているぞ!」
「は、初めまして。私はエドラシア大陸オリュンティア公国から使者と参りました。フレアガルド・オールドランドです。こちらはオリュンティア公国王位継続順位第3位アテリナ・オリュンティア姫です。」
「私はタカマガノクニから来ました。天桜の狐マスターの勇薙進一です。よろしくお願いします。」
「うむ!よろしくだ!」
フレアガルドと勇薙も劉龍に自己紹介する。一息ついて落ち着いた玄聖が案内を再開する。港町を出ると馬車が用意されていた。ヴィザル達は玄聖に言われるまま馬車に乗る。劉龍はさっきの馬のようなモンスターに乗った。気になるヴィザル達。
「こいつか?こいつは我が召喚した麒麟だ。」
「召喚魔法…凄いわね。」
初めて見る魔法にエウリアが反応した。麒麟に乗った劉龍は薙刀を前に突き出す。すると、麒麟は空を駆け上がり真っ直ぐ向かって行った。その先に一風変わった城が見える。
「凄いな。首里城や万里の長城に似た建物がある。」
馬車から覗く魏煉に勇薙は感嘆していた。馬車は劉龍の後を追って首里城に似た建物に向かって行った。
その様子を炎蘭門港から見ている少女がいた。
次回予告
何故か劉龍とバトルに…
「本当になんで?」




