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鋼絆《メタルバンド》  作者: 高本 龍知
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演説は心に訴えかけるもの

前回のあらすじ

ライバル登場!


「よし、排除するぞ。」

「だから止めなさい。」

 生徒会長選挙演説

 それは立候補した生徒達が1人役15分の間自分が生徒会長になった時どのような利点があるかなどを発表する場である。発表が終わると生徒達による投票が行われる。そして、1番多く投票を得られた者が生徒会長となる。

 その時がきた。順番はアテナ、クレイオン、オリヴィエだ。まずはアテナが壇上にあがる。前会った時よりも凛々しく見える。


「初めまして。騎士科2年アテナ•シャインスターです。早速ですが私が掲げるのは規律ある学園生活です。」


 アテナが生徒達を見渡す。


「昨今、生徒達の生活の乱れが目立っています。宿題を忘れる。廊下を走る。これぐらいならまだ軽いでしょう。しかし、中には理由なく授業をサボったり何度も同じ校則違反を繰り返す者もいます。また、留学先でハーレム婚をする男子生徒もいます。」

「だれだろうなぁ〜。」

(((お前だよ。)))


 目を反らして惚けるヴィザルをガルム達が睨む。アテナもヴィザルをジーと見た後に演説を続けた。


「なので、私はシャルロットマーニュ学園を品行方正な学園にするべく校則の見直しを宣言します。」


 アテナが宣言する。さらに、見直しについて具体的に説明し始めた。


「まず、校則違反の厳罰化です。今までは注意や反省文程度でしたがこれに校則違反者に対する講習や謹慎処分などを追加したいと思います。また、校則違反の内容も少し厳しくしたいと思います。例えば、校内における恋愛禁止です。好きになることを罰することはしません。しかし、恋愛に感けすぎて学業が疎かになるのはよくありません。」


 恋愛禁止…そう聞こえた瞬間、ほとんどの生徒がヴィザルを睨んだ。ヴィザルは上を向いて現実逃避する。その間にもアテナの演説は続いている。


「真面目に学園生活をしている生徒達が嫌な思いをしないためにも、どの学校から見ても誇れるようになるためにも私が全力を尽くして生徒会長を務めたいと思います!これにて選挙演説を終わりにしたいと思います。」


 アテナが一歩下がってお辞儀する。生徒達はアテナの演説に拍手した。そんな中でもガルム達は拍手しながらヴィザルを睨んでいた。

 次にクレイオンが壇上にあがる。生徒達を見回してお辞儀すると演説を始めた。


「初めまして。私は魔術科2年クレイオン•ハイガードと申します。まずは私のことを少し紹介しておきましょう。私の座右の銘は有言実行です。」


 クレイオンの掴みは生徒達を引き寄せる。クレイオンは心の中でよしと感じると演説を続けた。


「アテナ君の言う通りどの学校から見ても誇れる学校に私は大賛成です。しかし、誇れるようになるには気品だけでは足りません。では、他に何が必要か?学力です。」


 生徒達がざわつく。クレイオンは予定通りと笑みを浮かべ淡々と演説する。例え冒険者になっても知識がなければ長く続かない。生きる上で学力は必要だと力説した。


「どれだけ清楚であっても学力が羨わなければ誇れません。なので、私は皆さんの学力を上げたいと考えております。例えば、テストでいい成績を残した生徒には特別な優遇。学費を減らしたり部活やクラン活動に費やす時間を増やしたりします。」

「勉強が苦手や奴とかはどうすんだ?」


 ガルムがぼやく。それを見越していたのかクレイオンはそのことについて演説した。


「もちろん、勉強が苦手だったり思うように成績が伸びない生徒もいるでしょう。そういう時は先生だけではなく生徒同士で教え合うのもいいでしょう。特別な優遇をクラス単位にすればいい成績を残したクラスにすることが出来ます。優秀な生徒が多くいれば担任の方も鼻が高いでしょう。切磋琢磨しあいこの学園をより良いものにしていきましょう。最後にもう一度自己紹介しておきます。私の座右の銘は有言実行です。ご清聴ありがとうございました。」


 クレイオンの演説が終わる。丁度15分で終わった。時間を計る係の生徒が驚いている。クレイオンが自分の席に戻る。そして、オリヴィエの出番になった。オリヴィエは壇上に上がるとみんなを見る。少し緊張している。すると、ヴィザルと目があった。ヴィザルがまっすぐこちらを見ている。それに勇気をもらったオリヴィエはゆっくりと演説を始めた。


「皆さん、初めまして。オリヴィエ•アストライカです。私は…聖ヴァルキュリア百合女学園に留学していました。そこで私はシャルロットマーニュ学園と違う校風に驚きました。お嬢様学校と呼ばれるのも納得の気品と優雅さを持っていました。」

「そうか?」

「黙ってて。」


 聖ヴァルキュリア百合女学園の生徒を見たことあるガルムの発言をヴィザルが止める。


「でも私が出会った皆さんはよく笑いよく学び楽しそうでした。そこはシャルロットマーニュ学園と同じです。私は留学先でもいつもと変わらない日常を過ごしました。そこで1番驚いたのは気品や優雅さが溢れる中でも自由があったことです。私は最初、規律が厳しく徹底した学園生活を送っているものと思っていました。」


 オリヴィエは思い出す。アイリス生徒会長を、フェルトリーネを、グリムを、聖ヴァルキュリア百合女学園のみんなを。厳しい校則はあったけどそんな中でも自由に楽しく過ごしているみんなを見て最初に思っていたイメージとのギャップに驚いた。

 オリヴィエはその時の思い出も交えて演説した。まだ10分も経ってないのに長く感じる。


「聖ヴァルキュリア百合女学園の皆さんもここと余り変わっていなかったのです。私はそこで学んだことをこの学園でも活かしたいと思います。確かに規則も学力も必要です。ですがそれだけじゃありません。必要なのは自由です。もっと楽しく、もっと思い出に残るような学園生活を送りたい。聖ヴァルキュリア百合女学園の皆さんにも見てもらいたい。この学園もあなた達のように自由で楽しい学園ですと…私は規則正しい生活も、学力向上も含め自由な学園にしていきたいと思います。最後に私はこの学園が好きです!大好きです!皆様、よろしくお願いします!ありがとうございました!」


 オリヴィエがお辞儀する。彼女に最初に拍手したのはヴィザルだった。大きく拍手する彼につられるように周りも拍手していき最終的にその場にいた全員が拍手した。

 そして、投票結果の日。生徒会長候補の3人とハリアー達が結果を発表する。


「え〜…アテナ君、24%。クレイオン君、24%。オリヴィエ君、52%。結果、生徒会長にはオリヴィエ君がなることに決定しました。」

「ほ、本当になっちゃった…」

「おめでとう。」

「おめでとうございます。」


 びっくりするオリヴィエにアテナとクレイオンが拍手と共に称賛の声をあげる。ハリアー達も拍手する。すると、外が騒がしくなった。ハリアーが扉を開けるとヴィザル達が倒れてきた。その後ろにはブラダマンテがいる。


「君達も来てましたか。」

「本来は注意するところだが気持ちは分かるから今回は多目に見てたところだ。」


 ハリアーとブラダマンテが会話しているうちにヴィザル達がオリヴィエに駆け寄る。


「おめでとう!」

「おめでとさん!」

「おめでとうございます!」

「これで俺達も裏から…」

「させんぞ。」


 各々が称賛の言葉を贈る。オリヴィエは少し恥ずかしそうにするもチラッとヴィザルを見る。ヴィザルもそれに気が付くとニコッと笑う。


「おめでとう、オリヴィエさん。」

「ヴィザル君…」


 いい雰囲気になっている。それをぶち壊したいと思っているガルム達だが今回は血涙を流しながら見送る。気を紛らわせるために投票の内容を見る。


「どんなんなんだ?」

「あ、ちょっ…」

「え〜と…『自由ってことはハーレム婚も自由ですよね!?絶対推します!』…『オリヴィエ先輩のハーレムの自由、心に響きました!』…『恋愛自由にしてください!』…『ヴィザルとハーレム婚したオリヴィエならしてくれると信じてるぜ!』…」

「•••」

「最後は絶対俺達の中の誰かだろ。」

「オリヴィエさん…頑張って。」

「だから、違いますー!」


 投票の内容に呆れるアテナ達。ドンマイと視線を送るヴィザル達。そして、納得いかないオリヴィエであった。

次回予告

卒業式も終わり春休みに突入したヴィザル達。オリヴィエ生徒会長就任のお祝いにメタルバンドでパーティーを開くヴィザル達であったが…


「何故こうなった。」

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