試行錯誤
前回のあらすじ
ヴァンガスとギルガの冒険者講座
「何の参考にもなりませんでした。」
ここはカブジナワイバーン競竜場の隣にある竜厩舎
そこにマケナイデと健康チェックしているワイナード、ボンデージ姿のエレキナとアストライカコンツェルン開発担当の人達がいた。
「今度は何?」
「実は最近増えているドラゴンによる農作物の被害を防ぐための発明品をこちらで試してみたいと思いまして。」
キースが懐からスプレーを取り出す。スプレーには”ドラゴン撃退スプレー“と表記されている。マケナイデの健康チェックを終わらせたワイナードがやってきた。
「まずはこれ!ドラゴンは嗅覚が鋭くどんな微かな匂いでも敏感にキャッチすることが出来ます。それならば、このドラゴンが嫌うドラキラという植物から抽出されたエキスを配合したスプレーでドラゴンを追い払おうというものでございます!ドラキラの刺激臭がドラゴンに対して絶対な効果を発揮するでしょう!」
キースが早速自分にスプレーを噴射してマケナイデに近付く。マケナイデはキースが近付くと嫌な顔して威嚇した。
「どうでしょう!この絶大な効果!ワイバーンもこの匂いにタジタジ!しかも、これは人間にはほぼ無臭!これなら人間に被害なくドラゴンから農産物を守ることが出来ます!」
「そこはいいけど…龍人にはそのスプレー効くみたいだよ。」
ワイナードが指差す先には鼻を押さえ倒れるエレキナがいた。
「おおっと…人間よりも嗅覚のいい龍人にも効果覿面というわけですな。」
「それ、嗅覚が優れている種族全てに影響あるのでは?」
「お次はこれです!」
「あれ?私の話無視?」
今度はケインがスピーカーを取り出した。
「これは聴覚が優れているドラゴンが嫌う音を出すスピーカー。その名も“ドラキート音”!」
(ネーミングが変だけど黙っておこう。)
ケインがスピーカーをマケナイデに向けてボタンを押す。すると、マケナイデが耳を押さえながら『止めろ』とカンペを出した。
「ほらっ!見てください!ドラゴンが嫌がっています!これなら人間にはそれほど被害が無くドラゴンを追い払うことが出来ます!」
「さっきと同じこと言うけど…龍人にもその音は効くみたいだよ。」
ワイナードが指差す先には耳を押さえ倒れるエレキナがいた。
「なるほど…人間より聴覚が優れている龍人にも効果覿面と言うことですね。」
「さっきと同じだけど!」
「あんた達!私が居ない時にやってくれない!」
起き上がったエレキナが文句を言う。しかし、キース達の耳にはエレキナの文句は届かず次はどれでいこうか悩んでいる。怒ったエレキナはキース達の頭を掴む。
「聞け。あんた達のくだらない失敗作に付き合うつもりないから。」
「何を言っているんですか。失敗は成功のもと。製品は試行錯誤を繰り返して完成するものですよ。」
「その失敗に私達を巻き込むな!」
エレキナがキース達を投げ飛ばす。代わりに持ってきた試作品の中からまともそうなのを選ぶ。選んだのは懐中電灯みたいなものだった。
「これは?」
「それは私が企画したものでございます。ドラゴンが近付いた瞬間にこのライトを当てるとドラゴンが忽ち退散するというものでございます。」
アレックスが言うので試しにマケナイデに向けてライトを点ける。その途端、眩い光が辺りを照らし全員眼が眩んだ。
「おい!これドラゴンどころか全員危ないんだけど!」
「眼がー!眼が〜!」
全員が眼を押さえて転げ回る。やっと見えるようになるとエレキナが懐中電灯を投げ捨て破壊した。
「不採用だこんなもん!」
「ダメでしたか。」
エレキナが試作品を壊そうとする。それをキース達が止める。最後にとケインが出したのはいかにも危なそうなドクロマークが付いているものだった。
「それ何?」
「オチに困った時用の爆発オチ爆弾です。」
「もはやドラゴン関係ねぇ!」
エレキナが尻尾でケインを殴り飛ばして爆弾を回収する。
「こんなオチは認めねぇ!」
『なら俺がオチ付けてやろうか。』
エレキナが爆弾を破壊しようとするとマケナイデがカンペを出した。嫌な予感しかないエレキナが止めようとするも遅くマケナイデが口から炎を吐いた。その結果、爆弾や試作品に引火し結局爆発オチになってしまった。
次回予告
ヴィザルのモテモテ講座開講
「なんでこんなことに…」




