病院ではお静かに
前回のあらすじ
バルドとの決闘の中でヴィザルは成長し新たな技を獲得した。
ガタガタガタガタ…
「あ、バルドが完全にその新たな技がトラウマになってる。」
バルドとの決闘を終えたヴィザルは今、入院している。理由は簡単、出血多量で倒れたからだ。あれからなんとか一命を取り留めたものの医者からは失血死寸前とまで言われた。幸い輸血するための血液ストックは大量にあったため大事には至らなかった。
ヴィザルはしばらく入院することになった。個室のベッドで1人天井を見ている。すると、オリヴィエが入ってきた。何故かナース姿だ。
「大丈夫ですか〜?今から治療しますね〜。」
「オリヴィエさん。治療する人はナタなんか持ってないと思います。」
背中に見え隠れするナタにツッコむもオリヴィエは気にせずヴィザルの額に自分の額を当てる。オリヴィエの顔が近くなりヴィザルは顔を赤らめる。
「顔が赤いですね〜。風邪かもしれません。」
オリヴィエが何かごそごそさせている。赤い理由が風邪じゃないと言おうとするとどこから出てきたのかデカい注射器を出してきた。
「ではパンツを脱いでくださいね〜。」
「待ってくださいオリヴィエさん!それはケツに入れていい物じゃない!」
「うるさいですよ!」
オリヴィエが無理矢理脱がそうとする。ヴィザルが叫ぶものだから看護師が注意しに入ってきた。その後ろからサリア達がお見舞いに来た。部屋に入ると下半身丸裸のヴィザルがオリヴィエに注射されようとしていた。
「•••」
「•••」
「まぁ、性癖は人それぞれだから。」
「なんのフォローにもなってません!」
ケンがオリヴィエを離しヴィザルの貞操が守られた。元気そうで良かったと一安心したサリア達がお見舞いの品を近くのテーブルに置く。すると、サリアの後ろからヒョコッとフォルスが出てきた。
「何してんですかフォルス兄さん。」
「何ってお見舞いだよ。」
どうやらヨルズに無理矢理連れてこられたみたいで眠そうだった。
「それでどうなの?」
「?」
「結婚。」
フォルスに聞かれて飲んでいたお茶を盛大に吹く。看護師がまた注意する。落ち着いたヴィザルはまだ実感が湧かないのか曖昧な答えをした。
「でもあそこまでバルドに言い切るんだからあんたにとって大事なことなんでしょ?」
「はい。」
ヨルズの言葉に返事する。
「そういえば、気になったことがあるけど…もしかしてヴィザルって特殊体質だったりする?」
「そうみたいですね。」
ヨルズの質問に答える。
「やっぱり。途中からヴィザルの魔力が変わってたから気になってたのよ。男の後天性は珍しいわね。」
「アイリスさんから聞きました。特殊体質の多くは女性がなるみたいだと。」
「私も聞きました。」
「私も何人か特殊体質の人に会ったことあるけど全員女性だったわね。」
ヴィザルとオリヴィエはヨルズから特殊体質についていろいろ聞く。ヴィザルが元気そうで良かったと安心したサリア達は最後に一言挨拶して部屋を出て行った。
「そういえばバルド兄さんは?」
「自室で震えてるよ。余程ヴィザルが怖かったみたいだね。」
「まぁ、あれを見たら納得だけどね。」
ヨルズ達が自室で震えているバルドを想像する。それからスコ会話したヨルズ達も帰る。最後に看護師が部屋から出て行ったのを見たオリヴィエはヴィザルに近寄る。
「格好良かったよヴィザル君。」
「あ、ありがとうございます。」
ニコニコしているオリヴィエの顔を見てまた顔が赤くなる。許嫁ではあったが今までそんなに意識してなかったのにいざ結婚したら急に意識してしまう。
ヴィザルが赤くなったのを見たオリヴィエはまたヴィザルの額に自分の額を当てる。さらに、顔が赤くなる。
「ん〜、やっぱり風邪かも。注射しましょう!」
そう言ってオリヴィエは先程の巨大な注射器を出した。
「待ってオリヴィエさん!それは人に打っていいものじゃない!」
そこから再び看護師が注意しに行くまでヴィザルはオリヴィエから逃げ回っていた。
次回予告
ヴィザルが入院している間…
ガタガタガタガタ…
「まだ震えてる。」




