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鋼絆《メタルバンド》  作者: 高本 龍知
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人々は彼らを英雄と呼んだ

前回のあらすじ

最終決戦!


「予定より長くなったぜ。」

「もう反省しないのね作者。」

 崩壊する街。燃え上がる炎。人々の阿鼻叫喚。それらを前に嘲笑う怪物。そして、その怪物に立ち向かう英雄達。

 英雄と呼ぶには些か頼りないかもしれない。それでも人々は彼ら英雄と呼んだ。ヴィザル達にはその声は届いていない。英雄になろうなんて思っていない。しかし、目の前の怪物トイゴレムを倒すため立ち向かった。


「か弱い灯火如き一発で吹き消してやろう。」


 ザースが嘲笑う。トイゴレムは口を開けると光線を発射した。それを折り鶴に乗ったオリヴィエがシールドで防ぐ。その左右からエレキナとカーリーンが飛び出し口に向けて赤い光線を放つ。光線は同時にトイゴレムの口に命中し爆発する。

 その隙にアルティネがトイゴレムの足元に近付くと地面から蔦を生やしトイゴレムの左足に絡み付いた。それと同時にグリムがトイゴレムの右足を凍らせた。


「このトイゴレムがその程度で足止め出来ると思ってるのか。」


 トイゴレムが足を上げ蔦を引き千切る。また足を上げて氷を砕く。アルティネとグリムは踏まれないように下がって拘束を続ける。しかし、この巨体を拘束するには魔力が足りない。


「全然止まらないわね。」

「無駄だ!トイゴレムは常に空鬼から魔力を取り込みそれを循環させている!魔力切れがないということは無限に活動することが出来る!貴様らの魔力が切れるまでいたぶってやろう!」


 トイゴレムが腹部から拡散ビームを発射する。ヴィザル達はなんとか避けるも街の被害は拡大する一方だった。それをケリーは遠くから眺めている。


「確かに制圧力や破壊力、無限魔力循環システムは素晴らしい…ですがあれは()()()ですね。」


 ケリーはトイゴレムを見て呟く。すると、空を駆けるヴィザルが視界に入った。トイゴレムの猛攻を凌ぎ戦いを諦めない姿にケリーはフッと笑う。

 ヴィザルはケリーが見ていることに気付くことなくトイゴレムに挑む。トイゴレムのパンチを避け腕を駆け上がる。


「鬱陶しい!」


 ザースが叫ぶ。トイゴレムがヴィザル達を払い除けようと腕を振り回す。ヴィザル達は巻き込まれないように離れる。そこにトイゴレムが胸を開け砲台を出した。


「国1つ消し去ることの出来る魔導砲台だ。これで消し飛ばしてやる。」


 トイゴレムがヴィザルに狙いを付ける。砲台に魔力が溜まり光線が放たれようとした。そこにケンがトイゴレムの足元に移動し足を駆け上がる。そして、膝裏に向かって燃える刀で一撃を入れた。それに合わせて勇薙も反対の膝裏を攻撃し膝カックンの要領でトイゴレムをこかした。トイゴレムは仰向けになり光線は真上に向かって放たれた。凄まじい光がホビーチップを包む。


「あんなん人間に向かって撃つやつじゃねぇぞ!」

「小賢しい!」


 トイゴレムが起き上がり再び光線を発射しようとする。ヴィザルは自分が狙われていると判断し上へと駆け上がる。すると、トイゴレムの喉元に赤く光る水晶を発見した。赤い水晶と砲台が連動しているように見える。


「あれって…」


 ヴィザルはもしかしてと思い赤い水晶に突撃する。水晶から赤い電撃が飛ぶ。ヴィザルは電撃を避けながら赤い水晶にキックした。しかし、ヒビ1つ入らない。

 それを見たカーリーンも赤い水晶に突撃する。


「なんだ!なんかいい方法思いついたのか!」

「なんとなくです!」

「ならそれに乗るわ。」


 カーリーンに続きエレキナも赤い水晶に攻撃する。それでも水晶に傷1つ入らない。赤い水晶が放つ電撃が激しくなる。ヴィザル達は避けながら下がった。ヴィザルは疲れたのか着地して息切れを起こす。そこに天寺が来た。


「大丈夫?」

「あなたは?」

「天寺須美。勇一と同じ天桜の狐のメンバーよ。」


 天寺がヴィザルに触れる。すると、さっきまでの疲れが嘘のように体が軽くなった。


「これは…」

「回復魔法の一種よ。疲労を取り除き魔力を回復させたわ。」

「ありがとうございます。」


 ヴィザルは再びカーリーン達を払いのけようとするトイゴレムに突撃した。それをザースが確認する。


「また来たか。目障りだ!」

「あんたがね。」


 後ろから声が聞こえた。ザースが振り向くとカシオペアがいた。彼女の後ろには穴が空いている。


「なっ!?」

「空間断絶。ワープゲートを応用した一種のワープ魔法。もしワープゲートに挟まった状態でワープゲートを消したらどうなるかという検証から着想を得たのね。なかなか面白いじゃない。」


 カシオペアがトランプを手裏剣のように投げまくりコックピット内の装置や管を破壊した。


「や、止めろー!」

「レオナルドの作品なら持って帰りたかったけどこんなのならなくなった方がいいわ。」


 カシオペアがコックピットを破壊する。管が伸びカシオペアを捕らえようとするもトランプで切られてしまう。カシオペアは火花散るコックピットからワープで逃げる。

 その結果、トイゴレムの動きがおかしくなり砲台に溜まっていた魔力も徐々に消えていった。それをチャンスと捉えた全員が突撃する。

 動かないように再び足を蔦と氷で拘束する。暴れる尻尾はケンと勇薙がぶった斬る。放たれたミサイルはレンのブロックやアルミナのシールドで防ぐ。振り回した腕はカーリーンとエレキナが突撃して破壊する。口から光線を放とうとするのをオリヴィエとエウリアがそれより早く魔法を撃ち込み頭部を破壊する。砲台をサリアが炎の拳で破壊する。そして、ヴィザルが赤い水晶に向かって突撃した。


「行けーヴィザル!」

「任せました旦那様!」

「ぶちかませ!」

「ヴィザル君!」


 みんなの声援を受けヴィザルは風魔法を纏い1本の槍のように鋭く赤い水晶に蹴りを入れた。


「まだだ!このトイゴレムは無限の魔力を持っている!この程度なら!私は世界を統べる…」

《ガイアグングニル•ロンギヌス》


 ヴィザルの渾身に蹴りは水晶を破壊しトイゴレムを貫き驚愕するザースを蹴りそのままトイゴレムを貫通した。トイゴレムの体は崩れガラガラと音を立てていく。気絶したザースの上に立つヴィザル。彼を遠くから見たレン達は称賛した。


「彼こそ僕らの英雄だね。」

「そうね。」


 荒廃してしまった街。夥しい数の死。悲しみが溢れる声。そんな中でも青空が照らす希望、英雄達は静かに立っていた。

次回予告

新婚旅行編終わり!


「ヴィザル…」

「黙秘します。」

「まだ何も言ってない!」

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