忘れなくなるのはクリスマスあるある
前回のあらすじ
雪って楽しい
「けど寒い!」
12月25日
それはこの異世界でも特別な日だった。
そう…今日はクリスマス。ヴィザル達は聖ヴァルキュリア百合女学園にてクリスマスパーティーを開いていた。体育館全てを使ったクリスマスパーティーは盛大に行われていた。
「これ開くの2回目じゃないですか?」
「気にしたらダメだよヴィザル君。」
オレンジジュースを飲みながらメタ発言するヴィザル。隣にいるオリヴィエがそれを止める。周りにはフェルトリーネ達がいる。
「ヴィザルンもオリヴィエちゃんももうすぐ帰っちゃうから今回は盛大にやらないと!」
「今年のクリスマスは特別な日になりそうですわね。」
ヴィザルの横に来たフェルトリーネとリリエスタがヴィザルと一緒に食事を楽しむ。そんな時、チラッとステージを見るとアイリスが壇上に上がっていた。
「え〜…みんなも知っていると思うけどヴィザル君とオリヴィエちゃんの帰校が今学期の終業式に決まった。今日はクリスマスパーティーと一緒に2人のお別れ会もしようも思う。だから今日はみんなじゃんじゃん騒いで盛り上がっていこー!かんぱーい!」
「「「かんぱーい!」」」
アイリスがグラスを持ち上げ乾杯の合図する。それに合わせてみんな乾杯する。時間は20時。本来なら寮に戻らなければならない時間だが今回は特別だと先生達も許可を出していた。
「どうだったヴィザル。ここに来て。」
「なんというか…想像していたのと全然違った。女子校ってお嬢様ばかりで男性に対して偏見や嫌悪しかない感じでしたので。」
エリルが聞くとヴィザルは周りを見回しながら答えた。ヴィザルの中のお嬢様学校のイメージとは程遠い普通の賑やかな学校だ。
ヴィザルがフェルトリーネ達と一緒に飲んでいると他の生徒達から質問攻めされた。もうすぐで居なくなってしまうので聞きたいことが山程あるらしい。
ヴィザルに積極的な女生徒達を見ていたヒルデは安心した表情で飲んでいた。
「今回の留学、結果は大成功だな。ここまで男に慣れてくれるとほ思ってなかったよ。」
「まぁ、あれはヴィザルが特殊過ぎるからでしょうね。」
「それはあるわね。」
一緒に飲んでいたサリアやアルティネがクスクス笑う。他の先生達もヴィザルが来てくれたことに感謝しているようだ。
しばらくパーティーを楽しんでいるとアイリス達が何か用意していた。大きなスクリーンにプレゼントボックスがステージに出てくる。
「あー、あー、パーティーもいい雰囲気になってきたからここでちょっとしたゲームをしたいと思います!」
アイリスがヴィザルとオリヴィエをステージに招く。2人がアイリスの隣に立つとアイリスがヴィザルにプレゼントボックスを渡した。
「ここに来る時にみんなに札を渡したと思う。それには数字が書いてある。今からこのスクリーンにルーレットで選んだ数字が出る!その数字が出た人にはヴィザル君から特別なプレゼントが渡されるぞ!」
アイリスがゲームの説明をするとみんな大盛り上がりした。
「ゲームっていうより宝くじみたいな感じですね。」
「みんなでやるならこれぐらいが簡単で丁度いいわよ。」
「それに毎年こういうゲームをしてクリスマスプレゼントを配るのが恒例になっているんですよ。」
いつの間にか隣にいたグリムがヴィザルに話しかける。その隣にはイヴもいる。
アイリスは進行をアグニカに任せる。アグニカはマイクを持ってみんなに心の準備は出来てるか聞く。みんな出来てるようで歓声が上がった。
「ではオリヴィエ先輩の手元にあるボタンを押すとルーレットが開始されヴィザル先輩の手元にあるボタンを押すとルーレットが止まるよ!じゃあ…行ってみよー!」
アイリスがオリヴィエに指示する。オリヴィエは言われた通りにボタンを押す。すると、スクリーンに数字が連続で表示された。次にヴィザルがボタンを押すとルーレットが止まり数字が表示された。
「やった!」
「姫様かよ!」
最初に当たったのはアテリナだった。アイリスが2人に指示する。これを繰り返し計6回するとルーレットは終了した。
結果、アテリナ、リリエスタ、アルミナ、カーリーン、フェルトリーネ、会話したことない褐色肌で猫耳の女の子が当選しステージに上がった。
「では当選した6人にヴィザル君から特別なプレゼントを!」
アイリスに言われるがままヴィザルはアテリナ達にプレゼントボックスを渡す。何かなと思い開けて見る。中に入っていたのは指輪だった。
「え•••」
ヴィザルがポカンとする。アイリスはアテリナ達に指輪を受け取ったら左手の薬指に嵌めるように言った。もしかしてと思ったオリヴィエが声を出す前にみんな指輪を嵌めた。
「と、言うことで特別クリスマスプレゼントはヴィザル君の花嫁でした!」
「待って!」
やっと声が出たオリヴィエ。どうやらヴィザルとオリヴィエは聞かされてないようでびっくりしていた。
「クソ〜、ニアピンか。」
「サリアに当たらなくって本当に良かったわ。」
悔しそうにするサリアの隣でホッとしたアルティネ。
やっと我に返ったヴィザルがアイリスに詰め寄る。
「これ、どういうことですか?」
「いや〜今年のプレゼント何にしようかなって会議してたら折角だしヴィザル君かオリヴィエちゃんに関する物がいいなってことで決まりました。」
「本人抜きで?」
アイリスにアイアンクローした状態で聞く。珍しくキレているヴィザル。それでもアイリスは怯まず話を続ける。
「確かにヴィザル君に秘密にしてたのはすまない。」
「じゃあ…」
「でもヴィザル君、後ろ見て。」
アイリスに言われて後ろを見る。そこには指輪を嵌めて嬉しそうにするアテリナ達がいた。その笑顔にヴィザルは固まる。
「今更やっぱり無しって言える?」
「••••••••無理だ。」
「でしょ〜。」
断れず跪くヴィザル。そこにイヴが近付いてくる。
「大丈夫ですわヴィザル様。私の国では平均9人の女性を妻にしていますから。」
「何の励ましになってるか分からないけどありがとう。」
ウダウダしても仕方ないと気を取り直し…やっぱり簡単には気を取り直せなかった。ヴィザルはとりあえずみんなにお辞儀する。
「えっと…その…よろしくお願いします。」
「やりましたわ…ついにヴィザル様と夫婦に…私、感激ですわ。」
「やったー!ヴィザルンと結婚だー!」
「あの…初めまして…ラステト•バンクルっていいます。中等部3年の冒険科です。」
「ですよね!初めましての人もいますよね!」
褐色肌で猫耳の少女ラステトが自己紹介する。ラステトがお辞儀するとヴィザルも頭を下げた。
この年のクリスマスはヴィザル達にとって忘れられないクリスマスとなった。
ちなみに勝手に決めたアイリスはオリヴィエにアイアンメイデンの中に入れられていた。
次回予告
とうとうこの時が…
「次回、聖ヴァルキュリア百合女学園留学編終了…?」
「?って何?」




