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鋼絆《メタルバンド》  作者: 高本 龍知
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童心に戻ってはしゃいでしまうのは雪あるある

前回のあらすじ

突然の留学生活終了


「そもそもそういうのは予め伝えておくものでは?」

「ゆ〜き〜だ〜!」


 雪で真っ白になった学園。運動場の中心でフェルトリーネが叫ぶ。昨夜から降った雪が凄く積もっていた。エドラシア大陸では滅多に雪が降らないためヴィザル達もこんなに積もっている雪を見たことがない。そのため新鮮に気持ちで雪の上を歩いている。


「寒いですねぇ。」

「まぁ、−5℃って天気予報で言ってたからな。」


 ガクブル震え口から白い息を吐きながらサリアがやってくる。ヴィザルとオリヴィエも寒さは苦手のようで防寒着を来て震えていた。


「ヴィザルン〜!オリヴィエちゃん〜!こっちこっち〜!」

「ここってこんなに雪降るんですね。」

「はい。ここ、聖ヴァルキュリア百合女学園は四季がはっきりしていて夏は30度、冬は−15度になるので雪が降りやすいのですよ。」


 ヴィザルの隣にいたイヴが教えてくれた。そこに雪玉が当たる。フェルトリーネ達が雪玉を作って投げてきたのだ。


「ヴィザルン!雪合戦しよう!」

「凄いはしゃいでますね。」

「まぁ、年に一度の大雪だからな。」


 そこに今度はアイリスがやってくる。よく見るといつの間にか多くの女生徒達が雪で遊んでいた。既に雪合戦したりカマクラ作ったり中には雪を積み上げて坂にするとソリで遊び始める子もいた。その中にはアテリナもいる。凄いはしゃいで走っていると転けて雪に顔面からダイブした。


「「「姫様!」」」


 ヴィザル達が慌てて駆け寄るもアテリナは顔を上げて笑っている。


「凄い凄い!こんなに積もってるの見るの初めて!」

「ヴィザル様の故郷では雪は余り降らないのですか?」


 アテリナを立たせているとリリエスタがやってきた。後ろにいるフェルトリーネは何故か雪玉を大量に持っている。


「折角だからみんなで雪合戦しようよ!」

「やりたい!」


 フェルトリーネの提案にアテリナが真っ先に手を挙げて賛成した。ヴィザル達も断る理由がないし楽しそうなので参加する。すると、リリエスタと雪穂が障害物やステージを雪で作った。


「これで完成ですわね。」

「じゃあやるよ!ルールは簡単!相手を全員倒すかフラッグ代わりの人質を助けたチームの勝利!」


 フェルトリーネがルールを簡単に説明する。集まっていたみんなでチーム分けをしてフラッグ役も決める。ちなみにヴィザルチームはじゃんけんの結果アイリスがフラッグになった。


「あれ?これ会長がいた方が勝てるのでは…?」

「それじゃあ面白くない。たまには私抜きでやってみるのもいいだろ。」


 ヴィザルの疑問にアイリスが答える。アイリスはフェルトリーネの後ろで正座して待つ。相手チームのフラッグ役はロゼリアのようでヴィザルの後ろで正座して待機していた。


「そうだ!魔法は禁止だからね〜!」


 相手役のフェルトリーネが大声で追加ルールを叫ぶ。

 急遽始まった学年混合雪合戦。審判役のサリアが高らかに試合開始の合図をする。その瞬間、相手チームから凄い量の雪玉が降ってきた。


「多っ!?」


 ヴィザルチームは慌てて障害物に隠れる。チラッと見るとフェルトリーネ達が即行で雪玉を作りグリム達が凄いスピードで投げていた。


「なんだあのコンビネーション。」

「グリム先輩まで凄いはしゃいでいますね。」

「あんなグリム先輩を見るのは初めてだな。」


 今まで見たことないグリムのはしゃぎ様にエリル達が驚いている。それはそうとこのままじゃ全滅するのでこちらも雪玉を作って投げる。

 投げまくって反撃しているとヴィザルがゴソゴソと動く雪を見つけた。それはだんだんロゼリアのところへ向かっている。ヴィザルがおそるおそる雪を掻き分けてみるとレミルと目があった。


「あ、あははははは…」

「•••」


 ヴィザルは無言のレミルの頭に雪玉を当てる。フラッグ役のロゼリアのところに行っているチームがいると報告しようとした時、雪玉が顔面に命中し倒れるヘンリーがいた。


「ヤバいですよ!別働隊がいます!」

「こっちも全滅狙いじゃなくアイリス先輩を取りに行く方がいいかもな。」


 エリルが出る。狙いがエリルに集中する。エリルは障害物から障害物へと移動して雪玉を避ける。それと並行してアテリナ達も投げて援護する。


「来たよ!弾幕何やってんの!」


 フェルトリーネが指示しエルディアレ達がエリルが隠れる障害物に近付き雪玉を投げまくる。そこに別の障害物に隠れていたアルミナ達が雪玉を当てる。


「当たったー!」

「ヤバいかも!」


 やられたエルディアレの声に反応したフェルトリーネが障害物から顔を出した瞬間、シャロンが投げた雪玉がかすった。驚いて障害物に隠れる。


「惜しい!」

「いや、これでいいかも!」


 シャロンの隣で全体を見ていたティアーがヴィザル達を見る。ヘルフィリーの反対側からアイリス目掛けて走り出した。それに気付いたフェルトリーネ達が雪玉を投げる。


「今ですわ!」


 リリエスタが叫ぶ。それを合図にクゥが両手でヴィザルの足場になると思いっきり投げ飛ばした。それと同時にヴィザルもジャンプしてアイリスのところへ行く。


「隙だらけだよヴィザルン!」


 フェルトリーネ達がヴィザルを狙って雪玉を投げる。その雪玉にオリヴィエ達が雪玉を投げてぶつける。


「嘘!?」


 一瞬びっくりして動きが止まったフェルトリーネの顔にエリルが雪玉を当てる。そして、ヴィザルがアイリスにタッチした。そのまま勢いでアイリスを押し倒す。


「勝者ヴィザルチーム!」


 アルティネが手を挙げて試合終了の合図をする。楽しかったのか息を切らしながらもみんなハイタッチしたり握手したりして笑っていた。


「どうだった?」

「初めての雪合戦でしたけど結構楽しかったですよ。」


 グリムが聞く。ヴィザルは深呼吸して答えた。ニコニコのヴィザルを見てグリムもクスクス笑う。


「それは良かったわ。…それでヴィザル君?」

「はい?」

「いつまでそうしているのかしら?」


 グリムが見つめる先を見るとヴィザルの手がアイリスの胸を掴んでいた。ヴィザルは青ざめる。


「ヴィザル…こういうのも嫌じゃないけど…もっと場所を選ぼう。」

「え…」


 満更でもない顔をするアイリス。嫌な予感がしたヴィザルがおそるおそる首を後ろに向ける。そこには雪玉を固く握っているオリヴィエがいた。


「ヴィ〜ザ〜ル〜く〜ん。」

「これは事故ですオリヴィエさん。」


 ヴィザルの言い訳も虚しくオリヴィエが投げた雪玉がヴィザルを吹き飛ばす。

 それからはカマクラや雪だるまを作ったり滑ったりして1日を楽しんだ。

 もうすぐで留学生活が終わろうとそている。最後は何気ない日常の中で思い出をたくさん作れるように…

次回予告

もうすぐクリスマス。


「今年は特別なクリスマスになりそう。」

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