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鋼絆《メタルバンド》  作者: 高本 龍知
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愛が重いのはストーカーあるある

前回のあらすじ

新婚と言えば旅行。


「また面倒な事件に巻き込まれるだけです。」

「否定出来ませんわ。」

 コキュトルス監獄

 そこから1人の男が出所した。男は監獄にお辞儀すると写真を取り出した。そこにはヒルデが写っていた。


 それから数日後

 夜、寮の温泉でリリエスタ達が一息ついている。その天窓に誰かいた。その気配に気付いたリリエスタが天窓に向かって氷の槍を放つ。しかし、そこにはもう誰も居なかった。


「リリー様!」

「今の影は…」


 翌日、ヴィザルが学園長室に呼び出される。一緒にサリア達も入る。そこにはヒルデとリリエスタと昨日温泉に入っていた女の子達がいた。


「え〜と…これは…?」

「ヴィザル君、1つ聞きたい。」

「あ、はい。」


 いつにもなく真剣な顔のヒルデにヴィザルはポカンとしていた。ヒルデがリリエスタをチラッと見て話す。


「昨日リリエスタ達が温泉に入っていると覗きされたらしい。はっきりと顔は見えなかったが体格的に男だということらしい。」

「ヴィザル様…見たかったら素直に言ってくれましたら見せてあげましたのに。」

「待ってください。まず僕が覗きなんてやっていない前提で話し合いましょう。」


 恥ずかしそうに顔を赤らめるリリエスタにヴィザルが手を伸ばして断る。それでもジト目で見るヒルデ達に弁明をする。


「本当にしてないんだな?」

「もちろんです。もし覗きなんてしたら今頃挽き肉ですよ。」


 そう言っているヴィザルの後ろではいつの間にかいたオリヴィエ達がミンチを作る機械を設置していた。それを見たサリア達はドン引きする。


「ま、まぁ…私達も疑っているわけじゃない。が、ここは簡単に侵入出来るところじゃないし男に変装した生徒だとしてもそもそも動機がない。だから1番怪しいのはヴィザルってことになってしまうのだか。」

「僕は覗きなんてやってません。僕と…サリアさんの魂を賭けます。」

「勝手に私の魂かけないで!」


 ヴィザルの真っ直ぐな目を見たヒルデは一息つくと彼の発言を信じることにした。


「分かった。君のことを信じよう。こちらも調べてみる。」


 ヴィザル達は一礼して学園長室を出る。ヒルデがふぅーと一息ついて資料を見る。


「へぇ、聖女祭で侵入者かいヒルデ?」

「そうだ。この侵入者の素性を調べてもらっているが…」


 説明しているヒルデが気づく。隣にヴィザルじゃない男がいることに。ヒルデはすぐに離れ魔法を放とうとするもそれより早く男がヒルデの手を掴み手の甲にキスをした。


「久しぶりだねヒルデ。」

「いつ来た…ジーク。」


 ヒルデがジークと呼ぶ。ジークはニコッと笑うと立ち上がって一礼した。


「早くヒルデに会いたくてね。やっと昨日来れた。」

「おい…昨日女子風呂を覗いたか?」

「ああ…お恥ずかしい話、ヒルデがいるかなぁって。」

「確保ー!」


 ヒルデが地面から鎖を出す。それをジークが手刀一振りで全て破壊した。そのままヒルデに接近しようとした時、鎖に足を絡ませてしまいヒルデを押し倒した。そこにヒルデの声を聞きつけたヴィザル達が入る。


「こ、これは…」


 ヴィザル達が入ると白髪の男性がヒルデを押し倒している。


「学園長…」

「ち、違う!断じていかがわしいことは…」

「私は別にいいですよ。」

「黙れジーク!」


 ジークを蹴り飛ばし弁明するヒルデ。しかし、ヴィザル達の目は冷たい。軽蔑とすら言える視線にヒルデは涙目になってしまう。


「は、話を聞いてくれ!」

「学園長、ここは男子禁制のはずですが?」

「もちろんだ!ジークが勝手に侵入して来たんだ!」

「知り合いなんですね。」


 アルティネに指摘されたヒルデは正直に話し始めた。


「こいつはジーク•フリートシグルズ。私の……昔の恋人だ。」

「今でも恋人だと思っていますが。」


 ヒルデがジークの鳩尾に肘打ちして黙らせる。


「昨日の覗きはこいつだ。ヴィザル君、疑ってすまなかった。」

「それよりあの人どうやってここまで来たんですか?」


 ヴィザルが指差すとジークが何事もなく立ち上がり髪を後ろにかいた。


「私にかかればヒルデの仕事から今いる場所も癖もスリーサイズも全てお見通しさ。何故なら24時間365日ヒルデを思い見守り続けていたからな。」

「サリアさん、今すぐ警察に言ってあのストーカー捕まえてもらいましょう。」

「賛成。」


 サリアがスマホで警察を呼ぼうとしたのをジークが一瞬で止める。そこにヒルデが肩を強く握ってジークの動きを止めた。


「それよりジーク、お前収監されてなかったか?」

「「「収監!?」」」


 ヴィザル達が驚く。


「ああ。先日コキュトルス監獄を出所したばかりさ。」

「サリアが収監されたところと同じね。」

「あれ?あの白髪野郎どこかで見たと思ったら私の真向かいの牢屋に入ってた奴だ。」

「そうなの!?」


 サリアのカミングアウトにまた驚く。それでジークも思い出したのかポンッと手を叩いた。


「ああ!あの時騒がしい記者と一緒に一瞬で消えた脱獄囚か!あれ以来オルケアノスがカンカンになってコキュトルス監獄の警備がさらに厳重になったんだよねぇ!」

「サリア…」

「待て!あれは私じゃなくフィルだから!」

「だからなんでフィルがそんなこと出来るのよ?」

「知らねぇ!」

「先生、話が脱線してますわ。」


 リリエスタが話を戻す。その後ろではオリヴィエ達がミンチを作る機械を整備している。


「ここは本来男子禁制の乙女の花園ですわ。例え学園長の恋人であってもそれは覆ることはありませんわ。」

「じゃあ彼は?」

「ヴィザル達は例外ですわ。」


 リリエスタ達がジークを捕まえようとする。それをヒルデが止めた。


「学園長?」

「悔しいがこのバカは強さは本物だ。お前達でも相手になるかどうか…」

「じゃあ、また会いに来るね。」


 いつの間にか窓に立っていたジーク。ヒルデにウインクして飛び降りる。ヴィザル達が驚いて窓から覗くも既にジークはいなかった。


「学園中に連絡。変態が侵入したから抹殺せよ。」

「そこまで!?」


 ヒルデの命令でヴィザル達はジーク捜索に出ることになってしまった。

次回予告

ジーク捜索開始!


「面倒くさいです。」

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