能力より性格重視する会社が増えた気がする
前回のあらすじ
二人の英雄が魔王を打ち砕いた。
「カリスティ、どこだ~!」
「まだ魔王が暴れている。」
エレキナが魔王みたいになる前
森林ゾーンの洞窟の中にヴァンガスがいた。彼の周りにはワイルドビーストのメンバーの他に数人の謎の人物も倒れていた。
「なんだ、こいつら?どのクランにも所属してねぇみたいだが。」
ヴァンガスが謎の人物達を見ているといきなり後ろから犬の獣人が襲ってきた。ヴァンガスはその人物を盾にして攻撃を防ぎ、距離をとった。
「ん?なんだ、誰だ?」
ヴァンガスは近づいてくる獣人を見た。その獣人は若い男でなんかヴァンガスに因縁があるようだった。
「覚えてないんですか?」
「全然覚えてない。」
「この傷を見ても?」
そう言って男は右腕の傷を見せた。
「お、思い出した!お前、お漏らしのケインか!?」
「なんでこれでそっちの方で思い出すんですか!?」
ケインは目を真っ白にしてツッコミを入れた。
「確かに俺はケインですけどせめてこの傷で思い出してください!」
「・・・そうか、その傷!確か、全裸に網タイツで立ちションしてた時に酔った俺が付けた傷か!?」
「全然違いますよ!何ですか、そのふざけた記憶!?これはあなたがワイルドビーストを出ていった時に止めに入った俺に付けた傷ですよ!」
「思い出すのめんどくさい。」
「え・・・」
そう言ってヴァンガスはケインの首を切り裂いた。
「だから、あなたのそういうところが嫌いなんですよ。」
そう言ってケインは退場してしまった。
しばらくしてヴァンガスが洞窟を出ると目の前にギルガがいた。
「見つけたぜ、ギルガ。」
「兄であり元上司の俺に対しても口が悪いところは変わらずか。」
「兄ってただの分家で従兄弟だったってだけだろう。」
「全く、クエストの達成率はいいのに口の悪さ、粗暴なところがあるからワイルドビーストから締め出されるんだろうが。」
「あれはお前とやり合った結果、俺が勝手に出て行っただけだろう!」
そう言ってヴァンガスはギルガに切りかかった。ギルガは冷静に攻撃を受け流し、ヴァンガスにカウンターを決めた。
ヴァンガスは少しのけ反ったが倒れず、ギルガに風の刃を放った。刃は周りの木々を切り裂きながらギルガに向かってきた。
「相変わらず、技だけは一流だな。」
そう言ってギルガは刃を全て切り裂いた。そのまま、ヴァンガスは両腕に炎を纏ってギルガに向かって切りかかった。
「《炎狼の爪》!」
炎に包まれた腕をギルガに振りかぶった。しかし、ギルガはそれを真っ向から受け止めた。
「マジかよ!」
「前の方が技にキレがあった。今は見る影もないな。」
ヴァンガスは焦ってギルガから距離を取った。
「確かにお前は強い。けど、酒を飲めば女に手を出し、思い通りにならなかったらすぐに暴れ、傲慢、高慢、その性格は冒険者として失格だ。運良く寛容なアイアンガイアに入れたようだがその性格を直さない限りいつまでも変われないぞ。」
「うるせぇ!俺は俺だ!」
そう言ってヴァンガスは炎と風を合わせた大技をギルガに向けて放った。
「《アルカディア・バーン》!」
放たれた技をギルガは避けず真っ直ぐ突っ込んできた。そして、炎を切り裂いてヴァンガスの前にきた。
「!」
「お前は技を研く前に自分を見直せ。」
《フェンリルバイト》
ギルガはそのままヴァンガスを切り裂いた。
「くそっ、マキナの敵が討てなかった。」
《ヴァンガス・リュカリオン リタイア》
ヴァンガスはギルガを睨み付けたまま退場した。
「あいつが敵討ちか。意外と変わろうとていたんだな。」
ギルガはジーっと、ヴァンガスが消えた跡を見ていた。
余談[砂漠ゾーンでの一幕]
「俺と結婚してくれー!」
「ぎゃぁあああああああああああああああああああ!」
両目がハートのディアゴから逃げているギルガ。砂漠ゾーンと廃墟ゾーンの境目に入ろうとしたところでギルガは気付いた。
「別に倒してもいいんじゃねぇか。」
そして、そのまま180°回転してディアゴを切り裂いた。ディアゴは両目がハートのまま退場した。
その一部始終をアレックスとヴィヴィアンが見ていた。むちゃくちゃドン引きしながら。
「何しているんですか、マスター?」
「聞くな。」
『おっと、こっちでも決着がついたみたいですね。ディアゴ・リザーデス選手の愛の告白を首を切り裂いて断ったギルガ・フェンリオン選手の勝利です。』
「待て実況。その言い方は止めろ!変な誤解が生まれてる!」
このまま、ヘルマの男の娘発言までアレックスとヴィヴィアンに冷たい目で見られるギルガだった。
「これ、別に言わなくていいだろうが!」
次回予告
やっとサリアの登場です。
「マジで長かった。」