金のためなら手段を選ばない奴もいる
前回のあらすじ
サリアもカリスティも金に目がない。
「とりあえずサリアは捕縛したわ。」
「ん〜!ん〜!」
ケンが周りを警戒しながら変装してあるヴィザル達を連れて行く。幸いマクガフィンではアイアンガイアは有名じゃないようでケンとヴィザルの関係がバレるどころかヴィザルがアイアンガイアのメンバーであることを知らない。そのためかハンターチームは聖ヴァルキュリア百合女学園の生徒達を探している。
「皆さん大丈夫でしょうか?」
「今は全員の無事を祈りながらウェルテルを探すのが先決だ。」
ケンはこちらに気付く者がいるかどうか警戒している。ヴィザル達はケンのおかげで堂々と歩くことが出来た。すると、マクガフィンの情報を集めていたフェルトリーネが絶句した。それに気付いたオリヴィエがスマホを覗く。そしてすぐにヴィザルを呼んだ。
「見て!」
「?」
オリヴィエに言われてスマホを見ると若者達がクラスメイトを拘束している動画が流れていた。
『イエーイ!ヴィザル君見てるー!?今、君のお友達と一緒にアンデラ公園にいるんだけど君が来てくれないとこの後どうなるか分からないよ〜!』
調子に乗っている男の後ろでドロシー達が怯えていた。その映像を見たヴィザルは黙って歩き始めた。
「ヴィザル、何をするかは聞かん。だが、俺も同行する。」
「私も行く。さすがにこれはムカついた。」
「私もなのです!」
「私も…なのです。」
「これじゃあますます男を怖がるわ。」
ヴィザルは頷くと走った。
アンデラ公園には多くのハンターがいる。もちろん狙いはヴィザルだ。その餌としてドロシー達を捕まえていた。ハンター達がヴィザルを待っているとそのうちの1人がドロシーの隣にいる少女に手をかけた。
「なぁ、暇だしこいつらで遊んでいかね?」
「バカか。そんなことするために捕えたわけじゃないだろ。」
「いいじゃん!全員なかなか上物だしもしかしたらヴィザルは来ないかもしれんそな。」
「き、来ます!ヴィザル君は絶対来ます。」
ドロシーが涙目になりながらも反論する。
「よく考えてみろ。こんなにいっぱいいるのに態々来るわけなかったわ。それにこいつらそんなに仲良くない可能性もあるし。」
男がドロシーに手をかけようとした瞬間、ヴィザルが飛んできて男を蹴り飛ばした。ドロシー達の前に立つ。ヴィザルの背中を見て涙を流す。
「ヴィザルだ!」
「マジで来たぞ!」
「捕まえろ!」
ヴィザルの周りを囲む。蹴られた男が上半身を起こしてヴィザルを見る。
「マジで来たよ。何?その子達好きなの?もしかして彼女?」
「そんなの関係ないよ。友達が泣いているから。それだけだよ。」
「マジで!ヒーローじゃん!でもバカだろ。」
男が立ち上がる。
「見ろよ!ここにいる全員、お前を捕らえるために来てるんだぜ!お前1人で何が出来る!?」
「1人でなければいいのだろ。」
その声と共にケンが何人か倒してヴィザルの背中合わせに着地した。
「やるぞヴィザル。」
「はい。」
2人は同時に飛び出しハンターチームを倒していく。何人かがドロシー達を人質に取ろうとした時、フェルトリーネが鞭を振り回して薙ぎ払った。そこにシャムエラとネルシエルが手を合わせて泡を放った。泡は次々と相手に絡まり閉じ込めた。
「大丈夫なのです?」
「あ、ありがとうございます〜。」
2人がドロシー達を解放する。その後ろから長い棒を振り回しながら襲ってきた男をオリヴィエが雷を当てて倒す。
「おいおい…なんなんだよ。強すぎだろ…」
最初に調子に乗っていた男はヴィザル達の奮闘する姿を見て慄く。そこにアルティネ達が加勢に来た。アルティネは茨である程度相手を捕らえるとヴィザルに近づいた。
「ヴィザル!あんた何考えて…」
ヴィザルに近づいたアルティネはヴィザルの見たことない表情とオーラに圧されてケンの後ろに逃げる。
「ね、ねぇケンさん…ヴィザルが怖いんだけど。」
「まぁ、今ブチ切れてるからな。」
ヴィザルは拳銃を向けた男に即座に接近し蹴り飛ばす。男は壁に激突しクレーターを作って気絶した。ピクピクしている男を見て周りは逃げ始める。そんな中1人だけ両手に剣を持ってヴィザルと対峙した。
「ベインが悪かったな。けど、俺も5万エルンは魅力的でな。捕まってもらうぞ。」
「僕は…」
「ヴィザル、お前は体力を温存しろ。俺が相手する。」
ヴィザルの代わりにケンが前に出た。男は一切顔色を変えずケンを観察する。ケンが刀を構えようとした瞬間、男はダッシュで距離を詰めた。ケンはとっさに受け止め下がる。男と激しい斬り合いになる。男は自分が優勢だと判断し剣に炎と雷を纏わせた必殺技を放った。
(決まった。)
「居合《鳳凰一閃》」
男の後ろにケンがいた。ケンは刀を鞘に納めると男は倒れた。ヴィザル達が駆け寄る。
「大丈夫ですか!?」
「問題ない。それよりアルティネ。サリアがどこにいるか知ってるか?」
「縛って部屋に放置してるわ。」
「よし。」
圧倒的な強さを前に次々と逃げ出すハンターチーム。すると、ヴィザル達も前に誰かが飛んできた。着地の際の衝撃と爆風が辺りを包む。
「また新手か。」
全員戦闘態勢に入る。煙が晴れるとチャラそうな男を担ぎ少女を肩に乗せた大男がぜぇぜぇ言っていた。肩に乗っている少女がこちらに指を差す。
「さぁ、私達四天王が相手するわ!」
「「「•••」」」
どう反応すればいいのか分からず黙っているヴィザル達であった。
次回予告
とうとう四天王(?)とバトル!
「それより武器の持ち込みはOKなんですか?」
「申請して許可証と登録チップを付けたらOKだ。」
「そうなんですね。」




