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鋼絆《メタルバンド》  作者: 高本 龍知
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偶然は誰かに仕組まれる

前回のあらすじ

ヴィザルが混浴!


「サリアさん…」

「本当にごめん!」

 修学旅行2日目の朝


「•••」

「•••先生。」

「何?」

「なんでヴィザル君は斧をフルスイングしているのですか?」

「サリアを処刑するためよ。」

「何があったんですか!?」


 一足先に朝食を済ませたヴィザルがサリアの後ろで斧をフルスイングしていた。それを見て事情を知らないフェルトリーネ達は若干引き事情を知っている…というか元凶のサリアは汗を流していた。朝食がもうすぐ終わろうとしている時にヒスイがヴィザルを落ち着かせ予定を伝えた。


「みんな聞いて!今日は10時からマクガフィン戦争資料館で両クラス一緒に見学、12時半にエノス食堂で昼食、13時半から17時まで戦争資料館を自由見学することになっているから!夜の予定は昼食時に話すわ!質問ある子はいる?」


 ヒスイが予定を伝える。質問がある生徒はいないようで朝食を済ませ準備も済ませたヴィザル達はマクガフィン戦争資料館に移動する。

 マクガフィン戦争資料館に着き中に入って行く。その様子を外からクロア達が見ていた。


「いいなぁ〜。ケン達は昨日ヴィザルに会ったんでしょ。私も会いたかった〜。」

「迷子になってたあんたが悪い。」

 

 エウリアのキツい一言に愕然とする。すると、一方を見て信じられない物でも見たかのような表情をした。エウリアは気になって聞いてみる。


「何見てんのよ?」

「あれって…ゲルドじいさんだよな?」


 クロアが指差す先を見る。そこには確かに車椅子に乗っているゲルドとシスターズがいた。それを確認したエウリアも驚いている。クロアはすかさずゲルドのところへ走る。


「ゲルドじいさん!」

「ん?クロアか。また面倒なところで会ったな。」

「なんであんたもここにあるんだ?」

「招待状が来たんだ。何故かシスターズ同伴でな。」


 ゲルドが招待状を見せる。


「なんでゲルドさんのところにも来ているのよ?」

「ヴィザル達もいる。私達アイアンガイアもいる。ゲルドじいさんもいる。偶然にしてはなんか出来過ぎてないか?」

「その偶然を作ることが出来る奴ならいるじゃねぇか。」

「え?」

「これを送った張本人だ。」


 ゲルドの言葉にクロアは唖然とする。


「もしかして…」

「ヴィザル達が修学旅行で来ることを知っていて私達に招待状を送ることが出来る人物…」

「ああ、なんか臭うなあの社長。」


 ゲルドはそう言ってファウスト社本社を睨んでいた。


 一方、ヴィザル達はマクガフィン戦争資料館を一通り見学しエノス食堂で食事していた。食事も終わり自由見学まで近くを彷徨いていた。すると、前にいた高級車の中からスーツを着た男性が出てきた。


「久しぶりだねヴィザル君。」

「レディングさん!」

「お父様!」


 登場した男性にヴィザルとオリヴィエは驚愕した。男性はオリヴィエの父親でアストライカ財閥グループトップのレディング・アストライカだった。一緒にいたフェルトリーネ達も2人の様子を見て只者じゃないと判断しお辞儀する。


「お父様は何故ここに?」

「ファウスト社から提携の話が来てな。アストライカコンツェルンと共同で新しいアンドロイドを製造出来ないかどうかを会議するために来た。」

「レディング様…」

「そうだった。失礼するよ。オリヴィエ、楽しんできなさい。」

「はい、お父様。」

「ヴィザル君、オリヴィエを頼むよ。」

「は、はい!」


 レディングはヴィザル達に微笑むと高級車に乗って何処かへ行った。ヴィザルは緊張が解けホッと胸を撫で下ろした。その様子をサリア達が見ている。


「なんか続々登場してない?」

「今一番勢いに乗っている会社の一大プロジェクトだから有名企業はみんな飛びつくわよ。」

「でもなんでこのタイミング?」

「さぁ?偶然じゃない?」


 アルティネはそんなに気にしてなかったがサリアはなんか引っ掛かると訝しんでいた。結局そのなんかは分からないまま見学を再開する。ヴィザル達も戦争資料館の中を回っているとあるところで足を止めた。オリヴィエ達が何かなと見ると“オリュンピア大戦争”と書かれた看板があった。


「これ、ケンさんが参戦していた戦争です。」

「そういえばケンさんってオリュンティア公国護衛騎士団団長でしたね。」

「あの人が…」


 資料を見ると確かにケンの名前が載っていた。それを見てエリルは目をキラキラさせている。ヴィザルも気になり資料を読む。すると気になることができた。


「•••」

「どうしたの?」

「ぁ、いえ…このオリュンピア大戦争って確か14年ぐらい前ですよね?」

「そうよ。」


 ヴィザルの質問に後ろにいたアルティネが答える。


「ヴァルデラ帝国が魔王復活の噂を聞き付けてその力を奪おうとして始まった戦争よ。」

「詳しいですね先生。」

「詳しいも何も私、この戦争の当事者よ。」

「え?」


 アルティネのカミングアウトにヴィザル達は唖然とする。


「あれ?言ってなかったっけ?私とヴィーナはその戦争で故郷を焼かれ孤児となっていた時にケンさんに助けてもらったのよ。」

「初めて知りました。」

 

 アルティネの過去に驚く。


「それで何が気になったの?」

「あ、その…これですけど…ファウスト社の設立がこの戦争の直後なんです。」


 ヴィザルはマクガフィンのパンフレットを見せる。そこにはファウスト社の説明もあって設立がオリュンピア大戦争が終結してから僅か1ヶ月後だった。


「へぇ。確かに偶然…とはいいにくわね。そもそもファウスト社もウェルテルさんもそれより前の情報ないのよね。」


 パンフレットを見ながら首を傾げる。気にはなったが今気にしても仕方ない。アルティネは頭の隅に入れたまま見学を進めた。

 この時は何事もなく進みホテルに戻って一夜を過ごすのだった。ちなみに、今回はちゃんと女子とは別の時間帯に温泉に入れました。

次回予告

不穏な空気が……


「多分くだらないことです。」

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