天空都市マクガフィン
前回のあらすじ
修学旅行だ〜!
「作者は修学旅行どこだった?」
「シンガポール。」
「マジで!?」
朝日が旅客機を照らす。中には聖ヴァルキュリア百合女学園2年冒険科の生徒達とその関係者が眠っていた。その内の1人ヴィザルが目を覚ます。雲より上の景色に眠気が吹っ飛んだ。
「綺麗…」
「•••本当ね。」
ヴィザルの声に隣で寝ていたオリヴィエも起きる。彼女もヴィザルと一緒に景色を眺めた。次々と目を覚ましていく生徒達。皆、昨夜に旅客機に乗ってきたためさっきまで寝ていたが外の景色を見て目が覚め騒ぎ始めた。
「は〜い、静かに。もうすぐでマクガフィンに到着するからね。」
ヒスイが生徒達を静かにさせる。すると、アナウンスが流れた。
『当機はまもなく天空都市マクガフィンに到着します。……』
「まもなくだって!」
「楽しみ!」
窓から覗き込む。すると、大きな人工島が見えてきた。空に浮かぶ島にはいくつもの建物が建ち並んでいる。下はプロペラや浮遊させる装着などがあった。あれが天空都市マクガフィンである。
「天空都市マクガフィン…神歴2076にファウスト社が主導で進めているプロジェクト『天空都市開発計画』によって建設が開始された。目的は……」
「は〜い。みんな、ちゅうも〜く!」
ヴィザルがサイトを見ているとヒスイが生徒達を前に向かせた。
「行く前にも言ったけどこの修学旅行は4泊5日、2日目は両クラス合同でマクガフィン見学、3日目はクラス別で歴史学習、4日目が各クラスで博物館見学だから。遊びで来たわけじゃないことをちゃんと覚えておくように。」
ヒスイが説明を終わらせると丁度旅客機がマクガフィンに到着した。先生達を先頭にみんな降りる。みんな私服のためいろいろな個性が見えてくる。ヴィザルは………これと言って特徴のない格好であった。
(あれ?酷くないですか?)
ヒスイ達の前に整列する。全員ちゃんといることを確認すると空港から出る。そこからは彼女達の多くにとって初めての経験があった。初めて多くの男を見たのだ。初めての経験に興味津津の子もいれば怖くて隠れる子もいる。周りの人達も初めて見る聖ヴァルキュリア百合女学園の生徒達に夢中になっていた。
「あれが噂の…」
「みんな可愛い!」
「なんで男がいるんだ?」
「男装じゃない?」
(やっぱそう思いますよね?)
聞こえたひそひそ話に気まずくなるヴィザル。女子校唯一の男子はやっぱり目立つのだ。空港を出て待っているとバスが来た。ヒスイ達の前に停まるとバスから女性が降りて来た。
「お待ちしておりました聖ヴァルキュリア百合女学園御一行様。私は修学旅行の間お世話を任されました。ユナと申します。」
「ご丁寧にありがとうございます。お世話になります。ヒスイです。」
「サリアです。」
「アルティネです。」
「フリスタンです。」
ヒスイ達がユナに自己紹介する。みんなよろしくお願いしますと挨拶してバスに乗る。バスは大きく2階建てになっていて生徒全員が乗っても余裕があった。
バスに揺られマクガフィンの町中を周る。今まで見たことない景色にはしゃいでいた。1階ではフリスタンとアルティネ、2階ではヒスイとサリアがみんなに説明をする。
「これから私達が泊まるホテルに向かうからね!分かってると思うけど粗相のないように!」
「「「は〜い!」」」
みんな元気良く返事した。本当に大丈夫なのか心配する。しばらくしてホテルに到着した。豪華…そんな言葉では言い表せないほどなんか凄いホテルにヴィザル達は息を呑んだ。すると、エントランスから青年がやってきた。
「お久しぶりですサリアさん。」
「久しぶり〜!」
そう、彼こそファウスト社CEOウェルテル•エクス•ヴォルフガングである。ウェルテルと仲良く話すサリアに皆、目を丸くする。
「ほ、本当だった…」
「いつの間にあんなコネ持ってたのよ。」
ウェルテルはサリアと握手を交わすと説明を始めてくれた。
「こちらが皆様が宿泊するホテル。マリーナベイ・エクスになります。」
(どこかに似たホテルありませんでした?)
「マリーナベイ・エクスでは100を超える部屋にレストラン、そして屋上には露天風呂を完備しております。」
魅力的な施設の数々にみんな目をキラキラさせている。そこに数人の同じ格好同じ姿のメイド達がきた。
「さらに、宿泊中はこちらの我が社が開発した美少女戦闘メイド:マリアが皆様のユナと一緒に皆様のお世話をします。」
『マリアです。何でも命令してください。』
1番前にいるマリアがお辞儀すると後ろにいるマリア達もお辞儀した。初めて見るマリアにみんな興味津津だ。
「それと皆様の中には男性に対して苦手意識を持っている方もいるとのことなので当ホテルのスタッフは全員女性にしております。」
「お、お気遣いありがとうございます。」
ヒスイ達がお辞儀する。そこでヴィザルは気付く。
「あれ?もしかして、ホテル内の男って僕だけ?」
「だね。」
「もし、何かありましたら私かユナかマリアにご連絡ください。」
ウェルテルが説明を終わらせると腕時計がピーピーと鳴った。ウェルテルが腕時計をちょちょいと操作すると男性のホログラムが出てきた。
「CEO、ワンドマンズ社社長が15分後にこちらに到着します。」
「分かった。着いたら本社会議室Bに来るように伝えてくれ。」
「畏まりました。」
「それでは私はこれで失礼します。」
「ありがとうございました!」
ウェルテルは軽く会釈するといつの間にか来ていた車に乗り去って行った。サリア達が見送っているとユナがホテル内を案内してくれた。
キラキラしたホール、一流レストラン、一泊数万はしそうな部屋と見る度に感嘆してしまうものばかりだった。
「露天風呂が見たい!」
「私も!」
「それは今夜の楽しみとしましょう。今日はここの探索と後日どこを学習するか決めるように。帰ったらレポート提出があるからね。」
案内が終わるとアルティネがみんなを連れてホテルを出た。ヒスイとフリスタンは部屋に残ってこれからの予定を作っている。その間にサリアがFクラスを、アルティネがEクラスを連れてマクガフィンを見回る。
これから思い出に残る楽しい楽しい修学旅行の始まりだ!……そう思っていた時期が僕にもありました。
次回予告
遂に始まる修学旅行!しかし、何故かそこには…
「勘弁してください…」




