お茶会を嗜むのはお嬢様あるある
前回のあらすじ
不良はチョロい。
「雨の日の捨て猫とかに結構弱いよね。」
ある日
「皆様、今月もよろしくお願いします。」
「「「よろしくお願いします。」」」
綺麗な花が生い茂る中庭の一画では優雅なお茶会もといティーパーティーが始まっていた。ティーパーティーに参加しているのはウルシア•ノルンフォード、ヴェルディア•ノルンフォード、スクリア•ノルンフォードの生徒会三姉妹を含めた気品高いお嬢様達…とヴィザル。
「なんで僕いるんだ?」
始まりはウルシアにお茶会に誘われたことであった。予定もないしと軽くOKした結果がこれだ。
ヴィザルは後悔している。こんな優雅な雰囲気に自分は合うのか?そもそもこういう雰囲気は苦手なのだ。
ヴィザルがソワソワしているとウルシアが話を進めてくれた。
「初めましての方もいるので自己紹介致しましょう。」
「はい。私はイヴ•エヴァン•アマデウスですわ。中等部2年Cクラスの魔導士兼エヴァン王国のお姫様ですわ。」
「初等部6年Dクラスの響喜音愛です。有名な音楽一家の次女として産まれました。得意なことはヴァイオリンです。」
「高等部1年Dクラスに在席しています。シャーロット•ココアです。スイーティ王国王位継承権第三位ですかは。よろしくです。」
全員が自己紹介を軽く済ませたのでお茶会を開催する。みんな、優雅にお菓子や紅茶を嗜んでいるがヴィザルはお茶会のマナーとか作法なんて分からないので固まっていた。すると、ヴィザルのことを気にしてくれたウルシアが話を振ってくれた。
「今回ヴィザル様をお呼びしましたのはお喋りがしたいだけですのでリラックスしてください。」
「は、はい…」
リラックスと言われてもどうすればいいのか分からない状態だ。すると、シャーロットがスコーンを頂いた後、ヴィザルに質問した。
「ヴィザル様はオリュンティア公国有数の貴族オルディダンテ家の息子様でよろしいのでしょうか?」
「え、ええ、そうですよ。」
「私、ヴィーダ様とお会いになられたことがありますの。」
「え?そうなんですか?」
「はい。初めて家族以外の男性を見られた時はドキドキしました。でもヴィーダ様は気品高く紳士的な方でした。お連れの息子様も私に優しくて素敵な方でした。」
(ヴァリス兄さんだ。)
以外な繋がりに驚くヴィザル。すると、今度はイヴがヴィザルに語りかけてきた。
「ヴィザル様。」
「はい。」
「私の国エヴァン王国では一夫多妻制で王国の女性がいれば何人でも殿方は女性と結婚することが出来ますわ。」
「グリムさんが言っていたのはあなたでしたか!」
ヴィザルが頭を抱える。イヴが目を点にして見る。
「ヴィザル様?」
「それってハーレム婚ですよね?」
「はい。」
「僕が相手で大丈夫なんですか?」
「はい。ヴィザル様のお噂は聞いておりますわ。」
噂。それを聞いて疚しいことはない…はずと冷や汗かいているヴィザルはおそるおそる聞いてみた。
「ど、どんな噂ですか?」
「この学園の女性全員とハーレムを作ってあるという噂ですわ。」
「なんですかそれ!?どこ情報!?」
ヴィザルは必死に否定する。それを見た音愛はクスクス笑っていた。
「本当にヴィザル様は面白い方ですね。」
「よく言われます。」
なんとかここから逃げ出したい。そう思いウルシアに目を向ける。すると、ウルシアはヴィザルの目に気付いたのかニコッと笑った。
「それでは皆様の好きな方を話し合いましょう。」
「そうじゃない!」
テーブルに頭を着ける。みんなウルシアの話に乗っていっせーのーで好きな方の名前をあげる。と言っても当然全員がヴィザルの名前をあげた。ヴィザルは顔を下に向けて黙る。
(なんか戦うより疲れる…)
なかなか慣れない雰囲気に気が滅入ってしまっている。そこにヴェルディアがそっと紅茶を置いてくれた。
「あ、ありがとうございます。」
「いえ。」
ヴィザルはそっと紅茶を飲む。一息ついてケーキを食べる。すると、ウルシア達がジーとこちらを見ているのに気付いた。
「あ、あれ?」
「そういえばヴィザル様。好きなケーキやお菓子はありますか?」
「え…べ、別に好き嫌いとかはありませんけど…」
「ヴィザル様!どんなタイプの人が好きですか!?」
「え、え~と……好きなタイプとかはないですけど強いてあげるなら強制しない人です。」
突然始まるヴィザルへの質問の嵐。ヴィザルはタジタジになりながらみんなからの質問に答える。最後にスクリアがした質問にヴィザルは悩んでしまった。
「この中で1番好きな人は誰ですか!?」
「••••••••」
ヴィザルは頭を抱えて悩む。誰かの名前を言えば他の人達が悲しんでしまう。悩んだ挙げ句ヴィザルは答えた。
「み、皆さんです。」
ヴィザルの回答にみんな喜ぶ。結局このこともあってヴィザルの学園ハーレム計画という噂はさらに広まっていくのであった。
次回予告
学園一番の行事が始まる。
「作者もこれが2番目に楽しみだった。」
「1番じゃないんかい!」




