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鋼絆《メタルバンド》  作者: 高本 龍知
28/406

女の怒りは恐ろしい

前回のあらすじ

次元が違う戦いについていけない皆さん。


「まさか、ケンがやられるとは。」

「俺はここまでだ。後は頼むぞ。」

『え、えーっとたった今、ギガントタイタンのマスター、ギガストロ・ロックオーガ選手がリ、リタイアしました。そ、それよりヘルマ・プロディトス選手が男の子だということに驚きが隠せないのですが・・・私の胸より大きい・・・』

この実況を聞いた瞬間、各地で地獄が始まった。

「嘘でしょ?ヘルマってアイアンガイアのあの子よね?え、男の子なの!?」

「ま、負けた・・・」

「ちょっと、何してんの!さっさと行くわよ。」

「うるさい!あんたはデカ乳だから私達の苦しみなんてわからないでしょ!」

「え、何!?ちょっと待って!」

「欲しい!その胸が欲しい!」

各地でヘルマより胸の小さい女性達が項垂れていたり自分よりも胸が大きい仲間に八つ当たりしたりしていた。

その中でもエンジェルフォースは一番の地獄絵図だった。

「ヴィザル君、なんで私は胸が小さいんでしょうか?」

「ノーコメントで。」

オリヴィエがヴィザルに質問した。その目には光がなく、ただ黒い目がヴィザルを見ていた。

「怖い、恐い!なんかどう表現していいのかわからないぐらいこわい!」

光の無い目をしたまま近づいてくるオリヴィエ。ヴィザルは後退りしながら彼女を落ち着かせようとした。

「大丈夫!オリヴィエさんは充分魅力的だよ!」

「違うの。」

そう言ってオリヴィエはヴィザルに向けて雷を放ってきた。

「どこで間違えた~!」

ヴィザルは全力疾走で逃げ出した。


ヘルマを見て絶望していた少女がいた。月読美琴だ。

「う、嘘。あの子が男の子。そんなあぁ。」

彼女も膝まついて絶望していた。そこに、近づいてきたのは勇薙進一だった。彼の隣には双子とみられる少女が二人いた。

「大丈夫か、美琴?」

「もうダメ。戦えない。」

「そこまでか。」

「進一お兄ちゃん。あの人がヘルマ?私より大きい・・・」

「お兄様、どうなさいますか?」

「とりあえず、様子見だ。相手がどんな奴かわからないからな。」

四人がヘルマを見ていると勇薙がある気配を察知して三人を連れて避けた。その瞬間、さっきまでいた場所に光線が当たり、クレーターができていた。

勇薙が上を見るといつの間にか左腕を直していたクロアが大砲を向けていた。

「なかなかやるなぁ。」

「ゲッ!あの時の!」

「また逃げるのか?」

クロアはニヤニヤしながら大砲を向けている。すると、さっきの音に反応したヘルマが現れた。

破れた服をなんとか繋げていたため豊満な胸が今にも零れ落ちそうだった。

「・・・」

「うわーん、お兄ちゃーん!」

「何ですか、あの堕肉。」

「落ち着け、エレナ、エリス。」

勇薙は二人を宥めていたらアルティネとフリーラが現れた。

「ごめん、ヘルマ君。このままだと私達が真っ先に全滅するから早めに倒すわ。」

「これ、僕が悪いんでしょうか?」

「悪いのは運だね。」

アルティネが構えた瞬間に実況が流れた。

『お、おぉ~!砂漠ゾーンで注目の対決が始まろうとしています。かたや今大会で台風の目となったアイアンガイアのケン・アレスザード選手!ラスト・ワン・オデュッセイア開始早々大活躍!先ほどもエンジェルフォースのヴィーナ・アプロディ選手を口説き落としました!』

その実況を聞いたアルティネは額に手を当てガックリした。

「お、遅かった~!」

「あのマスター、さらにヤバいことになりました。」

「え?」

二人が実況を聞いているとその後ろからギルガ、アレックス、ヴィヴィアンが現れた。

「本当に胸が大きい・・・」

「大丈夫だろ。狸の胸なんて誰も興味無い。」

「私は猫型獣人よ!」

「待て、そのやり取りはなんかまずい。」

『おっと!こっちでは大乱闘が始まろうとしている~!今大会の台風の目、アイアンガイアから物凄い破壊力のクロア・アングルボラ選手と・・・なんで私より胸が大きいんですか!?ヘルマ・プロディトス選手~!』

「知りませんよ!」

『えーっと申し訳ございません。取り乱しました。お次は今大会初出場の天桜の狐から月読美琴選手、エリス・タカマガハラ選手、エレナ・タカマガハラ選手。そして、マスターの勇薙進一選手!謎に包まれた天桜の狐のマスターの力がここで見れるのか!?』

「とりあえずはアイアンガイアから倒すぞ。」

「うん!」

「分かりました。」

『お次はエンジェルフォースのフリーラ・スルトゥム選手とマスターのアルティネ・セレミス選手!現在、ヘルマ・プロディトス選手が男の子と言う事実によって一番の被害を受けています。』

「そうよね。一刻も早くなんとかしないと。」

『そして、ワイルドビーストのアレックス・シラバレス選手、ヴィヴィアン・ナガルトゥス選手、マスターのギルガ・フェンリオン選手だー!ギルガ・フェンリオン選手はアイアンガイアのメンバーを最初に倒した選手。これはアイアンガイアにとっても因縁の対決になりそうですねぇ。』

しばらく睨み合いが続く中、クロア以外の女性の狙いが一致した。

「「ヘルマから倒そう。」」

「いや~!」

ヘルマが叫んだ瞬間に月読が鎌鼬でエリスが黒い光線、エレナが白い光線、アルティネが花型の風魔法、フリーラが赤い弓矢、ヴィヴィアンが鋭い爪でヘルマに襲いかかってきた。

その間にアレックスが勇薙に重たい蹴りを喰らわした。勇薙はとっさに刀で防ぎ、切り払ったが避けられた。その隙をついてギルガが勇薙を爪で攻撃したが勇薙はさっきとは違う小さい刀を構えて防いだ。

「二刀流かい。」

ギルガはそのまま月読を狙うクロアに向けて風の刃を放った。

「うわっ!」

クロアはなんとか避け、ギルガに向けて両手から威力を弱めた光線を連射した。ギルガはそれを全て避けて下がったあと目の前の相手全員に風の刃を放った。

それに対して真っ先に反応した勇薙が刃を全て弾いた。

「あれ、それって小太刀?」

「知っているんですね。」

クロアの言葉に正解と言わんばかりに勇薙が聞いてきた。

「おぅ。ケンが昔持ってたから。」

「へぇ。」

「余所見するな。」

勇薙がクロアの方を向いているとアレックスが踵落としをしてきた。

「別にしてません。」

そう言って勇薙はアレックスを一刀両断した。

「何!?」

《アレックス・シラバレス リタイア》

アレックスがやられた後、すぐにギルガが勇薙に切りかかってきた。勇薙も刀で対抗するがお互いに小さな切り傷しか付けられず、下がった。

その隙にクロアが月読を攻撃した。月読もとっさに避けてクロアに向かって鎌鼬を放ちながら近づいた。鎌鼬はクロアの両手を切った。すると、クロアは左足を刃に変えた。

「嘘!?」

「だから、言っただろ。私の四肢は義肢だぞって。」

そう言ってクロアは月読の胴体を真っ二つにした。

「!ごめん、進一。」

《月読 美琴 リタイア》

「美琴ー!」

月読がやられたことで少しの隙を作ってしまった勇薙にギルガが襲いかかってきた。勇薙もとっさにカードするが小太刀が破壊されてしまった。

「油断した。」

しかし、勇薙は冷静に雷で牽制した後にその雷で刀を作った。そして、雷の刀をフルスイングした。その瞬間、轟音とともに地面が抉れ、周りの建物は切れ崩れていった。

その攻撃でフリーラが真っ二つにされた。その後、すぐに勇薙はクロア目掛けて雷を放った。クロアはなんとか避けた。しかし、雷がいきなり曲がってクロアの体を貫いた。

「マジで!」

《フリーラ・スルトゥム リタイア》

《クロア・アングルボラ リタイア》

倒された二人はそのまま退場した。

『ななな、なんと電光石火の早業!勇薙進一選手がフリーラ・スルトゥム選手とクロア・アングルボラ選手を瞬く間に倒しました!す、凄い!これが天桜の狐のマスターの実力なのか~!』

二人が倒された後、アルティネが地面に魔方陣を描いた。その瞬間、周りから大量の薔薇が現れてその場にいた全員を襲った。

「《ローズ・バラード》!」

勇薙はエリスとエレナを抱えて跳び、ヘルマは土魔法で壁を作って防ぎ、ギルガは向かってくる薔薇を全て切り裂いた。しかし、ヴィヴィアンが避けきれずに全身を貫かれてしまった。

《ヴィヴィアン・ナガルトゥス リタイア》

ヴィヴィアンが退場した後、その場にはアルティネしかいなかった。

「参ったわね~。早くみんなと合流しないと下手したらみんな、バーサーカーになっているわ。」

アルティネはすぐにその場を去った。

次回予告

遂にあの噂の真相が明らかに!


「絶対言わないでください!みんな、死んでしまいます!」

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