家庭環境に問題ある子がいるのは学園あるある
前回のあらすじ
サリア達の活躍?
「いや活躍したでしょ!?」
聖女祭2日目
ヴィザル達2年Fクラスは1日目の演劇で全てやることが終わったため2日目は終日自由時間である。そのため、ヴィザルはグリムと文化祭デートをしていた。その後ろでは悔しそうに見ているフェルトリーネ達がいた。
「まさかグリム先輩まで参加するとは。」
「いいなあ~グリム先輩。」
「何しているのオリヴィエちゃん?」
「魔道具開発部の皆さんを待っています。」
「?」
オリヴィエがキョロキョロしているのでレミルが気になって聞いている。すると、ローブを羽織った少女がオリヴィエに近付いてきた。その手にはガトリングガンがあった。
「注文通りに造ってみました!」
「ありがとう、ヘルカさん。」
「待ってオリヴィエちゃん!それよく分からないけど絶対怖い物よね!?」
「大丈夫です。使い方は分かっています。」
「オリヴィエよ。多分それはここで使ってはいけない物だ。」
レミルとリジルがオリヴィエを宥めている。その気配を感じたヴィザルは後ろが怖くて振り向けずにいた。そんなヴィザルの隣でクスクス笑っているグリムをみんな羨ましそうに見ている。
「私達、まるで恋人ね。」
「それ、オリヴィエさんの前で言わないでくださいね。」
「オリヴィエちゃんもそろそろヴィザル君から少し離れないと。束縛のし過ぎはよくないわ。ヴィザル君が壊れちゃうもの。」
グリムはオリヴィエ達の視線を気にせずヴィザルと一緒に聖女祭を楽しむ。一緒に食べて一緒に買って一緒にゲームして…楽しい時間を過ごしている。
「グリム先輩楽しそう。」
「グリムがあんなにはしゃぐのは珍しいな。」
「か、会長!」
フェルトリーネの後ろにいつの間にかいたアイリスに驚く。アイリスもグリムとヴィザルを見て興味津津のようだ。すると、グリムがヴィザルに耳打ちした後すぐに2人同時に走り出した。
「あー!」
「まかれるぞ!急げ!」
「会長ノリノリですね。」
アイリス達が急いで探すも2人を見失ってしまった。
一方、オリヴィエ達をまいたグリムとヴィザルは人気の無い廊下を歩いていた。
「ここなら秘密の話も出来るわね。」
「秘密の話?」
「そう。」
グリムが周りに誰もいないことを確認する。
「ヴィザル君のことをもっと知りたいの。」
「そう言われましても…そ、そういえばグリムさんって高2ですよね?」
「そうよ。」
「でもフェルさん達からは先輩って呼ばれてますよね?」
「ええ。18ですもの。」
「ってことは留年…」
「留学よ。」
グリムが訂正する。
「そうね。私から話すわ。私の両親はある国の貴族で実質その国の実権を握るほど影響力のある人よ。けど、厳しい…というより束縛の強い人だった。」
グリムはヴィザルに写真を見せた。50代ぐらいのおっさんの写真だ。
「この人は?」
「父親が勝手に決めた婚約者。」
グリムの発言に驚きブッと吹く。
「父親は私がこの学園を卒業したすぐにこの男と結婚、子供は最低男3人女1人産まなければならないの。」
「何そのヤバい結婚。」
「それだけじゃないわ。子供は親の言う事は絶対、女は男の命令に従うのが絶対。そんな家庭環境で育った。」
グリムの家庭を知ったヴィザルは唖然としていた。グリムは写真を仕舞うと話を続けた。
「この学園に通ったのも父親の命令。私が他の男とくっつくのを避けるため。でも、ここに来て良かった。」
「?」
「あなたが来てくれたから。」
そう言ってグリムはヴィザルに急接近する。ヴィザルは顔を赤くして下がる。グリムはクスクス笑いながらある扉の前で立ち止まった。
「私の特殊体質は相手を嫌えば嫌うほど強くなる。だから、あなたの前じゃ私、最弱よ。」
「え…それって…」
「後の話は中でしましょう。」
グリムはヴィザルを連れて扉を開け中に入った。その扉には何故か立入禁止の看板がなかった。
次回予告
影より…
「ごめんねヴィザル君。」




