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鋼絆《メタルバンド》  作者: 高本 龍知
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イベントの裏で暗躍するのは悪党あるある

前回のあらすじ

ヴィザル争奪戦


「優勝者をオリヴィエさんにすることは…」

「ダメです。」

 聖女祭は盛り上がっている。初めての男ヴィザルがシンデレラに出るので多くの女子が体育館に集まっていた。そんな中…


「あ〜、私も聖女祭参加したいな〜。」

「かき氷食いながら言う台詞じゃないわよ。」


 サリアとアルティネは見回りしていた。淑女といえど思春期の女の子。みんな、燥いでハメを外しすぎないように見回りしているのだ。

 楽しそうにしている生徒達を見ながらかき氷を食べているサリア。すると、アナウンスが聞こえてきた。


『みんなー!これから報酬は明日の聖女祭でヴィザルンとデートできる権!ヴィザルンからガラスの靴争奪ゲームがは〜じ〜ま〜る〜よ〜!』

「何やってんだよフェル。」

「聖女祭も変わったわね。」


 2人が呆れながら見回りしているとリリエスタとクゥがいた。2人は立入禁止と書かれている扉の前で立ち止まっている。


「何してるんだ?」

「あ、サリア先生!ヴィザル様を探していますの!」

「リリー様がここにいるのではと推理されまして。」

「その推理ハズレよ。」

「ここは書いてる通り立入禁止だからな。」

「そういえば、ここは何の部屋なのでしょうか?」

「さぁ?開校当時からあるみたいだけど私は知らん。」

「私も知らないわね。」


 リリエスタとクゥを扉から離れさせる。そこに今度はグリムがやってきた。


「あら先生方もご一緒にどうされました?」

「ただの見回り。」

「その格好で?」


 グリムがサリアを見て微妙な顔をする。サリアは店で売られていた手作りネックレスやブレスレットを着けかき氷やフランクフルトを食べている。


「やっぱりそう思うわよね。サリア、買いすぎ。」

「いいじゃん。アルティネだって私と同じブレスレット買ってるし。」

「こ、これはアレクシア達がどうしても買って欲しいって言うから仕方なく!」

「はいはい。そういうことにしてやるよ。」


 サリアの背中をジト目で見ながら追うアルティネ。2人はそのまま聖女祭を見回りながら生徒達と一緒に楽しんでいる。

 しばらく楽しみ満足した2人は再び例の扉の前に来てみるとアリアンロッドがいた。


「どうした?」

「いえ、立入禁止の看板が落ちてるので気になっていたところです。」

「「え?」」


 2人が扉を見ると確かに立入禁止の看板が落ちていた。気になったアルティネがヒルデを呼んだ。ヒルデも看板が落ちたことを気になっている。


「おかしいわね。」

「この先はなんですか?」

「•••本来なら話すわけにはいきませんが気になりますのであなた達には話しておきましょう。入ってください。」


 そう言ってヒルデはアリアンロッドを下がらせてサリアとアルティネと一緒に入った。中は長い降り階段になっていた。ヒルデは降りながら2人に話す。


「この先は学園の歴史が保管された書庫とテスラがあります。」

「テスラ?」

「無限魔力製造装置。電気、水、太陽光、自然エネルギーを魔力に変換する装置よ。」

「何その大発明!なんでそんな凄い装置が世に公表されてないの!?」

「テスラは元々学園を建てる際に異世界から来たレオナルドという男が記念にと造った物なの。でもそのレオナルドがかなりの変人で造ったテスラを初代学園長に渡すと帰って行ったんだ。」

「名声とか興味ないタイプね。」


 長い階段を降っていく。すると、厳重に閉められた扉を見つけた。ヒルデは2人に扉を見ないように指示する。2人は言う通りに後ろを向く。何か解除している音が聞こえる。その時だった。サリアが気配を感じた。アルティネとヒルデの気配じゃない。アルティネも気付いたようで戦闘体勢に入る。


「何かいるね。」

「ええ。」


 ヒルデも解除を止めて戦闘体勢に入っている。その瞬間、ヒルデの真上から黒い影が襲ってきた。ヒルデは真上に向けて光を放つ。影はヒルデから離れサリアとアルティネを狙う。アルティネが茨で拘束しようとするも茨は影を通り抜けてしまった。


「実体がない!」

「じゃあこれだ。」


 サリアが前面に炎を放つ。影は炎から離れると黒いナイフみたいな物を放った。アルティネが茨でそれを弾く。


「あれは触れれるのね。」

「攻撃する瞬間は実体化するってことかな。」


 影が再びこっちにくる。そこにヒルデが影の周りを光の檻で閉じ込めた。そして、サリアが炎の拳で一撃を与え影を焼き尽くした。


「よし!これで討伐完了!」

「まだよ。あれをよこした本体を探さないといけないでしょ。」

「あんな魔法を使う奴は生徒にはいない。つまり、外部の者が侵入している。」


 ヒルデは扉を厳重に閉め2人と一緒に戻る。扉を開けるとヒスイとプラチナが待っていた。


「大丈夫ですか?」

「凄い音が聞こえたけど。」

「侵入者よ。悪いけど聖女祭は中止して…」

「待って。」


 アルティネをヒルデが止める。


「態々聖女祭を狙って行った犯行。考えたくはないけど学園関係者に侵入者を招き入れた者がいる可能性があるわ。だから、聖女祭はこのまま進めて犯人を特定するわ。だから、2人ともこのことは黙っておくように。」

「「え、ええ。」」

(もし、この2人のどちらかが共犯者だった場合もあるわね。)

「サリア、アルティネ。あなた達を信用して頼みがあるの。ヒスイとプラチナを監視してくれない?」


 ヒルデはサリアとアルティネをヒスイとプラチナから離してこそこそと頼み込む。2人は互いに顔を合わせてどうするか悩んだ結果、了承した。

 すると、またアナウンスが流れてきた。


『え〜、ヴィザルン争奪ゲームの結果、グリム先輩がヴィザルンからガラスの靴を手に入れ優勝しました…悔し〜!』

「あっ、あいつが勝ったんだ。」

「ヴィザル君これからが大変よね。」

「頼んだぞ。」


 ヒルデは2人に頼み込むと看板を戻してその場を後にした。サリアとアルティネは怪しい奴がいないか探しながら体育館に入る。体育館ではガラスの靴を持ったグリムが嬉しそうにステージに立っている。

 この日はこれ以上何も起きず聖女祭2日目が始まろうとしていた。

次回予告

聖女祭2日目開始


「さぁ、デートしましょ❤」

「オリヴィエさんの視線が怖いです。」

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