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鋼絆《メタルバンド》  作者: 高本 龍知
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笑いは力

前回のあらすじ

ソウナンですか!?


「違います。」

「そこはそうなんです!って言うところだろ!?」

 無人島。そう思っていたみたいだがこの島には誰かいる。それも1人や2人ではない。サリア達はその誰かに連れ去られたのかもしれない。ヴィザル達は足跡を追ってジャングルを進む。すると、拓けた場所に出た。そこには磔にされている全裸のサリア達と周りで踊っている全身真っ黒な人達がいた。彼らは先住民みたいだ


「サリアさん!みんな!」

「待て。」


 助けにいこうとするヴィザルをヘルフィリーが抑える。ジルフレイムもアテリナとフィルディオを茂みの中に隠す。


「あの数相手に突撃は無謀だ。まずは相手を知るところからだ。」

「は、はい。」


 ヘルフィリーに言われヴィザルも観察を始める。全身真っ黒で全裸、名探偵コ○ンに出てくる黒タイツの犯人みたいな体格だった。


「何処かで見たことあるような…」

「え?あんな種族見たことあるの?」


 ジルフレイムが聞く。ヴィザルは思い出そうとするもなかなか思い出せない。もう一度観察する。磔にされたサリア達は息はあるみたいだがぐったりしている。すると、磔にされたサリアの下に何かあった。よく見ると流れ着いたボートやライフジャケットだった。


「あんなところにサリアさん達のみすありますよ。」

「ちゃんと流れ着いていたのか。」


 ヴィザルとヘルフィリーの会話を聞いたジルフレイムがサリア達をジト目で見ている。そんなこと知らずに二人はサリアの下を見る。すると、その中にカメラがあった。


「あ、カメラあった。」


 ヴィザルの一言でフィルディオが起き上がり茂みから顔を出しカメラを探す。そして、カメラを見つけた瞬間、茂みから飛び出した。


「僕のカメラ〜!!」

「フィルー!」


 フィルディオが飛び出だことで先住民達が気付く。ヴィザルも追いかけて飛び出す。仕方なくアテリナをジルフレイムに任せてヘルフィリーも飛び出す。


「ヴィザル!」


 ヘルフィリーがヴィザルの隣に並ぶ。先住民は槍を持って襲ってくる。二人は背中合わせになって相手する。フィルディオは先住民の攻撃を避けてカメラを取りに行く。


「フィルさん、凄い動きでカメラ取りに行きましたよ!」

「それほど大切なのだな。」


 二人がフィルディオを見ているとサリア達が意識を取り戻した。


「ここは…ってなんで裸で磔!?」

「これ、処刑されるの?」

「それか食べられるのかしら。」

「怖いから止めて!」


 とりあえず無事みたいで安心した。しかし、サリア達はまだ痺れているのか魔法が使えない。ヴィザル達もサリア達を助けたいがなかなか近付けない。すると、ヘルフィリーがヴィザルに話しかけてきた。


「ヴィザル、一発芸やれ。」

「いきなりの無茶振り!?」


 ヴィザルは動揺しつつもヘルフィリーの言う通りに一発芸をやる。


「もしもサリアさんが警察官だったら••••“はい〜!罰金100万円〜”•••」

「ヴィザル、それしかないの?」

「あれ?私ってあんなんなのか?」


 ヴィザルの一発芸でその場の空気が凍る。すると、ヘルフィリーが突然笑い始めた。


「あっはっはっはっは…!」

「嘘…あれで笑った。」

「笑いの沸点低いわね。」


 サリア達が戸惑いながら見ているとヘルフィリーの魔法の威力が跳ね上がり先住民を一瞬で凍らせた。


「嘘ぉ!」

「私は笑うと強くなる特殊体質(スペリナル)だ。だから、面白いものや楽しいものが大好きだ。」

「あの一発芸面白かったの?」

「止めてください。」

「それ、私にもダメージ入ってるやつ。」


 笑いながら先住民を一掃するヘルフィリー。そこに族長らしき体格のいい男が槍を持って現れる。それでもヘルフィリーは下がらない。男の槍を避けまくる。ヴィザルはその隙にサリア達を救出する。


「サリアさん、魔法は?」

「まだ使えない。多分原因はこれ。」

「何それ?」

「魔力伝達障害を起こす毒を持った蜂。こいつの毒を打たれたから魔法が使えなかったんだ。」

「大丈夫ですかそれ!?」

「大丈夫大丈夫!毒抜けば戻る!」


 サリア達を救出し逃げる。が、逃げた先にいるアテリナとジルフレイムのところにも先住民が襲っていた。それをジルフレイムは拳で蹴散らしていった。ヴィザル達もジルフレイムの隣にやってきてアテリナを守る。


「やるじゃんジル。」

「一芸だけじゃマジックガーディアンのリーダーは務まらないわよ。」


 ヴィザル達が揃いヘルフィリーも隙を見て氷の壁を張る。それを合図にヴィザル達は猛ダッシュで逃げた。走って走って走り続けると砂浜に着いた。


「どうする!?」

「泳ぐ!」

「無理!」


 回収した水着を着たサリアが泳ごうとするとエウリアが止めた。


「やっぱり泳げないんですね。」

「なんか悪い!?」

「ヘルフィリーさんが海凍らせれば。」

「無理だ。私にも限界がある。島が見えない状態でやるのは危険だ。」


 見渡す限り海と空しかない。後ろからは追ってくる先住民の声と足音。逃げ場がないと思ったその時、空の向こうから何かきた。その影はだんだん大きくなり姿がくっきり見えた。


「•••マスター確認。これより救助に移ります。」


 マキナだった。マキナは空を猛スピードで飛ぶと先住民の前に光線を撃ち足止めする。そこに今度は轟音と共にクルーザーがやってきた。クルーザーの先にケンが姿を現す。


「大丈夫か!?」

「ケンさん!」

「グッドタイミング!」


 ヘルフィリーが海を凍らせてクルーザーまでの道を作る。マキナが足止めしてくれている間にヴィザル達はなんとかクルーザーに乗り込む。マキナもクルーザーに乗り弓矢を放ってかる先住民から逃げるように島から離れた。


「た、助かった〜!」

「よくここが分かりましたね。」

「あの時の海流とマキナのヴィザル探知を使ってこの場所を割り出した。」

「なんだよヴィザル探知って。」

「それにアテリナ捜索隊のおかげでここまでこれた。」


 一安心したヴィザル達。アテリナに頬ずりしているテティアの横でヴィザルが事の顛末をケン達に話す。話が終わるとケンが島のことを話してくれた。


「あの島はハウニャ族が先住民として住む島だ。ウォータークライの北に位置している。」

「なるほど。どっかで見たことあると思ってたらそれだ。」


 ヴィザルが納得しているとサリア達もやってきた。


「とにかくなんとか無事に戻れて良かった。」

「そうね。姫様も無事だし一件落着ということで…」


 ふぅ~と息するサリア。しかし、ヴィザル達は気まずそうな顔でこっちを見ていた。おそるおそる下を向く。すると、水着が無くなっていた。サリアが後ろを振り向くと同じように全裸になっているカリスティ達がいる。どうやら、ハウニャ族の弓矢が彼女達の水着を切っていたようだ。


「••••このオチかよ〜!」


 恥ずかしがるサリアの叫びがクルーザーに響き渡った。

次回予告

サリアの謎に迫る。


「無いですよね?」

「あるよ!」

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