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鋼絆《メタルバンド》  作者: 高本 龍知
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逃げない

前回のあらすじ

援軍登場。


「心許ない。」

「「うそぉ!?」」

「撤退するぞ!」


 インドライガが叫ぶ。彼の指示に従いトールバスターがヴリドラシルの顔を集中的に攻撃し隙をつくる。そのうちに負傷者を連れて下がる。


「逃がすかよぉ!」


 しかし、ヴリドラシルは魔人を出したり触手を伸ばして妨害する。その触手がブラダマンテを捕らえる。


「しまった!」


 触手は彼女を締め上げながら連れ去ろうとする。その時、サリアが飛び出して触手を切った。落下したブラダマンテはバルウェインが受け止めた。


「あ、ありがとう。」

「サリア!」


 バルウェインが呼びかける。サリアは剣を構えたまま逃げない。


「サリア!何している!撤退だ!」

「今全員が撤退したらこいつに狙われるだろ!負傷者が安全な場所まで避難する時間を稼ぐ奴が必要だろ!」

「サリア、お前意外と冷静だな。」


 サリアの判断にバルウェインは驚きつつも彼女の隣に立って剣を構えた。


「サリアさん、ありがとうございます。」

「礼は後。今は…」

「分かってます。」

「ヴィザル達は負傷者を安全な場所まで連れて行け。」


 サリアのところにブラダマンテやケン、ケイロン達が並ぶ。


「あの時よりも逞しくなってるな。」

「当たり前だろ。」

「ギャンブル中毒じゃなきゃ立派なんだが…」

「•••」


 ケンが呆れて喋る。サリアは目を反らして黙る。ケイロンも呆れてサリアを見る。ヴィザルはその様子を見ながらバルド達と一緒にその場から離れる。


「サリアさん!」

「行けヴィザル!」


 ヴリドラシルは何故か黙ってサリアを見たまま動かない。その間にヴィザル達は下がっていく。


「その目、その剣、忌まわしい。忌まわしいなぁ!」


 ヴリドラシルは足を上げ踏み潰そうとする。その足をインドライガとトールバスターが蹴りで反らしサリア達は下がって避ける。次にヴリドラシルは口から光線を吐いて攻撃する。今度はイシリスがそれを食べ始めた。


「いただきます。」

《バキュームイーター》


 イシリスはなんとか光線を食べていくが限界がきてしまう。ミョルニオスがそこに来てシールドで光線を防いでくれた。


「行ってネフ!」

「うん!《ドリームワールド》!」


 ネフティウスは眠り呟く。その瞬間、戦闘機が召喚されヴリドラシルをミサイルで攻撃した。ヴリドラシルは光線で戦闘機を何機か撃ち落とす。


「これでも喰らえ!《スーパーフルスイング》!」


 ヴリドラシルが戦闘機に気を取られている。その隙にロキエルがヴリドラシルの左前足を思いっきり釘バットで殴る。その威力は凄まじくヴリドラシルの足を弾きヴリドラシルは前に倒れた。


「ナイスよロキエル!《ローゼンバインド》」


 今度はアルトディーナがヴリドラシルの右足に茨を巻き付けて動きを封じる。ヴリドラシルは触手を伸ばして反撃する。


「《螺旋閻魔》!」

「《サウザンド•アロー》!」


 その触手をケンとケイロンが斬り落としていく。ヴリドラシルはすかさず果実を落として魔人を出していく。二人はその魔人を背中合わせになって相手する。魔人を出しても無駄と分かったヴリドラシルは再びアースクエイクをするために力強くで茨を引き千切り足を上げた。


「やらせん!」


 ヴリドラシルが足を上げる。それを確認したバルウェインは剣を構え大きく振りかぶった。


「《ガラティーンブレイカー》!」


 バルウェインの一撃は足に命中しヴリドラシルを一瞬怯ませる。その隙をついてインドライガとトールバスターがもう片方の足をパンチで反らした。


「《虹天竜(インドラ)(ボルト)》!」

「《シルバーホークストレート》!」


 両足にダメージを受けたヴリドラシルはまた前に倒れた。首を上げ苦し紛れの光線を連射する。それを避ける。避ける。また避ける。余裕が無くなり始めた攻撃など今更当たらない。

 ヴリドラシルは狙いをこちらに向かっている戦闘機に変え光線を連射する。光線は戦闘機を次々と落としていく。そして、最後の一機を撃墜した瞬間、そこから剣を構えたサリアがヴリドラシルに目掛けてジャンプする。


「ゼウラル•••」


 その姿にゼウラルを重ねた。そして、サリアが剣を振り下ろす。


雷帝(サリア)の怒り》


 サリアの剣はヴリドラシルの左目に傷を付けた。

次回予告

遂にヴリドラシル戦が決着!


「しかし、戦いはまだ終わらない。」

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