兄を超える
前回のあらすじ
作者名を蟷螂から高本龍知に変えました。
「ホントだ!」
「あれ?私の活躍は?」
「っていうか、なんでいきなり?」
ラスト・ワン・オデュッセイア開始直後
(誰かいる。参加クランのメンバー以外の誰かが。)
ジャックは辺りを見回した後、その誰かを結晶に閉じ込めた。
「お前達が何者で何が目的かは後で聞く。」
そう言ってジャックは去って行った。
その様子をモニターで見ていたガッチェスが苦虫を噛んだような顔をしていた。
(やはりシルバーホークが邪魔するか。まぁいい。どのみち、アイアンガイアに優勝はさせねぇ。)
ヴィザルは廃墟ゾーンの中を歩いていた。すると、彼の目の前にオリヴィエが現れた。
「・・・あ、ヴィザル君!」
「あ、ヴィザル君。じゃないですよ!僕達、今は敵同士ですよ!」
「そうだった!」
「ところで、何しているんですか?」
「実は副マスターを探しているの!」
「副マスターってケンさんに抱きつこうとしたあの人?」
「うん!マスターから副マスターがケンさんを見て暴走しないように早く見つけないとって!」
「なるほど、大変だね。」
「うん。」
二人が話していると謎の人影が忍び寄ってきた。しかし、その人影はあっさりやられた。二人がその方向を見るとバルドが近づいてきた。
「こんな時でもおしゃべりか。全く危機管理がなっていない。現にこんな奴が近づいても気付いていない。」
「あ、気付いたけどいつでも倒せるから放っておいた。」
「減らず口を。」
バルドは剣を構えた。ヴィザルも剣を構えた。
『おっと!こっちでも戦いが始まりそうですね!しかも アイアンガイアのヴィザル・オルディダンテ選手とレジェンドドラゴンのバルド・オルディダンテ選手というオルディダンテ公爵の息子同士の対決になります!しかも現在レジェンドドラゴンは唯一リタイアが出ていません!これは楽しみです!』
『ヴィザル君、頑張ってね~。』
『フィルディオさん、軽すぎません?』
「あの時、問題クランとかいつ解体されてもおかしくないクランとか言ったのは訂正する。まさか、ケンさんのような凄い人がいるクランだとは思わなかった。」
「まぁ、確かにケンさんとヘルマさん以外まともな人はいないかもしれませんけどそれでもいいクランです。」
「あぁ、今ならその言葉は信じるに値する。」
二人はゆっくりと構えながら近づいていた。
「ヴィザル、こい。成長したんだろ。」
「はい。」
そして、二人同時に走り出した。二人の剣はつばぜり合いになった後、お互いに一歩も退かない戦いが繰り広げられた。
オリヴィエがその戦いを見ていると後ろからジャックが現れた。
「わぁ~!」
「安心しろ。今は戦うつもりは無い。それよりやらねばならないことができた。」
「?」
ジャックが指を鳴らした瞬間、周りにいた謎の人影が全員、結晶に閉じ込められた。
「な、何ですかこの人達!?」
「わからん。しかし、何かの目的があるのは確かだ。そして、裏に誰かいるのもな。」
ジャックは周りの人影を捕らえると二人の戦いを見て去って行った。
二人の戦いは白熱を極めていた。
「確かに前よりは強い。」
「当たり前です。ケンさん達に修行してもらいましたから。」
「なるほど。」
バルドはヴィザルを褒めながらも攻撃を止めることなくヴィザルを少しずつ追い詰めていた。ヴィザルも負けじと攻撃を受け止めたり受け流したりしている。
すると、ヴィザルは剣を振り払い大きく下がった。
(また魔法か。結局はそこがお前の限界だ、ヴィザル。)
バルドはヴィザルが魔法が放ってくる前に詰め寄ろうと走り出した。その時、ヴィザルも走り出した。
「!」
「バルド兄さん。僕は強くなる。」
二人の剣が交わった瞬間、バルドの剣が折れヴィザルの剣はバルドを切り裂いた。
「!」
《バルド・オルディダンテ リタイア》
「ふっ。本当に強くなったな、ヴィザル。」
ヴィザルの後ろでバルドはリタイアが表示され爆発して退場した。
次回予告
また、ケンのターンです。
「なぁ、本当にケンの出番多過ぎないか?」
「俺なんか一回も出てねぇぞ。」
「私も。」
「それを俺に言うな。」




