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鋼絆《メタルバンド》  作者: 高本 龍知
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上には上がいる

前回のあらすじ

第一戦と第二戦終了


「サクサク進むなぁ。」

「第三戦、私が行く。」


 エレキナがステージに立つ。相手は大斧と盾を持ち重装歩兵のように鎧を着た大男だ。


「サリア、あいつ誰?」

「•••••ごめん、忘れた。」

「おい!忘れるなサリア!俺はゲリュオン•エテュリイアだ!」

「あ〜。素顔見たことないから分からんわ。」

「確かに俺達もゲリュオンの素顔見たことねぇな。」


 ゲリュオンが籠もった声で自己紹介をする。ゲリュオンは気を取り直してエレキナの前に立つ。


「準備はいいな?」

「いいよ。」

「もちろん。」

「では、第三戦開始!」


 ケイロンの合図と共にエレキナが口から光線を吐いて攻撃する。しかし、ゲリュオンの硬い守りを崩すことが出来ない。しかも、一歩も動いていないのだ。


「一撃で終わらせるつもりだったのに。」

「ゲリュオンは俺達の中で一番硬い男だ。そう簡単にやられはせんよ。」


 ケイロンがニヤリと笑う。エレキナはゲリュオンに接近し拳で攻撃する。しかし、ゲリュオンの硬い盾と鎧に阻まれてしまいダメージを与えられない。それでもエレキナは何度も殴る。ゲリュオンは盾で防ぐ。彼女が疲れて攻撃の手を緩めたところに一撃を入れるつもりだ。


「無駄だ。私の守りは崩せない。」


 ゲリュオンは盾で攻撃を受け続ける。エレキナは殴り続けている。ゲリュオンは疲弊するのを待っている。しかし、エレキナは緩めるどころか増々鋭くなってきた。そして、盾にヒビが入るとエレキナの渾身のパンチで盾を破壊した。


「バカな!」

「こっちだって一生懸命真っ直ぐ生きているんだ!ガッチガチの殻に籠っているだけのあんたになんか負けてたまるか!」

「エレキナって真っ直ぐ生きてるの?」

「それは言ってはいけないやつだ。」


 盾を破壊したエレキナはそのままゲリュオンの鎧も殴る。鎧は盾以上に硬くヒビすら入らない。しかも、エレキナの拳が赤く染まっていく。それでもエレキナは殴り続けている。すると、ゲリュオンは大斧を振り上げた。それを見たエレキナは後ろに下がって避けるとゲリュオンは大斧を振り下ろした。


「《グランドメテオ》!」


 ゲリュオンの一撃はステージに大きなクレーターを作り出した。やり過ぎと判断したのかステージを平らに戻した。彼がステージを作っていたのだ。ステージを直すと今度は地面を盛り上げ自身と同じ格好のゴーレムを生成した。


重装土塊戦兵(パンツァーゴーレム


ゲリュオンが生成したゴーレムは彼の前に並びエレキナに突撃する。エレキナは目の前にいるゴーレムの頭部を蹴りで破壊する。どうやらゴーレムは本人の鎧より硬くはないようだ。


「イケる!」

(まだ戦えるのか。さすが龍人。)


 拳や蹴り、尻尾の攻撃でゴーレムを片付けていく。そのまま空に飛びゲリュオンに向けて口から真っ赤な破壊光線を放った。


竜皇咆哮(スパルタバスター


 それに対抗してゲリュオンは大斧を構え振り払った。その時の衝撃波は凄まじくヴィザル達は吹き飛ばされそうになっていた。


《オケアノスブレイク》


 ゲリュオンが放った衝撃波はエレキナの光線を弾きエレキナを吹き飛ばした。エレキナは墜落しステージから出てしまった。


「勝者、ゲリュオン!」

「え?何今の!?」


 飛ばされたエレキナが起き上がり目を丸くした。


「さすが龍人。あれを喰らってもピンピンしているか。でも、相手が悪かったな。俺はドラゴンさえ倒した実績がある。」


 ゲリュオンはガシャガシャと音を鳴らしてステージを降りた。彼がステージを降りるのと入れ替わりに金髪の青年がステージに上がってきた。


「よしヴィザル。頼んだぞ。」

「はい!」

「相手は汚いで有名なアスゲイだ。」

「どんな説明だよ!?俺、そんなに汚い!?」

「そりゃ週一しか風呂に入らないから汚いだろ。」

「本当に汚かった!」


 サリアだけではなくケイロン達も呆れ顔でアスゲイを見る。ヴィザルも若干引きながらステージに上がる。両者、剣を抜いて構えた。


「よし、では第四戦開始!」


 ケイロンの合図と同時にアスゲイはステージ上に黒いドームを生成し自身とヴィザルを包み込んだ。


(これは…?)

「こいつはテラーフィールド。この中にいる奴を恐怖に落とす俺の技だ。これで相手を恐怖に陥れてゆっくり狩るのが俺の十八番ってわけだ。まぁ、恐怖で何も聞こえないか。」


 アスゲイがニヤニヤしながらヴィザルに話しかける。ヴィザルには聞こえていないと判断して技の詳細を話していた。しかし、ヴィザルはしっかり聞いていた。


(なんだろう…ラダマンティスさんと比べると全然怖くないや。)


 そう。ヴィザルはテラーフィールドを恐れていなかった。ラダマンティスの必殺技タルタロスが強過ぎたのもありそれを克服していたヴィザルにとって今更このレベルの技は効かないのだ。

 そうとも知らずアスゲイは剣を前に刺すと弓矢を生成した。最初に見せた剣はブラフだ。アスゲイはヴィザルに狙いを付けて矢を放つ。すると、ヴィザルはあっさりと矢を真っ二つに切った。


「何!?これが見えたのか!?テラーフィールドの中じゃあ恐怖で五感が麻痺しているはずだろ!?」

(そうなんだ。)


 アスゲイは何度も矢を放つがヴィザルは全て切り落としながらアスゲイに向かって前進する。アスゲイは剣を抜き後ろに下がる。


「まだだ。まだテラーフィールドの能力は恐怖だけじゃない。」


 アスゲイは弓矢を捨てると手を伸ばした。すると、ドームから黒い槍がヴィザル目掛けて放たれた。それもヴィザルは反応し切り落としていく。


「待て待て待て待て!可笑しいだろ!?なんで反応出来てんだ!?」


 アスゲイはとっさに拳銃を取り出した。それを見たヴィザルは剣を投げる。アスゲイはそれを避けニヤリと笑い拳銃を向ける。しかし、ヴィザルがどこにもいない。左右を見て探していると上から気配を感じた。上を向くとヴィザルがいた。ヴィザルは足に風魔法を纏い勢いよく踵落としをアスゲイの顔面に喰らわせた。


「《ガイアグングニル•メテオ》!」


 ラダマンティスを倒した時の技の応用をアスゲイに決めた瞬間、風がテラーフィールドを吹き飛ばした。サリア達が見守っていると鼻血を出して気絶しているアスゲイと投げた剣を拾っているヴィザルがいた。


「•••勝者ヴィザル!」

「ナイスヴィザル!」

「さすがっ!」

「•••お見事ですマスター。」


 ステージから降りたヴィザルはサリア達とハイタッチして喜ぶ。気絶したアスゲイをゲリュオン達が運ぶ。

 そして、第五戦、つまり最終戦のためサリアとケイロンがステージに上がった。現在2対2の同点。つまりさこの決闘で全てが決まるのだ。


「まさか、ゼウラル亡き後のアイアンガイアがここまで強くなっていたとはな。」

「あの時言っただろ。このクランを最強にしてみせるって。ねぇ、ケイロン兄さん。」

「久しぶりにそれで呼んでくれたなサリア。」


 二人はステージの中央まで来て拳を構えた。


「第五戦、開始!」


 ケイロンの代わりにケンが最後の決闘の開始合図を叫ぶ。それと同時に両者拳を突き出し互いの顔を殴った。

 負けられない戦いの最終戦が遂に始まった。

次回予告

サリアVSケイロン戦ファイト!


「ホントにサクサク進んでるなぁ。」

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