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鋼絆《メタルバンド》  作者: 高本 龍知
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過去の癖は中々治らない

アイアンガイアVSグレイアストロン開幕(ファイト


「すぐに終わらせる予定です。」

「俺達の出番増やしてくれ!」

 アイアンガイアVSグレイアストロン5番勝負第一戦

 グレイアストロンからはサーベルを持った女性が出てきた。アイアンガイアからはウズメが出た。


「ウズメ!そいつ、身体強化とスピードアップの魔法を得意とする自称神速剣とかいうダサい二つ名持ちのケリュネよ!」

「止めてその紹介!」


 ケリュネが赤面する。本人もダサいと思っているらしい。ケリュネは落ち着きを取り戻すとサーベルを構えた。ウズメも刀を構えて準備完了だ。


「では…」

「それじゃあ…」

「第一戦、開始!」


 ケイロンの合図で両者同時に飛び出した。ケリュネがサーベルを突きだす。ウズメはそれを避けケリュネの懐に入る。ケリュネは回転して回し蹴りをする。ウズメも避けて足払いでケリュネを転かせる。ケリュネはすぐに回転しながら離れ立ち上がった。


「あなた、魔法使わないの?」

「必要ない。」

「嘗められたものね。」


 ケリュネはユラリユラリと左右に揺らめいた。その瞬間、姿が消えた。それと同時にウズメの両肩が貫かれた。驚くウズメの後ろにいつの間にかケリュネがいる。


「これが神速剣の本領よ。」

「確かに速いな。」


 ウズメは後ろに蹴り入れるがすぐに消え今度は蹴り上げた足が貫かれた。ウズメは片膝着いてしまう。


「分かった?あなたじゃ私を見ることも出来ないし捕まえることも出来ないわ。諦めてギブアップしなさい。」


 どこからともなくケリュネの声がする。しかし、姿が見えない。ヴィザル達が固唾を飲んで見守る中、ウズメの体中が次々と貫かれていく。


「サリア、もうギブアップを言い渡したらどうだ?」

「なんで?」

「?」


 サリアがウズメの顔を見る。ケイロンもウズメの顔を見ると彼女は目を瞑っていた。サリアは彼女の顔を見てまだ諦めてないと判断した。すると、ウズメが刀を背中に回した。その瞬間、ケリュネのサーベルが刀に防がれた。


(見破った!?姿は見えないはず!?)

「少し鈍っていたみたいだ。やっと捉えられた。」

 

 ウズメは刀でサーベルを弾き後ろ向いて振り払う。ケリュネは再び加速して姿を消す。しかし、次からの攻撃は全てウズメに弾かれてしまった。


「信じられん。ケリュネのスピードに気配で着いていつているわけか。しかもあの体で。」


 傷だらけになっても尚奮闘するウズメにケイロンは舌を巻いていた。そして、ウズメが完全にケリュネを捉えサーベルを折り弾き飛ばす。ケリュネも体勢を立て直そうとするがそれより速くウズメの刀が彼女の首に向かう。その瞬間、彼女の目を見たケンが呼び止めた。


「待て!殺すな!」


 その言葉にウズメは止まった。刀はケリュネの首を斬る直前で止まった。彼女の首から血が流れ出る。ウズメは手が震えていた。もう少しで彼女を殺していた。その事実が彼女の動きを止めた。その隙にケリュネが掌底でウズメの鳩尾を攻撃そウズメは倒れた。


「…勝者ケリュネ!」

「おい待て!あれどう見てもこっちの勝利だろ!」

「ウズメの勝ちじゃん!」

「ルールは相手を倒したら勝ちだ。寸止めでも倒せなかったら意味はない。」


 ケイロンの審判にサリア達が猛抗議する。戻ったケリュネはグレイアストロンのメンバー達に褒められるが本人は喜ばず体中が震えていた。


(あの目、完全に殺意の籠もった目だった。これが試合じゃなかったら、ケンさんが止めてなかったら私は…)


 倒れたウズメをヴァンガス達が連れて戻ってくる。


(もし、あの時ケンさんが止めてくれなかったら私は…)


 昔から人を殺してきたウズメにとってもう殺しの必要がない今が怖くなっていた。そこにケンがやってくる。


「あの時止めたせいで負けになってしまった。すまない。だから、見ていろ。過去の殺しを乗り越えるために。」

「ケン、さん…」

「ケンは元々オリュンティア公国護衛騎士団団長として戦争に参加した時に多くの命を奪ってきた。それでもケンは戦いから下りることを選ばなかった。ウズメも学ぶこと多いんじゃない?」


 サリアに言われてケンの背中を見る。その背中は大きく頼もしかった。ケンがステージに上がると前にライオンの獣人の男性が立っていた。


「俺の相手はお前かガリュネメアトス。」

「久しぶりだなケン。正直言って俺達はお前もこっちに来て欲しかった。」

「悪いな。ゼウラルさんとの約束を破るわけにはいかないのでね。」

「そうだったな。」


 ガリュネメアトスは笑うと両手の爪を伸ばし燃やした。ケンも刀を構える。


「第二戦、開始!」


 ケイロンの合図でガリュネメアトスは右腕を大きく後ろに伸ばしさらに燃え上がらせた。


「行くぞケン!《レオンハート•••」

「ガリュ、初っ端から大振りな技を使う癖治ってねぇぞ。」

「!」


 ガリュネメアトスが驚愕する。いつの間にかケンが懐にまで接近していたのだ。ケンはそのまま刀に水を纏わせ突き出した。


「《流神突き》」


 ケンの一撃がガリュネメアトスの喉に命中し彼を突き飛ばした。ガリュネメアトスは完全に気絶し動かなくなっていた。


「勝者ケン!」

「さすが!」

「す、凄い…」

「やっぱりケンさん強ぇぜ。」


 ケンの勝利にサリア達だけではなくケイロン達グレイアストロンも感嘆していた。ケンは刀を仕舞いステージから降りる。


「ウズメ、これから慣れていけばいい。安心しろ。そのために俺達がいる。」


 ケンが腕を伸ばして拳を作る。ウズメも拳を作ってケンの拳に合わせる。


「次!第三戦!」


 ケイロンが叫ぶとエレキナがステージに上がった。対戦相手は

次回予告

アイアンガイアVSグレイアストロン第三戦ファイト!


「こっちもササッと終わらせる予定です。」

「久しぶりのまともな出番なのに!」

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