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鋼絆《メタルバンド》  作者: 高本 龍知
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デートプランは慎重に

前回のあらすじ

ヴィザルとフェルトリーネの婚約報告


「止めてください!僕が処刑されます!」

 ある日、ヴィザルはオリヴィエと一緒にショッピングモールにいた。デートである。

 事の発端は一昨日、シルフトから帰ったヴィザルは早速斧と鋸を持っているオリヴィエに土下座した。


「•••ということでフェルさんとはそういう関係ではありません!」


 ヴィザルが必死に弁明している。ちなみに、フェルトリーネはシェリルリーゼに叱咤されシルフトに残ることになったのでこの場にはいなかった。

 ヴィザルが必死に必死に弁明している。しかし、オリヴィエは何故か鮟鱇の吊るし切りをしている。命に危機を感じたヴィザルは咄嗟に発言した。


「デ、デートしましょう!」


 その一言でオリヴィエは吊るし切りを止めキラキラした目でヴィザルを見つめた。


「え、ほんと?」

「は、はい。そういえばデートしたことなかったからどうかな?」

「うん!お願い!」


 ご機嫌になったオリヴィエは鉈と鋸をしまい嬉しそうにピョンピョンと跳ねた。

 こうして、今に至る。ニコニコにオリヴィエに対し命をなんとか繋げれたと気が気でないヴィザル。そんな二人を背後から監視している者達がいた。サリアだ。一緒にいるのはマキナ、クロア、ウズメだ。


「大丈夫かなぁヴィザル?」

「顔から生気抜けてるけど?」

「何故私まで同行することに…?」


 緊張しているヴィザルを心配している。ヴィザルはまず服を買いにきたようだ。店員と何か話しながら試着を開始する二人。それぞれ色んな服を試着する。結局、試着した服を全部買った。


「さすが金持ち。スケールが違う。」

「サリアは服4着しかないですもんね。」


 サリアが黙ってしまう。その間にヴィザルとオリヴィエはアクセサリーショップに向かった。そこでもオリヴィエが気に入ったアクセサリーを全部買っていた。

 それを見てサリアは唖然としていた。クロアがざっと計算した金額をサリアに教えるとサリアは固まり動かなくなった。


「完全に意識がとんでる。」

「大丈夫なのか!?」

「•••問題ないでしょう。」


 動かなくなったサリアを連れてヴィザルとオリヴィエを追う。二人はレストランで食事をしていた。


「•••至って普通のデートじゃん。」

「それでいいのでは?」

「何の面白みもない。」

「いらなくない!?」


 ヴィザルの後ろで食事しながら会話を盗み聞きするサリア達。しかし、食事も会話も普通、さっきまでのデートも普通、期待していたような展開が無いためサリアとクロアは哀れむような目で見ていた。


「大丈夫なの?もっとこう…高級レストランで高いワイン飲むとか恋愛映画見たりとか優雅なのじゃなくていいの?」

「それ全部サリアの願望じゃん。」

「•••マスターの表情が固いです。恐らくこのデートは即興で考えたものでしょう。」

「計画性ゼロか。」


 何もかもが固いヴィザル。オリヴィエと楽しく会話しているはずなのに目は泳ぎまくっている。そうこうしているうちに二人は食事を終わらせてレストランを出る。サリア達に急いで食事を終わらせてレストランを出ようとする。


「マスター!会計は!?」

「頼んだ!」

「嘘ー!?」


 ウズメを置き去り二人を追う。すると、二人は映画館に入った。


「おっ!もしかして一緒に映画見るのか!」

「気になる。どんな映画見るんだろう?」

「•••二人が選んだ映画が分かりました。」


 サリア達は二人の後を追って入る。ヴィザルとオリヴィエが選んだ映画はバリバリのアクション映画だった。ヴィザルの2つ後ろの席で映画を見ていたサリアは無表情になっていた。


「•••なんか思ってたのと違う。」

「あの二人、こういうの好きなんだ。」

「•••上映中はお静かにお願いします。」

「「•••」」


 約2時間、映画を見た二人は楽しく会話しながら出る。サリア達もバレないように後を追う。そろそろデートも終わりのようで二人はショッピングモールを出た。


「今日は楽しかったよ!」

「ぼ、僕もです。」

(良かった〜!オリヴィエさんが楽しんでけくれて。)


 買い物袋などを抱えているヴィザルが胸を撫で下ろす。サリア達も解散しようとしたその時、見知らぬ男が突然ジュースをオリヴィエにぶっかけた。驚いた二人は濡れた服と男を交互に見る。男は聞き取れない言語でペラペラ喋る。二人がその男に気をとられた瞬間、荷物が勝手に浮き上がりヴィザル達から離れ始めた。


「置き引きだ!」


 サリアが慌てて走り出す。そう、透明化魔法で透明になった共犯者がもう1人に気をとられているうちに荷物を盗んだのだ。

 サリア達が共犯者を追いかける。それに気付いたヴィザルが荷物がないことに気付いた。それと同時に男がその場から逃げる。しかし、オリヴィエが男の足元から蔦を生やして男を捕らえる。

 サリア達が共犯者を追いかける。すると、進行方向にウズメがいた。汗をかきゼェゼェ言っている。


「丁度いい!そいつ捕まえろ!」

「その前に言うことあるよね!?」

「会計サンキュー!」

「違うわ!」


 ウズメが刀を抜き振り下ろす。荷物が真っ二つになり驚いた共犯者が姿を現す。共犯者は荷物を捨てウズメから離れる。しかし、それよりもウズメの方が速くあっという間に共犯者に詰め寄ると刀を再び振り下ろそうとした。


「ウズメ!殺したらダメ!」

「!」


 サリアに言われ刀を寸前で止める。一歩間違えれば共犯者を真っ二つにしていた。ウズメが止まってしまったのを見て共犯者はまた逃げる。すると、逃げた先に突如別の男が現れ共犯者を一瞬で痺れさせて倒した。


「何の騒ぎだ!」


 やっと警備員がやってきた。サリア達が警備員に事情を話す。


「なるほど。分かりました。私はまた君達が何かやらかしたのかと思いましたよ。」

「マスター、今まで何していたんですか?」


 ウズメに睨まれ目を反らして口笛を吹くサリアとクロア。そこに他に警備員に男の身柄を引き渡したヴィザルがやってきた。


「何してたんですかサリアさん?」

「•••買い物。」

「こっち見て言ってください。」


 ヴィザルがサリアに詰め寄ると先程共犯者を倒した男がサリアに近付いた。


「相変わらずバカしているようだなサリア。」


 その声に聞き覚えがあるのかサリアは男を見て目を丸くさせた。


「ケ、ケイロン…」

「知り合いですか?」

「元アイアンガイアのメンバーだ。」


 サリアが気まずそうに話す。そんなサリアにケイロンが衝撃の一言を発した。


「サリア、アイアンガイアを解散しろ。」

次回予告

元アイアンガイアのメンバーが登場。


「ついでにアイアンガイアの過去も分かるよ。」

「ついで…?」

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