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鋼絆《メタルバンド》  作者: 高本 龍知
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泥棒も大変

前回のあらすじ

ウズメがアイアンガイアに加入!


「よ、よろしくお願いします!」

 私は怪盗カシオペア。ねぇ、みんなアテナスターの時の一発屋キャラと思った?ねぇ思った?残念でした~。

 •••それは置いといて私は今、とある美術館にいる。目的はこの美術館に飾ってある”神が与える哲学の誕生“という絵画を盗むためである。何故盗むのか?それはいずれ話すとして、私はこの美術館に視察にきたアネルという職員として潜入している。ちなみに本物のアネルは自宅で眠ってもらっている。


「ホルモンドさん。本当に大丈夫なのですか?」

「問題ないよ。丁度いいクランが雇えたから彼らに警護を任せている。」


 この美術館の館長であるホルモンドが自慢気に語りながらアネルを案内する。その途中、とても美術館の関係者とは思えないリザードの青年が歩いてきた。もしかして彼がそのクランのメンバーなのか?そう思いながら例の絵画が展示されている部屋に着いた。

 ホルモンドがその扉を開けると中には部屋中に謎の触手が配置され絵画の前に仁王立ちしている男がいた。モザイクだらけの部屋に彼女は絶句する。


(…え?何これ?絶対エロいやつじゃん•••)

「紹介しよう。彼が私が雇ったクラン、ゾディアックアルゴのリーダー、オルフェウスさんだ。」


 そう。ホルモンドが雇ったのは何でも屋傭兵クランゾディアックアルゴだった。そのリーダーのオルフェウスは部屋中に触手を張り巡らせ盗みどころか潜入すら出来ないようにしていた。

 アネルもといカシオペアは触手を見てドン引きする。すると、ぷ~んと音を立て蝿が部屋に入ってきた。その瞬間、触手が蝿を瞬時に捕らえた。


「さすがゾディアックアルゴ!ネズミ一匹、いや蝿一匹の侵入も許さない!これなら安心して任せられる!」

(うそ〜…)


 アネルは表情には出さないが心底マズいと感じていた。そのまま視察を終わらせカシオペアに戻り美術館の周りを調べる。周りには警察の他にゾディアックアルゴのメンバーと思われる人達もいた。その中にいる山羊の獣人男性が美術館の周りに巨大なシールドで囲った。


「これで侵入は不可能。例え既に侵入していたなら脱出は不可能ということになります。」

「さすがカプリコンさん。」

(え…これヤバくない?)


 侵入も容易に出来ず脱出経路も塞がれた。それでもカシオペアは美術館に侵入し無線機で相棒に知らせる。


「監視カメラはどう?」

『既に全てハッキング済みです。』

「ありがと。」


 カシオペアはダクトから例の部屋の真上まで移動する。換気口から中を見る。やっぱりオルフェウスによって部屋中に触手が埋め尽くされていた。


(これ捕まったら絶対エロいことになるやつじゃん。子供に見せれなくなるやつよ。)


 カシオペアは汗をダラダラ流しながらも計画を諦めるつもりはなく遂行する。まず、美術館の屋上に予めセットしてあった花火を打ち上げ周囲の気を引いた。


「なんだ!?」

「怪盗が来たか!」


 突然の花火に警備室にいた警備員達が監視カメラのモニターから目を離してしまう。警備員の1人がモニターに顔を向けると自分の目を疑ってしまうような光景が写っていた。なんと、全ての監視カメラの映像にカシオペアが映っていたのだ。


「な、何なんだこれ!?」

「こてら警備室!全てのモニターに怪盗が映っています!」

『何!?こっちには怪盗なんていないぞ!』


 警備室も他の場所にいた警備員達もパニックになっている。実はハッキングした監視カメラの映像にリアルタイムでカシオペアを合成させたのだ。そうとは気付かず必死になってカシオペアを探す。

 パニックはすぐにオルフェウスのところまできた。オルフェウスの隣の空間が開きハルコが報告する。


「リーダー!怪盗が全ての監視カメラに映ってるって!」

「こっちは大丈夫だ。外はカプリコン達が警備している。扉の前もオリオナとリブリアが警護している。俺はこの部屋に侵入してきた奴を捕らえることに専念する。」

(ありゃ、全然陽動にのらないわね。なら、仕方ない。)


 カシオペアは入口を見てスマホで操作した。その瞬間、扉の金具が爆発し扉に凭れかかっていたオリオナとリブリアが倒れた。オルフェウスはすぐに二人を触手で支えた。


「大丈夫か?」

「だ、大丈夫です!」

「ありがとうございます、リーダー。」


 オルフェウスが一瞬二人に気をとられた瞬間、換気口から凍えるこんな風が吹きあられ触手をみるみるうちに凍らした。オルフェウスがそれに気付くのが遅れ両足を凍らされてしまった。オリオナとリブリアも触手と一瞬に両手両足凍らされて動けない。すると、換気口を蹴り破ってカシオペアが登場しオルフェウスの後ろに着地した。


「残念だったね!予告通り”神が与える哲学の誕生“はもらうよ!」

「何故盗む?そういう美術品は裏で売買してもすぐ足が着くぞ。」

「それはヒ・ミ・ツ。」


 カシオペアが絵画を抱えて去ろうとする。その瞬間、オルフェウスの背中から触手が生えカシオペアを捕らえた。


(しまった!)


 オルフェウスはそのまま縛り上げて捕らえようとする。カシオペアは触手を凍らせようとするもオルフェウスの方が早く彼女の手を触手で巻取り防ぐ。

 ドタドタと聞こえる足音、複数人の声、迫りくるタイムリミット。カシオペアは一か八かの大勝負に出た。なんと、服を脱いで拘束から逃れたのだ。驚くオルフェウス。すぐに捕まえようとするも今度はカシオペアの方が早く煙玉を出して煙幕をはる。


「ちっ!」


 オルフェウスは必死に触手を生やして薙ぎ払い煙幕を晴らした。しかし、そこにカシオペアの姿はなかった。後からレオルス達がくる。


「リーダー!」

「絵画は!?」

「ここです。」


 オルフェウスが触手で抱えた絵画を見せる。あの時、なんとかカシオペアから絵画を取り返したのだ。それを見てホルモンド達は喜ぶ。


「さすがオルフェウスさん!」

「いや、肝心の怪盗がまだ捕まっていない。まだカプリコンのシールドの範囲内だ。隈なく探すぞ。」

「了解!」


 レオルス達が探そうと散った瞬間、リブリアが窓の外を見て叫んだ。


「ちょっと!外見て!」


 オルフェウス達が外を見ると大きい気球が去って行くのが見えた。


「まさか、カプリコンさんのシールドが破られた!?」

「いや、もしそうならカプリコンから連絡がくる。一応、気球を追う班と館内を探す班に別れて怪盗を捕まえる。」


 オルフェウスはゾディアックアルゴのみんなに指示を出しつつ絵画を安全なところへ運ぶ。その天井裏では…


「•••ハ、ハックション!お、覚えてなさいよ…」


 全裸(+マスク)のカシオペアが涙目で蹲りながら隠れていた。結局、彼女は相棒が来るまでの数日間ここで身を潜めることになった。

次回予告

ジルフレイムがなんと合コンに参加!?


「ってなんでこうなったの!?」

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