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鋼絆《メタルバンド》  作者: 高本 龍知
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ヴィザルVSタルタロス 〜矛盾の迷い〜

前回のあらすじ

タルタロスの過去と秘密を知ってしまったヴィザル。彼を口封じに殺そうとするタルタロスと交戦することになってしまう。


「誰しも知られたくない秘密はある。」

 教会の門から出て逃げるヴィザル。彼を追い掛け氷の刃で攻撃するタルタロス。二人の激闘が静かに始まった。

 ヴィザルは風の刃を無数に放って時間稼ぎを狙う。しかし、タルタロスは氷の壁を作り風の刃を防ぎヴィザルの進行方向に地面を盛り上げて壁を作った。


「!」

「遅い。」


 ヴィザルはとっさに壁の横を通ろうとするがタルタロスがそれよりも早く電刑檻(エレクロフィールド)で閉じ込めた。


「しまった!」


 閉じ込められたヴィザルはすぐに迎撃しようと振り向いた瞬間、タルタロスが蹴りでヴィザルの首を狙った。ヴィザルは剣でガードすると足と剣から激しい金属音がした。


「《ギロチンレッグ》」

「《ヴァージストライク》!」


 ヴィザルの剣撃とタルタロスの蹴撃が激しい火花を散らす。すると、タルタロスは氷で剣を作り両足と剣で斬撃を始めた。


(す、凄い剣撃。対応仕切れない。)


 ヴィザルはだんだん押されていると判断すると風を纏った回し蹴りで打開しようと試みた。タルタロスは蹴りを受け止めるとヴィザルの足を凍らせた。


「!」


 ヴィザルはすぐに飛び退いくが足は凍ったまま。ヴィザルがどうしようか迷っているとタルタロスが腕を伸ばし手から光線状の雷撃を放った。


「《アドラメレク》」


 ヴィザルは横に飛んで避ける。さっきまでいた場所が抉れる。タルタロスは避けたヴィザルに氷の剣から放つ吹雪で追撃する。

 ヴィザルは風で壁を作り受け流す。それに対しタルタロスはヴィザルの左右から地面を盛り上げ鋭いトゲを作りヴィザルを挟もうとした。


「《ガイアメイデン》」

「《見様見真似サリア流フレイムシュート》!」


 ヴィザルは足に炎を纏い蹴り上げる。ガイアメイデンの片方を破壊して逃れる。それと同時に凍っていた足も溶けた。


「なかなかいい動きだ。余程の修羅場を潜ってきたんだろう。けど、何か迷っているだろ?」

「•••」


 タルタロスに指摘されて黙るヴィザル。タルタロスの指摘が当たっているからだ。タルタロスはギラージェの元で多くに命を奪ってきた悪党であり革命軍が最も危険視する人物である。それは理解している。しかし、今目の前にいるタルタロスは何か悪党という雰囲気はしない。それにエリュシオンの父親であり彼女にとって唯一の家族である。

 ヴィザルはタルタロスに見透かされてしまったヴィザルは正直に話し始めた。


「僕は母親を病気で亡くし父親を暗殺で亡くしました。だから僕には両親はいません。けど、僕には兄さんや姉さんがいます。けど、シオンさんにはあなたしかいない。だから、出来ればあなたを殺したくないです。」

「そう思ってくれるだけで嬉しいよ。」


 タルタロスは微笑み腕から炎の渦を放って攻撃した。


「《ルビカンテ》」

「全属性の魔法が使えるのか!?」

「ああ使える。教師時代は1人で全属性の魔法を教えていたもんだ。」


 タルタロスは炎を放ちながら自身の周りに水魔法の球を複数作りそこから水の刃を飛ばしてくる。ヴィザルは炎を掻き消し刃を避ける。


(駄目だ。殺さないといけない相手なのに殺したくない。)

(油断も慢心もしていないはずなのにあの少年を殺せてない。ああ言ったくせに俺が迷っているのか。)


 互いになかなか相手を殺すことが出来ずに時間だけが過ぎていく。

 ヴィザルはボロボロになりながらも剣を構えて立ち上がる。タルタロスも表情にほ出さないが内心焦っている。


(迷いなど今までなかったはずだ。)


 今まで何百人と殺してきたタルタロスにとって1人殺すのに何の抵抗も感じていないはず。しかし、タルタロスはヴィザルを殺せずにいる。

 そこにつけ込みヴィザルはタルタロスに接近した。タルタロスが攻撃を躊躇した一瞬で剣を首に向けた。が、当てることなく寸前で止めた。


「どうした?殺すことを躊躇っているのか?」

「はい。出来ればあなたを救いたい。」

「そう思ってくれるのはお前だけだ。少年、名は?」

「ヴィザル•オルディダンテ。」

「ヴィザルか。」


 タルタロスは震えている剣を掴み握り潰して破壊した。そのまま深呼吸するとヴィザルの胸に手を当て衝撃波は繰り出した。


「《ヘヴィプレッシャー》」

「!?」


 タルタロスの一撃で脳が揺れ肋骨は折れ口から血を吐いた。そのまま倒れ動けなくなるヴィザル。


「頼む。このまま革命が終わるまで大人しくしてくれ。何故か俺も出来ればお前を殺したくはない。それほど気に入っているのかもな。」


 タルタロスは近付きヴィザルの喉に手を当て脅す。それでもヴィザルは光を失わない目でタルタロスを見る。それを見たタルタロスはフッと微笑んだ。


「ありがとう。」

「お父さん!」


 タルタロスがヴィザルにトドメを刺そうとした瞬間、エリュシオンがタルタロスの後ろかろ走ってきた。タルタロスが電刑檻(エレクロフィールド)を解除するとすぐにヴィザルに駆け寄り治療した。


「何やってるの!?」

「すまんな。譲れないものをかけて決闘していた。」

「だからってヴィザルさんをここまで虐めたら駄目です!」

「そうだな。シオン、悪いが彼を介抱してくれ。」


 タルタロスは殺しを止めてヴィザルから離れて行く。すると、ヴィザルが傷付いた体を無理矢理起こしてタルタロスの方に向かおうとした。しかし、足に力が入らず立てない。ヴィザルは両膝を着いた状態でなんとかタルタロスを追おうとする。エリュシオンが慌ててヴィザルを止める。


「今治療します!大人しくしてください!」

「待って!」

「ヴィザル、俺にも譲れないものがある。例え矛盾したとしても俺は俺が守りたい者のためだけに戦う。」


 タルタロスはそう言って自身の周りに魔法陣を描き姿を消した。


「瞬間移動魔法。そんなものまで持っているのか。」


 ヴィザルはタルタロスが去って行くのをただ見ることしか出来なかった。そのままヴィザルは倒れ気絶してしまった。

次回予告

ヴィザルは悩む。どうすればタルタロスを助けることが出来るのか。そんなヴィザルにケンがあるアドバイスをした。


「ヴィザル•••」

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