禁断の再会
前回のあらすじ
タルタロスの脅威ごヴィザル達を襲う。
「タルタロスの本気はあんなものじゃなかった。」
ヴォルネスト帝国首都ガテレン中心部ヴォルネスト城地下
そこにはエレキナが下着姿で天井から吊るされている鎖に繋がられていた。彼女もタルタロスに負け連行されていたのだ。すると、サリア達が下着姿で連行されてきた。サリア達も同じように鎖に繋がれた。
「会えたね。」
「出来ればもっとまともな再会をしたかった。」
エレキナが残念な顔してサリア達を見つめる。そこにニヤニヤした男達が現れた。男達はサリア達の体を見て下卑た嗤いをしている。
「いい体じゃねぇか。」
「楽しませてくれよぉ。」
「うわぁ、THE三下の台詞〜。」
「んだとぉ!」
激昂した男がサリアを殴る。何度も何度も殴り続けるとサリアの眼帯が取れ落ちた。サリアが頭を上げる。綺麗な青色の左目と違い右目は赤黒くなっていることに男はもちろん初めて見るアルティネ達も驚き言葉を失っていた。
すると、階段を誰かが降りてくる音がした。男達が振り向くとタルタロスが降りてきていた。タルタロスの登場に男達はすぐに背筋を伸ばし敬礼した。
「何をしているチャンパー?」
「た、タルタロス様!い、いえタルタロス様の仕事を手伝おうかと•••」
「やりたいだけじゃん。」
「いらん。消えろ。」
「「は、はい!」」
チャンパーは他の男達と一緒に牢屋から出て去って行く。タルタロスは誰も来ないことを確認し牢屋に入り眼帯を拾うとサリアの右目に戻した。
「あ、ありがとう。」
「誰しも知られたくない過去の1つや2つあるだろうからな。」
「ねぇ、あんたって本当に悪い奴?今見るとそこまで悪い奴に見えないけど。」
「悪い奴で合ってるよ。帝国の命令で罪無き者の命を何百人と奪ってきたからな。」
タルタロスは檻の凭れて話す。アルティネが彼に質問をする。その間にサリアが隣のアイリスになんとか近付き声をかけた。
「アイリス、あんたドMの変態でしょ。この状況興奮して強くなれないの?」
「無理だ。確かに興奮はするがれで強くなるのは魔法。魔力を封じられている現状じゃ意味ないし何より私じゃあの男に勝てない。」
サリアとアイリスがコソコソ話している。ここから逃げきれる可能性がかなり低いと判断するとサリア達は情報収集することに決めアルティネと一緒にタルタロスを質問攻めした。
「ねぇ、あんたなんでこんなことしてんの?」
「金払いがいいから。」
「人並みの罪悪感があるなら革命軍に入るとか考えなかったの?」
「それを考えるには殺し過ぎた。」
「好きな食べ物は?」
「他に聞くことあるでしょ!?」
「ドーナツだな。」
「答えるの!?ってか意外と甘い物好き!」
クロアの質問にも答えるタルタロス。しばらく話に付き合っていると腕時計を見て牢屋を出た。
「悪いがここまでだ。今からドーナツ屋に買い物だ。」
「いやいや!もっと付き合ってくれない!」
「また来る。そん時に質問に答えてやる。」
サリア達が必死に止めるがタルタロスは牢屋の鍵をかけ地下から出て行った。
一方、タルタロスから逃げ切ったヴィザル達は革命軍のアジトで休んでいた。タルタロスの迫力、強さを目の当たりにし震えていた。
「そうか。なら革命を早めよう。」
ウズメの報告を受けたガルドが仲間に計画を早めることを同志に伝えるように指示した。二人の話を近くで聞いていたヴィザル。どうやら、ウズメはあの時ヴィザル達がパーティに参加していた裏でギラージェ派の敵を暗殺していたらしい。そのため合流した彼女には返り血が付着していた。
「あの、大丈夫ですか?」
ヴィザルの隣で疲れて肩に凭れかかっているオリヴィエを心配していたフレイダが温かいお茶を用意してくれた。
「ありがとうございます。」
「いえ。」
フレイダはオリヴィエの隣に座ってオリヴィエの体調を見てくれた。
「少し緊張で疲れているだけですね。」
「分かるんですか?」
「はい。私、元々医者志望でしたので医療知識や技術はそこそこあります。」
フレイダがニコッと笑顔で答える。そこにタルタロスから逃げ切れたケンやマキナ、ヴァンガス、フェルトリーネにエンジェルフォースのメンバー達が集合した。
「来てくれたか。話はウズメから聞いた。もちろん君達の行動を咎めるつもりはない。それより帝国、いやギラージェに対し革命を起こす日が決まった。」
ガルドがヴィザル達にこれからを話し始めた。
「3日後だ。ヴォルネスト帝国に侵略、略奪された国、滅亡まで追いやられた民族、今まで虐げられてきた者達をここに集結させる。君達の仲間も必ず助ける。」
「1ついいか?」
「なんだ?」
「巻き込まれたからには俺達も全力であんた達の革命に協力する。が、俺達は殺しは出来ないぞ。」
「構わない。ギラージェの部下や兵士は雑魚だ。君達なら余裕で倒せる。がタルタロスだけは集まった同志約3万人のうちの1万で相手する。その時に君達が参戦するなら殺しも覚悟してほしい。」
ガルドが真剣な顔でお願いするとケンは無言で頷いた。
「その日まで休んでくれ。君達の仲間なら帝国にいる協力者から情報をもらうようにする。」
ガルドはそう言って部屋を出て行った。サリアやアルティネ達を心配するケン達。ヴィザルも捕まったみんなを心配しながら一夜を過ごした。
翌朝、居ても立っても居られずアジトを出たヴィザルは1人でヴォルネスト帝国の外壁を見ながら歩いている。もうすぐで革命。以前経験した革命よりも壮大且つ激しくなるであろう革命にヴィザルは自分の力がどこまで役に立つのか悩んでいるといつの間にかミノス教会の近くまで来ていた。
(そういえばここに教会があるって言ってましたね。)
ヴィザルは吸い込まれるように教会の中に入る。すると、複数人の子供達に囲まれたシスターの少女がいた。彼女はヴィザルに気が付くとニッコリと笑ってお辞儀をした。
「初めまして。私はエリュシオンです。シオンって呼んでください。」
「は、初めまして。ヴィザルです。」
子供達がエリュシオンと仲良く話しているヴィザルに興味を持ったのかからんでくる。ヴィザルもそれに対応しながら中を見渡す。所々壁が剥がれていたりヒビが入っていたりと長い間修整されていないように感じられた。
「ここってかなり前から建っているんですか?」
「はい。もう60年以上は経っているとミノスおばあちゃんが言っていました。」
ヴィザルは教会内を歩きながらエリュシオンと会話を続けている。すると、壁にかけてある時計を見たエリュシオンが急いで教会の入口に向かう。
「どうしたんですか?」
「この時間になるとお父さんがドーナツを届けてくれるんです。」
エリュシオンが笑顔で答える。ヴィザルも一緒に入口へ向かう。入口には既に子供達がその人に寄っていた。
「お父さん!」
エリュシオンがお父さんと呼んだ男に近寄る。その男を見たヴィザルは驚愕した。その男こそタルタロスだったからだ。
次回予告
偶然にもタルタロスと出会ってしまったヴィザル。彼は警戒しながらもタルタロスと会話を交わす。そして、タルタロスから帝国の真実を知ることになってしまう。
「闇深い帝国の歴史が紐解かれる。」




