死神を斬る
前回のあらすじ
ヴィザルがカッコいい。
「けどまだまだ気は抜けない。」
シュライヤを蹴り飛ばしたヴィザルは城を出て逃走していた。その横には同じく逃走しているサリア達がいる。
「ヴィザル、ナイス!」
「ありがとう。」
「さすがだね。」
サリア達から称賛の声が上がる。しかし、安心は出来ない。後ろには衛兵達が追ってきているのだ。
「面倒ね。私が足止めするから先行って。」
「任せた!後で会おうぜ!」
すると、エレキナが方向転換して口から炎を吐いて衛兵達を足止めした。サリア達はそのまま逃走を続ける。すると、ウズメがサリア達の前にやってきた。
「あんた達何やってるの!?」
返り血で赤くなっているウズメがヴィザルに詰め寄る。
「あんたのせいで計画が狂ったわ!」
「そ、それは•••」
「ヴィザルはオリヴィエを助けただけよ!」
「そのせいで革命に支障が出たらあんた達責任とれるの?」
「だからってオリヴィエちゃんを見捨てる理由にはならないだろ?」
言葉に詰まるヴィザルをアルティネ達が庇う。ウズメはまだ納得出来ていないようでヴィザルの胸ぐらを掴み詰め寄る。そこにオリヴィエがウズメの腕を掴み睨む。
「喧嘩してる暇はないようだが。」
すると、ケンが後ろを見てウズメ達に語りかけた。後ろには既に衛兵達が近付いておりマキナやヴィーナ達が応戦していた。
「行くぞ。」
衛兵達を粗方片付けたマキナ達も一緒に例の古本屋に向かった。ウズメがいつものようにブックじいさんに合言葉を言って隠し扉に入った。
ブックじいさんは隠し扉を閉じていつも通りカウンター座って新聞を読んだ。すると、また誰か来た。ブックじいさんがその誰かを見ると目を見開いた。
タルタロスが来たのだ。タルタロスは店内を見渡しながらカウンターにくる。
「この中にオススメの本はあるか?」
「申し訳ありません。タルタロス様に合うような本はございません。」
「そうか。」
タルタロスは本棚を観察し本を触りながら歩いている。ブックじいさんが冷汗をかきながらタルタロスの動向をじっと見る。すると、タルタロスは隠し扉のある本棚の前で止まりスイッチになっている本に手をかけた。
「ここか。」
タルタロスは本を押すと同時に真後ろに氷の刃を放った。刃は拳銃を構えているブックじいさんの胸を貫きブックじいさんは倒れ息絶えた。本棚が動き隠し扉が開く。
「悪いな。こっちも仕事だ。」
一方、通路を走って墓場に出たヴィザル達。外では潜入していた密偵からの報告を聞きつけた革命軍に仲間達が待ってくれていた。
「大丈夫ですか!?」
「計画を大幅に変更する必要が出来た。ボスに報告する。」
ウズメが仲間に報告している。その時、後ろからものすごいプレッシャーを感じた。ヴィザル達が後ろを振り向くと動かなくなっている革命軍のメンバーを引きずっているタルタロスが現れた。
「秘密の通路の出口が墓場とは罰当たりだな。いや、俺も言えないな。この墓場を作り上げたのが俺だからな。」
「タルタロス!」
ヴィザル達は下がって戦闘態勢に入る。出たタルタロスは周りを見て敵を数えると自身の周りにドームを張ってヴィザル達を閉じ込めた。
「!?」
「悪いが皇帝からの命令だ。」
「くそっ!こんなもの!」
革命軍の1人がドームを壊そうと剣を振り下ろす。その途端、高圧電流が全身を流れ男は黒焦げになって死んでしまった。
「《電刑檻》」
「雷魔法で作った檻か。」
タルタロスはヴィザル達を逃さないようにすると氷で剣を作って襲ってこた。それを炎の剣を作ったケンが止める。
「俺が時間を作る!その内にこの檻を破って脱出しろ!」
「よし、分かった!」
サリアが炎魔法で檻を攻撃する。それに合わせてヴィザル達も触れないように魔法で攻撃する。しかし、檻は壊れなかった。サリアが汗流していると後ろでタルタロスと交戦していたケンがタルタロスの一撃を受け倒れてしまった。
「ケン!?」
「大丈夫だ。致命傷は避けた。」
ケンは斬られた肩を押さえて立ち上がった。タルタロスは他の革命軍やヴァンガス達と交戦している。その間にアイリスが魔法を分析している。そして、電刑檻の一部に穴を空けた。
「今だ!逃げるぞ!」
アイリスが叫ぶ。それに反応したフェルトリーネが吹き飛ばされたヴァンガスを抱えて穴を抜けて電刑檻から脱出した。そこから次々とヴィザルやオリヴィエ達が出る。しかし、アイリスは出ようとしない。
「会長!?」
「私はここに残る。誰かが足止めしないといけないだろ。」
アイリスはそう言ってヘルマとヴィーナを掴み上げているタルタロスを見つめる。彼の足元にはカリスティやエウリア、革命軍のメンバー達が転がっている。
「ダメです会長!一緒に逃げましょう!」
「フェル。みんなを頼んだぞ。」
「待ってください会長!」
ヴィザルやオリヴィエもアイリスを連れ出そうとするが穴が塞がれてしまい入れなくなってしまった。だうしようかと悩んでいるヴィザル達。その後ろからウズメが声をかける。
「気持ちは分かる。けど今は逃げるのが先決だ。彼女がいなかったら私達は全滅していた。今逃げきればチャンスはまだある。」
「そういうこと。助けがくるの待ってるから。」
アイリスがタルタロスを見て杖と剣を構える。すると、サリアやアルティネが隣に並んだ。
「逃げなかったのか?」
「一応、依頼だけど私、君達の教師だから。」
「オリヴィエちゃん達が逃げる時間を稼がないといけないし。」
「「それに仲間の痛みを返さないと気がすまない。」」
サリアは両手に炎を纏いアルティネは地面から茨を召喚した。それを見たアイリスは一笑するとタルタロスに風魔法を放った。そこにサリアが無数の炎の拳、アルティネが茨で合わせて攻撃した。
「•••マスター。」
「か、必ず助けに行きます!」
ヴィザルは歯を食いしばり逃げる。後から追ってきた衛兵を薙ぎ倒して森の中へ逃走する。その姿を見て一安心したアイリス達はタルタロスの方を見る。
「タルタロス様!」
「問題無い。」
「少しは食らってほしいんだけど。」
衛兵達が心配して外から声をかける。タルタロスは地面を隆起させて壁を作りガードしていて無傷だった。遠距離からの攻撃が効果ないと判断したサリア達はタルタロスに突撃した。サリアの拳、アルティネの鞭、アイリスの剣を受け流したタルタロスは鉄製の枷を作りサリア達を後ろ手に拘束した。
「しまった!」
「連行する。来てもらうぞ。」
「はいはい。命だけは勘弁してくれよ。」
「そこほ保証しよう。」
タルタロスはヘルマ達も同じように拘束すると電刑檻を解除し衛兵達と共にサリア達を連行していった。
次回予告
タルタロスの圧倒的な強さに為す術もなく逃走したヴィザル達。革命の日が近付く。ヴィザルほ自分の不甲斐なさを和らげるためある場所にフラッと向かう。そこで思いもよらない出会いが待ち受けていた。
「•••」




