何事も初めてはドキドキするもの
前回のあらすじ
ハーレム系主人公は嫉妬の対象になりやすい。
「俺もハーレム展開を夢見てます。」
「諦めてください。」
フェルトリーネが仮加入した翌日、ある店にヴィザル立ち寄ったがいた。外見はボロボロで頭の無い壊れた人形や不気味なカラスが大量にいるうえに看板には『らぁめぇん』と書いてある。
「いや〜、助かるよ!」
店の中では右足にギプスをしている鬼人、この店の店長であるチャーシュがサリア達にお礼を言っていた。ここにいるのはサリア、ヴィザル、マキナ、そしてフェルトリーネだった。
「この前、食材の調達に行ったらいきなりドラゴンに襲われてな!そのせいで足が折れてしまった!」
「ドラゴンに襲われて骨折だけで済んでるのが凄いですけど。」
「と、いうわけで頼むぜサリア!」
「任せてください!」
サリア達はチャーシュの変わりに店を回す依頼をしていた。所謂アルバイトである。サリア達が回転準備をしているとフェルトリーネが目を輝かせて店の中を見渡している。
「そんなにラーメン店が珍しい?」
「はい!私、ラーメンとか食べたことないので!」
「マジで!さすがお嬢様。」
「サリアさんも元お嬢様ですよね。」
初めてのラーメン店で初めてのアルバイトをすることになったフェルトリーネはノリノリで制服に着替えサリア達の手伝いを始めた。
「じゃあ、よろしく頼むぞ!」
「「はい!」」
10時になりヴィザル達は開店させた。開店してから約8時間経過した。
「•••来ませんねマスター。」
「来なさ過ぎでしょ!開店してから来た客9人って!」
「いつもこんな感じだぞ!」
「これがラーメン店。」
「違うぞフェル。この店が特別なだけだ。」
閑古鳥が鳴きまくっている店内。今いるのはヴィザル達店員を除けば取材のついでにラーメンとオムライスを食べているフィルディオだけだった。
「このラーメンとオムライス美味しいですね。今度隠れた名店企画の時に取材しようかな。」
「そもそもオムライスが美味しいラーメン店が珍しすぎるけどね。」
サリアがフィルディオと会話しているとチリンと音が鳴り誰か入店してきた。
「「いらっしゃいませ!」」
「ヴィザル様!遊びに来ましたわ〜!」
「なんで来たー!?」
入店してきたのはリリエスタだった。隣にはクゥもいる。彼女と目が合った瞬間、ヴィザルは膝を着きマキナは迎撃態勢に入った。
「•••新たなメス猫を確認。排除します。」
「お客を排除したらダメー!お客様は神様だから!」
「•••なら私は神さえ屠る神になります。」
「ならなくていいから!」
マキナを止めるサリア。その間にケチャップがリリエスタ達をカウンターへ連れて行きフィルディオの隣に座らせた。
「何故ここに?」
「ヴィザル様がいると聞いたので。」
「あ、はい。え、えーとご注文は?」
「ヴィザル様が望む物を!」
「メニューからお選びください!」
ヴィザルがメニュー表を差し出す。2人はメニュー表を受け取り見る。何を注文しようか悩んでいるとまた誰か入店した。
「「いらっしゃいませ!」」
「•••」
入店してきたのはオリュンティア公国のお姫様、アテリナ・オリュンティアだった。何故か護衛をつけず1人でフードなどを被ってコソコソと入ってきた。
「・・・」
「・・・」
((姫様かよぉ~!))
ヴィザルとサリアの心が同時に叫んだ。アテリナはキラキラした目で店内を見渡している。
「ここがラーメン店•••」
「なんで?なんで姫様ここにいるの?」
「警備どうした?この国のトップの娘が1人でいていいのか?」
アテリナを見た2人は調理場に隠れコソコソ会話した。こっそり調理場から見るとアテリナはリリエスタやフィルディオと楽しく会話している。彼女はフィルディオの隣に座る。アテリナ、フィルディオ、リリエスタと総勢たる並びにヴィザルとサリアは冷や汗かいていた。
「ヴィザルさ〜ん、サリアさ〜ん!」
フィルディオから聞いたのかアテリナは調理場から除いている2人を見て手を振っていた。見つかったので2人は営業スマイルでアテリナの前に出る。
「いらっしゃいませ。お一人様で?」
「はい!私、ラーメン屋に行くの初めてなんです!でも誰も連れてってくれないので1人でひっそりと来ました。」
(大丈夫かこの国!?護衛対象が簡単に抜け出せるってアウトでしょ!?)
「そ、そうなんですね。ご、ご注文は?」
「ホットケーキ!」
「ここラーメン屋ですけど!?」
ズッコケたヴィザルとサリアは立ち直りアテリナにメニュー表を渡す。リリエスタもアテリナも注文が決まったようなので同時に注文をした。
「「オムライスで!」」
「ラーメン関係ねぇ!」
「あ、私は担々麺半チャンセットをお願いします。」
「まともな人がいて良かった。」
ホッとしたヴィザル達は早速、チャーシュの変わりに調理を始める。オムライスほケチャップが調理するのでヴィザル達は担々麺と炒飯を作る。すると、フェルトリーネがひょこっと出てきた。
「私も作ってみたい!」
「え?大丈夫?」
「料理も初めてですけど料理が出来る女性はいい妻になると聞いたので是非!」
フェルトリーネはヴィザルの前に行き包丁を持って葱をざく切りにし始めた。
「タイムタイム!怖い怖い怖い!」
ヴィザルが慌てて止める。キョトンとしているフェルトリーネにヴィザルが包丁の扱い方を教える。
「ちゃんとこうやって切らないと手を怪我するから。ゆっくりと安全にね。」
「お〜!ヴィザルン料理出来るんだ。」
「いろいろあってね。」
「•••マスター。私も手伝います。」
フェルトリーネに妬いていたマキナがヴィザルに寄ってくる。ヴィザルもそれを察したのか中華鍋で肉を炒めるようにお願いした。マキナは了承し肉を中華鍋に入れて焼いた。腕から出した火炎放射機で。
「マキナストーップ!」
「•••マスター?」
「黒焦げになる!肉か炭になっちゃうから!これで火を着けて!」
ヴィザルが急いで炒飯を作る。フェルトリーネとマキナは食材の用意だけを頼まれた。なんとか炒飯と担々麺が完成しケチャップがオムライスと担々麺半チャンセットをアテリナ達に運ぶ。
「あ、すみません。ケチャップを忘れてしまいました。」
すると、客の前でケチャップをかけるサービスのためのケチャップを忘れたケチャップがヴィザル達にお願いする。すると、フェルトリーネがケチャップを持って走り出した。
「あったよ、ケチャップ!」
フェルトリーネがケチャップを持って走る。→何もないところで躓いてこける。→蓋が開き宙を舞うケチャップ。→ケチャップが顔面に命中し倒れるアテリナ。→包丁を持ったままアテリナを助けようとするも遅くケチャップまみれになってしまうヴィザル。→そのまま盛大にケチャップまみれになるアテリナと店内。→
「ねぇサリア!姫様見なかった!?」
突然店に入りサリアをアテリナの居場所を聞くジルフレイム。→ケチャップまみれで気絶しているアテリナとケチャップまみれで包丁を持っているヴィザルを目撃。
「•••姫様〜!」
「ち、違う!僕はやってない!」
ジルフレイムは涙目で狂乱しガトリングガンをヴィザルに向ける。その後、サリア達が必死に止め全容を聞いたジルフレイムからアテリナはこっぴどく怒られるのであった。
ちなみに、給料ほちゃんと払われたため喜んだフェルトリーネは人生初のラーメンをここで食べた。
次回予告
フェルトリーネがアイドルに!?
「無理でしょ。」
「大丈夫!私、意外といけると思う!」




